引越しをしてから、なんとなく肌の調子が悪い、乾燥しやすくなった、ニキビや吹き出物が増えた――そんな経験はありませんか?生活環境が変わると、ストレスや食生活の変化が肌に影響を与えることはよく知られていますが、実は「水」の変化も肌荒れの大きな原因のひとつです。日本各地の水道水は、地域によってその性質が大きく異なります。引越し前と後で水の硬度や成分が変わることで、これまで問題なかったスキンケアが合わなくなったり、肌のバリア機能が低下したりするケースは少なくありません。この記事では、引越し後の水の変化と肌荒れの関係について、医学的な観点からわかりやすく解説していきます。
目次
- 日本の水道水は地域によって大きく違う
- 硬水・軟水とは何か?肌への影響の違い
- 引越し後に起こりやすい肌トラブルの種類
- 水の変化が肌荒れを引き起こすメカニズム
- 硬水地域に引越した場合の肌荒れ対策
- 軟水地域に引越した場合の注意点
- スキンケアを見直すポイント
- 洗顔・入浴時に気をつけたいこと
- 水以外に引越し後の肌荒れを引き起こす要因
- 皮膚科・美容クリニックへの相談が必要なサイン
- まとめ
この記事のポイント
引越し後の肌荒れは水道水の硬度・pH・塩素濃度の変化が主因。硬水地域では石けんカスや肌バリア機能低下による乾燥・ニキビが起こりやすく、軟水器導入・弱酸性洗顔料・保湿強化が有効。2週間改善しない場合は皮膚科受診を推奨。

🎯 日本の水道水は地域によって大きく違う
「水道水なんてどこも同じでしょ」と思っている方も多いかもしれませんが、実は日本の水道水は地域によってその成分や性質が大きく異なります。水道水の質を決める要因のひとつが「水源」です。山から流れてくる河川水を使っている地域もあれば、地下水(井戸水)を利用している地域もあり、さらには複数の水源を混合して供給している地域もあります。
水源の違いによって、水に含まれるミネラル分(カルシウムやマグネシウムなど)の量が変わります。このミネラル分の量を「硬度」と呼び、これが水の性質を大きく左右します。日本の水道水は全体的に軟水傾向にあることが多いですが、地域によっては硬度が高い場所もあります。たとえば沖縄県の水道水は比較的硬度が高く、東京や大阪などの大都市圏の水はやや軟水に近い傾向があります。
また、硬度だけでなく、塩素濃度、pH(酸性・アルカリ性の度合い)、有機物の含有量なども地域差があります。引越しによってこれらの要素が変わることで、肌が受ける影響も変わってくるのです。水道局によっては、供給している水のpHや硬度などを公開しているところもありますので、引越し先の水質を事前に調べてみるのも一つの方法です。
Q. 日本の水道水は地域によって成分が違うの?
日本の水道水は地域ごとに硬度・pH・塩素濃度などが異なります。水源が河川か地下水かによってミネラル分の量が変わり、例えば沖縄は比較的硬度が高く、東京や大阪はやや軟水傾向にあります。引越し先の水質は水道局の公開情報で事前確認が可能です。
📋 硬水・軟水とは何か?肌への影響の違い
水の「硬度」とは、水1リットル中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウム相当量で表したものです。世界保健機関(WHO)の基準では、硬度60mg/L未満を「軟水」、60〜120mg/Lを「中程度の硬水」、120mg/L以上を「硬水」と分類しています。日本の水道水の平均硬度は50〜60mg/L程度で、全体的には軟水から中程度の水が多いとされています。
一方、ヨーロッパの水は硬度が高い地域が多く、300mg/Lを超えるところもあります。海外からの帰国者や、国内でも沖縄など硬度の高い地域に引越した方が肌荒れを経験することが多いのはこのためです。
では、硬水と軟水はそれぞれ肌にどのような影響を与えるのでしょうか。
