ザガーロの成分「デュタステリド」とは?発毛効果や副作用について解説
「最近、薄毛や抜け毛が気になり始めた」
「市販の育毛剤では十分な効果が得られなかった」
などのお悩みを抱えていませんか?
デュタステリドは男性型脱毛症(AGA)の治療薬です。AGAの原因である「5αリダクターゼ」を阻害することで、ヘアサイクルの正常化を目指します。
こちらのページでは、デュタステリドの作用・副作用や、他のAGA治療薬との違いなどについて詳しくまとめました。薄毛でお悩みのかたや、AGA治療薬について気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
デュタステリドとは?AGA治療薬の一種
デュタステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療薬に含まれる成分の一つです。
本来は前立腺肥大症の治療薬「アボルブ」の有効成分として開発された薬でしたが、AGAの改善効果が見込まれたことから、AGA治療薬として「ザガーロ」の名称で処方されるようになりました。
同じAGA治療薬に含まれる成分として、フィナステリドも知られています。デュタステリドもフィナステリドも、AGA発症の原因である「5αリダクターゼ」を阻害する作用という点で同じです。
ただし、成分的な特性から、デュタステリドはフィナステリドよりも高い効果が期待できます。
AGAの原因を阻害して症状を改善
AGAの発症・進行には、「5αリダクターゼ」と呼ばれる体内酵素が深くかかわっています。
AGA発症のメカニズムは次の通りです。
- 前頭部や頭頂部にある5αリダクターゼが、男性ホルモン「テストステロン」と結びつく
- テストステロンが悪玉男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換される
- DHTが男性ホルモンレセプターに取り込まれて脱毛因子が増加
- 脱毛因子が毛乳頭や毛母細胞へ脱毛の信号を送る
- 通常2~6年あるヘアサイクルを数ヶ月~1年に短縮させる
- ヘアサイクルの乱れにより毛髪が減少し、生え際の後退や頭頂部の密度低下を引き起こす
この過程の中で、デュタステリドはAGAの発症要因である5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を妨げます。
ヘアサイクルが乱れるのを防ぐため、結果としてAGAの進行を抑制し、改善効果が期待できる仕組みです。
デュタステリドを含む治療薬「ザガーロ」「アボルブ」
デュタステリドを主成分とする治療薬には「ザガーロ」と「アボルブ」があります。
大きな違いとして、ザガーロがAGA治療薬であるのに対し、アボルブは前立腺肥大症の治療薬です。
以下の通り、2つの薬は基本的に同じ作用を持っています。これはデュタステリドの阻害する「5αリダクターゼ」が、頭部だけでなく前立腺にも存在するためです。
ザガーロ | アボルブ | |
---|---|---|
主成分 | デュタステリド | |
作用 | 5αリダクターゼ(Ⅰ型・Ⅱ型)のはたらきを阻害する | |
目的 | AGA(男性型脱毛症)の治療 | 前立腺肥大症の治療 |
ジェネリック医薬品 | デュタステリドZA | デュタステリドAV |
ただし、主成分が同じであるからといって、アボルブをAGA治療に用いることはできません。
また、ザガーロとアボルブにはジェネリック医薬品(後発医薬品)が発売されていますが、それぞれ名称が異なります。
AGA治療で処方されるジェネリック医薬品は「デュタステリドZA」と記載されており、たとえば「デュタステリドカプセル0.5mgZA『サワイ』」などがあります。
デュタステリドの効果|生え際の後退も改善できる
デュタステリドの主な効果は、5αリダクターゼの阻害です。
AGAの発症のきっかけとなる「DHT」の生成を妨げ、薄毛の進行を抑制します。
おでこの生え際からM字型に薄毛が進行したり、頭頂部からO字型に薄毛が進行したりする場合は、主にAGAが原因とされています。おでこの生え際や頭頂部の薄毛に悩んでいる方は、デュタステリドを服用することで症状が改善されることが多いです。
また、デュタステリドは薄毛の進行を食い止めるだけでなく、発毛・育毛を促す効果も期待されています。
AGA治療薬としての承認に先駆けて行われた国際臨床試験では、デュタステリド0.5mgを24週にわたり投与した結果、直径2.54cm内における毛髪数が平均89.6本増加したとのデータが示されました。さらに、同試験では毛髪の太さと硬さが改善したとの結果も出ています。
(参考:グラクソ・スミスクライン株式会社|ザガーロ カプセル 0.1mg・0.5mg)
ただし、デュタステリドはあくまでもAGA治療薬であり、AGA以外の薄毛に対しては効果が見込まれません。
デュタステリドの副作用
デュタステリドには、主に以下の副作用が報告されています。
重大な副作用 | 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明) |
---|---|
その他の副作用 | 1%以上:性機能不全(リビドー減退・勃起不全・射精障害) 1%未満:発疹、頭痛、抑うつ気分、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛など) 頻度不明:脱毛症、蕁麻疹、脱毛症、腹痛、下痢、倦怠感 |
(参考:医療用医薬品:デュタステリド)
このように、発生確率は低いものの、性欲減退や勃起不全といった男性機能の低下が報告されています。
副作用は一時的なものであり、服用を中止してしばらくすると消失するケースが多いです。
胎児や母体への影響はほとんどないとされていますが、子作りを希望している方は服用を控えた方が良いです。
また、重大な副作用として肝機能障害が報告されています。発熱や吐き気、黄疸の症状があらわれた場合はただちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
デュタステリドは肝臓で代謝されるため、すでに肝機能障害のある方は服用できません。
なお、報告されている副作用には脱毛症も含まれています。これは主に「初期脱毛」と呼ばれるもので、服用を始めた頃に一時的に抜け毛が増える現象です。多くは1~3ヶ月でおさまるため、初期脱毛が見られても様子を見ながら服用を継続するのが一般的です。
デュタステリドとフィナステリドの違い
AGA治療薬に使用される有効成分には、デュタステリドのほかにフィナステリド(商品名: プロペシア)が知られています。ともに5αリダクターゼに作用する薬ですが、AGAに対してより高い効果が見込まれるのはデュタステリドです。
以下の表は、デュタステリドとフィナステリドを比較したものです。
デュタステリド | フィナステリド | |
---|---|---|
先発医薬品 | ザガーロ | プロペシア |
効果効能 | 男性における男性型脱毛症の進行遅延 | 男性における男性型脱毛症の進行遅延 |
効果部位 | 前頭部、頭頂部、後頭部 | 頭頂部、後頭部 |
作用 | 5αリダクターゼⅠ型とⅡ型を阻害 | 5αリダクターゼⅡ型のみ阻害 |
効果が感じられるまでの期間 | 半年~1年 | 3ヶ月~半年 |
副作用 | 勃起不全、リビドー減退、精液量減少など(発現率はほぼ同程度) |
フィナステリドが5αリダクターゼⅠ型のみ阻害するのに対して、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害することが特徴です。これにより、デュタステリドはAGAの進行をより強く抑えられます。
なお、フェナステリドはデュタステリドと同じ作用を持つため、たとえ併用しても効果が上がるわけではありません。フィナステリドの服薬で効果が実感できない方は、医師に相談の上、デュタステリドへの切り替えもご検討ください。
デュタステリド服用時・取扱時の注意点
デュタステリドを服用する上での注意点は以下の通りです。
解説 | 解説 |
---|---|
肝臓に持病があるときは医師に相談する | デュタステリドは肝臓で代謝されるため、肝機能障害などを患っている方は副作用が強く出る可能性があります。 |
PSA(血清前立腺特異抗原)検査を受けるときは事前に伝える | 前立腺がんの診断に用いられるPSA検査では、デュタステリドが数値に影響を及ぼす可能性があります。 |
女性や子どもはカプセルに直接触れない | 女性や子どものデュタステリド服用は危険です。薬剤は経皮吸収されるため、直接手の触れない場所で保管しましょう。 |
用法用量を守り、2回分同時に服用しない | デュタステリドは基本的に1日に1回、1錠を服用し、飲み忘れても同時に服用しないでください。 |
服用中および服用後6ヶ月間は献血をしない | デュタステリドは、血中濃度の半減期が3~5週間と長い医薬品です。献血者に影響を与えるため、服用中止後は血中濃度が下がるまで献血できません。 |
その他、体質や持病で不安な点がありましたら、お近くの医療機関で相談してみましょう
デュタステリドとミノキシジルとの併用で発毛を促す
AGA治療の効果を高めるために、デュタステリドとミノキシジルを併用する場合があります。
ミノキシジルは、毛母細胞や毛乳頭細胞を活性化させ、発毛や育毛を促すための薬です。市販の育毛剤にも配合されているなど、脱毛症の治療薬として広く普及しています。
デュタステリドとミノキシジルは作用機序が異なるため、併用によって副作用が強まるリスクがなく、同時に服用しても問題ありません。
また、デュタステリド単体よりも高い発毛効果を期待できることから、クリニックの多くが併用を推奨しています。
デュタステリドの価格
アイシークリニックでは、デュタステリドを主成分とするAGA治療薬「ザガーロ」およびジェネリック医薬品の処方を行っております。
料金の詳細は、AGA・FAGA・薄毛の料金表よりご確認ください。
デュタステリドに関するよくある質問
最後に、デュタステリドに関してよくある質問をまとめました。
Q.ザガーロのジェネリック医薬品を処方してもらえますか?