硬水は、水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンが石けん成分と結合して「石けんカス(金属石けん)」を生成しやすい性質があります。この石けんカスが肌の表面に残ると、毛穴を詰まらせたり、肌のバリア機能を低下させたりする原因になります。また、硬水は肌のpHバランスを乱すことがあり、肌が本来持っている弱酸性の環境を崩してしまうことがあります。さらに、硬水に多く含まれるカルシウムが皮膚の乾燥を促進することも報告されています。
軟水はミネラル分が少なく、石けんの泡立ちが良く、すすぎ後の感触がなめらかです。洗浄力は高い傾向にあり、肌への刺激が少ないと言われます。ただし、軟水だからといって必ずしも肌に優しいわけではなく、洗浄力が高すぎることで皮脂を落としすぎてしまうリスクもあります。特に乾燥肌の方が急に軟水エリアに移った場合、洗顔の仕方を変えないと余計な乾燥を招く可能性があります。
💊 引越し後に起こりやすい肌トラブルの種類
引越し後に水の変化が関係して起こりやすい肌トラブルには、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を知っておくことで、原因を特定しやすくなります。
まず最も多いのが「乾燥・肌荒れ」です。水質の変化によって肌のバリア機能が低下すると、水分が蒸発しやすくなり、肌が乾燥します。特に秋冬の時期に引越した場合は、乾燥した空気との相乗効果で症状が出やすくなります。肌がカサカサする、ツッパリ感がある、粉吹きが起きるといった症状が現れます。
次に多いのが「ニキビ・吹き出物の増加」です。硬水を使用することで石けんカスが毛穴に詰まりやすくなり、アクネ菌が増殖しやすい環境になります。また、肌のpHバランスが崩れることで雑菌が繁殖しやすくなることも原因のひとつです。
「かゆみ・かぶれ」も水の変化による肌トラブルとして挙げられます。水道水に含まれる塩素濃度が高い地域に移った場合、塩素が肌を刺激し、かゆみやかぶれを引き起こすことがあります。特に敏感肌の方はこうした症状が出やすい傾向があります。
「湿疹・皮膚炎」も引越し後に悪化することがあります。もともとアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある方は、水質の変化が引き金となって症状が悪化するケースがあります。水道水の硬度が高いほどアトピー性皮膚炎の有病率が上がるというデータも海外の研究で報告されており、水と皮膚疾患の関係は近年注目されています。
「毛穴の開き・黒ずみ」も水の変化と無関係ではありません。硬水によって洗顔時の洗浄が不十分になったり、石けんカスが残ったりすることで、毛穴の汚れが取れにくくなり、毛穴が目立つようになることがあります。
Q. 硬水が肌荒れを引き起こすメカニズムは?
硬水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンが、肌の弱酸性の皮脂膜を中和し、バリア機能を担うラメラ構造(脂質の層状構造)を破壊します。また石けんカスが毛穴に詰まり炎症を招きます。カルシウムイオンはセラミドと結合して肌の保水性を低下させることも報告されています。
🏥 水の変化が肌荒れを引き起こすメカニズム

なぜ水の変化が肌荒れを引き起こすのか、そのメカニズムをもう少し詳しく見ていきましょう。
私たちの肌の最表面には「角層(角質層)」と呼ばれる層があり、外部からの刺激を防ぎながら内部の水分を保持する「バリア機能」を担っています。この角層が正常に機能するためには、弱酸性(pH4.5〜6.0程度)の皮脂膜が保たれていることが重要です。
硬水にはカルシウムイオンやマグネシウムイオンが多く含まれており、これらが肌の弱酸性の皮脂膜を中和したり、バリア機能を担う「ラメラ構造(脂質の層状構造)」を破壊したりすることがわかっています。特にカルシウムイオンは、セラミドなどの脂質と結合して肌の保水性を低下させるという研究報告もあります。
また、硬水によって石けんが十分に泡立たないため、洗浄するために石けんの量を増やしてしまう人も多く、これが逆に肌への刺激を強めることにつながります。石けんカスが肌に残ることで、毛穴が詰まり、炎症が起きやすくなります。
水道水に含まれる塩素については、その濃度が高い場合に肌への刺激になることが知られています。塩素は微生物を殺菌するために水道水に添加されていますが、皮膚に対しても酸化ダメージを与えることがあります。特に長時間入浴する場合や、お湯の温度が高い場合は塩素の影響を受けやすくなります。
さらに、水のpH自体も肌への影響があります。水道水は一般的に中性(pH7前後)ですが、地域によってはアルカリ性に傾いていることもあります。アルカリ性の水で洗顔すると、肌本来の弱酸性環境が崩れ、セラミドや天然保湿因子(NMF)の機能が低下する可能性があります。
⚠️ 硬水地域に引越した場合の肌荒れ対策
硬水地域に引越した後に肌荒れが起きた場合、いくつかの対策を講じることで症状を改善・予防することができます。
最も効果的な方法の一つが「浄水器の導入」です。浄水器にはさまざまな種類がありますが、「軟水器(イオン交換型)」を使用すると、水道水中のカルシウムやマグネシウムを除去し、硬度を下げることができます。シャワーヘッドに取り付けるタイプの軟水フィルターも市販されており、コストや手軽さの面で使いやすい選択肢です。洗顔用の軟水を別途用意する方法もあります。
市販のミネラルウォーターを洗顔に使う方法もあります。日本産のミネラルウォーターは硬度が低いものが多く、硬水地域の水道水よりも肌への刺激が少ない場合があります。ただし、コストがかかるため、毎日の洗顔に使用するには経済的な負担が大きいかもしれません。洗顔の仕上げすすぎだけをミネラルウォーターで行う、という折衷案もあります。
洗顔料や石けんを選び直すことも重要です。硬水地域では石けんが泡立ちにくく、石けんカスが残りやすいため、液体タイプや泡タイプの洗顔料が適しています。固形石けんよりも洗顔フォームやジェルタイプの方が、硬水でも比較的石けんカスが残りにくいとされています。また、弱酸性タイプの洗顔料を選ぶことで、肌のpHバランスを保ちやすくなります。
洗顔後のスキンケアも見直す必要があります。硬水によって肌のバリア機能が低下している可能性があるため、保湿ケアをより丁寧に行うことが大切です。セラミドやヒアルロン酸を含む保湿化粧水や美容液を使い、しっかりと水分を補給しましょう。さらに、乳液やクリームで水分の蒸発を防ぐフタをすることも重要です。
入浴方法の工夫も効果的です。長時間の入浴や高温のお湯は、塩素の影響を受けやすく、また皮脂を過剰に落としてしまいます。38〜40度程度のぬるめのお湯で短時間の入浴を心がけ、入浴後はすぐに保湿ケアを行うようにしましょう。
🔍 軟水地域に引越した場合の注意点
硬水地域から軟水地域に引越した場合も、新しい水質に肌が慣れるまでにトラブルが起きることがあります。
軟水では石けんが非常によく泡立ちます。以前の硬水地域での感覚で石けんを使い続けると、必要以上の量を使いすぎてしまい、洗浄力が強すぎる状態になりやすいです。これにより、皮脂が取りすぎられ、乾燥や敏感肌を引き起こす可能性があります。軟水地域に移ったら、洗顔料や石けんの使用量を少なめに調整することをおすすめします。
また、軟水は石けんのすすぎ残りがわかりにくいという特性があります。泡切れが良く感じるために十分にすすいでいると思っていても、実は石けん成分が残っていることがあります。しっかりと時間をかけてすすぐことを心がけましょう。
一方で、軟水地域の水道水は塩素濃度が高い場合もあります。水源によっては、塩素を多く添加している水道局もあり、この場合は塩素による肌への刺激が問題になることがあります。塩素が気になる場合は、浄水器(活性炭フィルタータイプ)を使用することで塩素を除去できます。また、沸かしたお湯を使うと塩素が揮発するため、肌への刺激を減らすことができます。
Q. 引越し後の肌荒れは水以外に何が原因になる?
引越し後の肌荒れは水質変化だけでなく、引越しに伴うストレスによるコルチゾール増加、外食偏りによる栄養不足、新居の建材から放出されるホルムアルデヒド、気候・湿度の変化、引越し先特有の花粉アレルギー、ハウスダストやダニなど複数の要因が重なって起こることが多いです。
📝 スキンケアを見直すポイント
引越し後の肌荒れに対処するためには、水質の変化に合わせてスキンケア全体を見直すことが効果的です。これまで使っていたスキンケア用品が、新しい水質の環境では合わなくなることがあるからです。
洗顔料の選び方は特に重要です。先述したように、硬水地域では弱酸性の液体洗顔料が適しています。また、洗顔料の成分にも注目してみてください。ラウリル硫酸Naなどの強い界面活性剤が含まれるものは肌への刺激が強いため、アミノ酸系洗浄成分が配合されたものを選ぶのがよいでしょう。
化粧水や美容液は、保湿成分がしっかり含まれているものを選びましょう。ヒアルロン酸、グリセリン、セラミド、コラーゲンなどの保湿成分は、肌の水分保持を助けます。引越し後しばらくは、普段よりも保湿を重視したスキンケアを心がけることで、肌が新しい環境に慣れるまでのケアができます。
日焼け止めのケアも忘れずに行いましょう。引越し先の地域によっては紫外線量が異なることもあり、特に南の地域や高地に移った場合は紫外線が強くなります。紫外線は肌のバリア機能を低下させる原因になるため、適切な日焼け止めを使用することが大切です。
また、スキンケアのタイミングも見直すポイントです。洗顔後や入浴後は肌が乾燥しやすいため、できるだけ早くスキンケアを行うことが重要です。洗顔後3分以内、入浴後5分以内に保湿ケアを行うことを目安にしてください。
さらに、季節の変化も引越しと同時に影響していることがあります。引越しの時期によっては、気温や湿度の変化が加わり、肌への影響がより大きくなることがあります。新しい地域の気候に合ったスキンケアを選ぶことも大切です。

💡 洗顔・入浴時に気をつけたいこと
引越し後の肌荒れを防ぐために、日常の洗顔・入浴時に気をつけるべきことをまとめます。
洗顔の温度については、ぬるめのお湯(32〜36度程度)が肌への刺激が少なくておすすめです。熱いお湯は皮脂を過剰に洗い流してしまい、乾燥の原因になります。冷水は毛穴を収縮させる効果がありますが、急激な温度変化は肌への負担になるため、ぬるま湯でのすすぎを基本にすることが無難です。
洗顔の際に力を入れてこするのは肌に大きなダメージを与えます。特に引越し後の不安定な肌には、泡を使って優しくなでるように洗うことが大切です。泡立てネットを使って十分に泡立てた洗顔料で、摩擦を最小限にして洗いましょう。
すすぎは十分に行うことが重要です。洗顔料が残っていると、それ自体が肌への刺激になります。特に生え際や小鼻の周り、あごのラインなどはすすぎ残しが起きやすい部分ですので、意識的に丁寧にすすぎましょう。目安は「20回以上」のすすぎと言われています。
洗顔後のタオルの使い方も見直してみましょう。タオルで顔をゴシゴシとこするのは肌への摩擦になります。清潔なタオルを使い、顔に当てて水分を吸い取るように押さえるだけにしましょう。使用済みのタオルは雑菌が繁殖しやすいため、なるべく清潔なものを使うように心がけてください。
入浴時の注意点として、長湯は避けることが望ましいです。お湯に長時間浸かると、皮脂が溶け出して肌のバリア機能が低下します。特に硬水地域での入浴は、カルシウムイオンが肌のセラミドに影響するため、15〜20分程度を目安に上がるようにしましょう。
入浴剤の使用も一つの対策です。弱酸性の入浴剤や、セラミドが配合されたバスミルクなどを使用することで、入浴による肌へのダメージを軽減できます。炭酸ガス入りの入浴剤は血行促進効果もあり、肌の代謝を助けることが期待できます。
入浴後のケアは非常に重要です。体も顔と同様に、入浴後はできるだけ早くボディローションや保湿クリームで全身の保湿を行いましょう。引越し後の肌が乾燥しやすい時期には、濃度の高いオイルやクリームを使うことで、しっかりと保湿バリアを形成できます。
Q. 引越し後の肌荒れで皮膚科を受診すべき目安は?
自己ケアを2週間以上続けても改善しない場合、赤みやかゆみが強く日常生活に支障をきたす場合、膿を持ったニキビが急増した場合は皮膚科受診を推奨します。受診時は引越し前後の水質・気候・スキンケア製品の変化を詳しく伝えると、より適切な診断と治療につながります。
✨ 水以外に引越し後の肌荒れを引き起こす要因
引越し後の肌荒れは水の変化だけが原因ではなく、複数の要因が重なって起こることが多いです。水以外の原因についても把握しておくことで、より効果的に対処できます。
引越しに伴うストレスは、肌荒れの大きな原因になります。新しい環境への適応、仕事や学校の変化、人間関係の再構築など、引越しには多くのストレス要因が伴います。ストレスはコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を増加させ、皮脂分泌の増加やバリア機能の低下、炎症の促進などを引き起こします。睡眠の乱れもストレスと相まって肌の回復力を低下させます。
食生活の変化も肌に影響します。引越し後は食事が外食や簡単な食事に偏りがちで、野菜や栄養素が不足しやすくなります。ビタミンA、C、E、亜鉛、オメガ3脂肪酸など、肌の健康に必要な栄養素が不足すると、肌荒れが起きやすくなります。
新居の環境も肌に影響を与えます。新しい建材からはホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)が放出されることがあり、これらが肌や気道を刺激することがあります。いわゆる「シックハウス症候群」の症状の一つとして、肌荒れや皮膚炎が挙げられます。引越し後しばらくは換気を十分に行うことが重要です。
気候・湿度の変化も肌への影響は大きいです。特に湿度の低い地域に引越した場合、肌の水分が蒸発しやすくなり、乾燥が進みます。逆に、湿度の高い地域では蒸れや雑菌の繁殖によるニキビが起きやすくなることもあります。新しい地域の気候に合わせたスキンケアへの切り替えが必要です。
花粉や植物の種類の変化も見逃せません。引越し先の地域には、以前いた地域では存在しなかった種類の植物が生えていることがあり、これまでなかった花粉アレルギーが発症することがあります。花粉アレルギーは鼻炎や目のかゆみだけでなく、肌のかゆみや湿疹といった皮膚症状を引き起こすことがあります(花粉皮膚炎)。
ハウスダストやダニも肌荒れの原因になることがあります。新居のカーペットやカーテン、ソファなどにダニやハウスダストが多い場合、これらにアレルギー反応を示す方は肌荒れが起きやすくなります。引越し後は新居の掃除を徹底し、特に布製品の清潔を保つようにしましょう。
📌 皮膚科・美容クリニックへの相談が必要なサイン

引越し後の肌荒れのほとんどは、水質の変化への適応やスキンケアの見直しによって改善できますが、中には専門家のケアが必要なケースもあります。以下のような状況が当てはまる場合は、皮膚科や美容クリニックへの受診を検討してください。
自分でできる対策を試みても1〜2週間以上改善しない場合は、水質だけが原因ではなく、アレルギー性疾患や感染症、その他の皮膚疾患が関係している可能性があります。専門医による診断を受けることが大切です。
赤みやかゆみが強く、日常生活に支障をきたす場合も受診が必要です。こうした症状はアレルギー性接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎の悪化など、医療的な治療が必要な状態の可能性があります。自己判断でステロイドを使用するのは適切でない場合もあるため、必ず医師に相談しましょう。
ニキビが急激に増えた、膿を持ったニキビができているという場合も皮膚科への受診をおすすめします。炎症を起こしたニキビは適切な治療なしに放置すると、跡になってしまうことがあります。皮膚科では、外用薬や内服薬による適切な治療を受けることができます。
乾燥が非常にひどく、皮膚がひび割れてしまうような場合も医療的なケアが必要なことがあります。医師に処方してもらえる保湿剤(ヘパリン類似物質含有製剤など)は、市販のものよりも高い保湿効果を持つものもあります。
また、肌荒れが気になって美容的なケアや根本的な肌質改善を希望する方は、美容クリニックでのカウンセリングも選択肢のひとつです。美容クリニックでは、肌状態の詳細な分析や、ケミカルピーリング、導入美容液トリートメント、光治療など、肌のバリア機能を高めながら美肌を目指すさまざまなアプローチが可能です。引越し後の肌荒れを機に、肌質そのものを見直すきっかけにしてみるのもよいでしょう。
皮膚科や美容クリニックを受診する際には、引越し前後でどのような変化があったか(水質、気候、スキンケア製品など)をできるだけ詳しく伝えると、適切な診断や治療につながりやすくなります。

👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「引越し後に肌の調子が変わったとご相談いただく患者様は少なくなく、水質の変化、特に硬度やpHの違いが肌のバリア機能に影響していることは医学的にも注目されています。当院では、そうした環境の変化に合わせてスキンケアを丁寧に見直すことで改善につながるケースを多く経験しており、浄水器の活用や弱酸性・低刺激の洗顔料への切り替えといった日常的な工夫から取り組んでいただくことをおすすめしています。ご自身での対策を試みても2週間以上改善が見られない場合や、赤みやかゆみが強い場合は、お気軽にご相談ください。一人ひとりの肌の状態や生活環境に合わせた適切なケアをご提案いたします。」
🎯 よくある質問
引越しにより水道水の硬度・pH・塩素濃度などが変化し、肌のバリア機能が低下することが主な原因です。また、引越しに伴うストレスや食生活の変化、気候・湿度の違いなど複数の要因が重なることで、肌トラブルが起きやすくなります。
硬水は石けんカスが毛穴に詰まりやすく、カルシウムイオンが肌のバリア機能を低下させ、乾燥やニキビの原因になります。軟水は洗浄力が高いため皮脂を落としすぎるリスクがあります。どちらの水質でも、スキンケアの見直しが重要です。
軟水器や軟水シャワーヘッドの導入が効果的です。洗顔料は弱酸性の液体タイプやアミノ酸系洗浄成分のものに切り替え、洗顔後はセラミドやヒアルロン酸配合の保湿ケアを丁寧に行いましょう。入浴はぬるめのお湯で短時間にすることもおすすめです。
スキンケアの見直しや浄水器の導入などの対策を行えば、多くの場合は数週間以内に改善が見られます。ただし、2週間以上改善しない場合や、赤み・かゆみが強い場合はアレルギーや皮膚疾患の可能性もあるため、皮膚科や美容クリニックへの受診をおすすめします。
自己ケアを2週間以上続けても改善しない場合、赤みやかゆみが強く日常生活に支障をきたす場合、膿を持ったニキビが急増した場合などは受診の目安です。当院では引越し前後の生活環境の変化を詳しく伝えていただくことで、より適切な診断と治療が可能です。

📋 まとめ
引越し後の肌荒れには、水の変化が大きく関係していることがあります。日本各地の水道水は地域によって硬度やpH、塩素濃度などが異なり、肌に慣れ親しんだ水質から別の水質に変わることで、これまでなかった肌トラブルが起きることがあります。
特に硬水地域に移った場合は、石けんカスによる毛穴詰まりや、カルシウムイオンによるバリア機能の低下が起きやすく、乾燥・ニキビ・かゆみなどのトラブルにつながります。対策としては、浄水器や軟水シャワーヘッドの導入、洗顔料の見直し、保湿ケアの強化などが効果的です。
軟水地域に移った場合も、洗浄力の高い水によって過剰に皮脂が取れてしまう可能性があるため、洗顔料の使用量を調整したり、保湿を意識したりすることが重要です。
また、引越し後の肌荒れは水だけが原因ではなく、ストレス・食生活の変化・気候・新居の環境など、複数の要因が絡み合っていることが多いです。そのため、スキンケアの見直しと合わせて、生活習慣全体を整えることが大切です。
自分でできる対策を試みても改善しない場合や、症状が重い場合は、皮膚科や美容クリニックへの相談を躊躇わないでください。専門家のサポートを受けることで、引越し後の肌荒れをより早く・確実に改善できます。新しい環境での生活をより快適に過ごすために、まずは身近な「水」の変化に目を向けてみることから始めてみましょう。
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📚 参考文献
- WHO(世界保健機関) – 水の硬度分類基準(軟水・硬水の定義)および飲料水の水質に関するガイドライン(硬度60mg/L未満を軟水、120mg/L以上を硬水と分類する基準の根拠)
- 日本皮膚科学会 – アトピー性皮膚炎・乾燥肌・接触皮膚炎など水質変化に関連する皮膚疾患の診断・治療ガイドラインおよび肌バリア機能に関する医学的見解
- 厚生労働省 – 日本の水道水質基準・地域別水質データおよび塩素濃度・pH管理に関する規定(水道水の成分と安全基準の根拠)