当院では、ご希望により、ザガーロのジェネリック医薬品を処方いたします。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に開発された、新薬と同じ有効成分を含む薬のことです。厚生労働省の承認を受け、日本の審査基準を満たした上で製造・販売されています。
新薬と同等の効果を期待できるだけでなく、新薬より価格が抑えられている点がジェネリック医薬品の特徴です。
ザガーロのジェネリック医薬品(後発医薬品)としては、次の4つが国内で販売されています。
商品名 | 製薬会社 |
---|---|
デュタステリドカプセル0.5mgZA「トーワ」 | 東和薬品 |
デュタステリドカプセル0.5mgZA「サワイ」 | 沢井製薬 |
デュタステリドカプセル0.5mgZA「MYL」 | マイランEPD |
デュタステリドカプセル0.5mgZA「BMD」 | SKIファーマ |
クリニックによっては、先発医薬品の「ザガーロ」だけでなく、ご希望に応じてジェネリック医薬品の処方も行っております。
Q.デュタステリドの服用で初期脱毛は起きますか?
デュタステリドの服用を開始すると、一時的に抜け毛が増えることがあります。
これは「初期脱毛」と呼ばれるもので、AGAにより生じた細く柔らかい毛髪が抜け落ちる現象です。デュタステリドの作用によってヘアサイクルが正常化している証拠であり、しばらくすると太く強い毛が生えてきます。
個人差はあるものの、初期脱毛は服用開始から1~2ヶ月間ほどでおさまるケースが多いです。あまりにも初期脱毛が続く場合は、担当の医師にご相談ください。
Q.個人輸入でデュタステリドを通販から購入しても問題ないですか?
薬の個人輸入には、重大な健康被害を引き起こすリスクがあります。
インターネットの普及により、個人でも海外から薬を購入できるようになりました。しかし、医薬品の個人輸入には次のようなリスクがあります。
- 品質・有効性・安全性の確認ができない
- 正規品ではなく偽造品の恐れがある
- 副作用が起きた場合に適した対処ができない
健康被害のリスクを避けるため、デュタステリドは病院やクリニックで処方してもらいましょう。
持病や併用薬によって処方内容が変わるため、まずは一度病院やクリニックへ相談しましょう。
Q.デュタステリドは女性でも服用可能でしょうか?
デュタステリドを女性が服用することは禁止されています。
そもそも、デュタステリドは女性の薄毛に対する効果が認められていません。特に妊娠中や授乳中の方は、赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるため決して服用をしないでください。
そのほか、男性ホルモンに作用する薬であることから、未成年者への服用もできません。
また、デュタステリドは皮膚からも吸収されるため、女性や子どもが触れる場所には置かないように注意が必要です。
Q.デュタステリドと一緒に飲み合わせてはいけないものはありますか?
デュタステリドと併用してはいけない禁忌薬(飲み合わせの悪い薬)はありません。
ただし、リトナビルなど「CYP3A4阻害薬」との併用には注意が必要です。
CYP3A4とは代謝酵素の一つで、ザガーロはCYP3A4によって代謝されます。CYP3A4阻害薬と併用すると、デュタステリドの血中濃度が上がる可能性があります。
主なCYP3A4阻害薬は以下の通りです。
プロテアーゼ阻害剤 | リトナビル、インジナビル、ネルフィナビルなど |
---|---|
マクロライド系抗生物質 | クラリスロマイシン、テリスロマイシン、エリスロマイシンなど |
アゾール系抗真菌薬 | ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール |
その他 | ネファゾドン(抗うつ薬)、ベルガモチン(グレープフルーツジュース含有成分)、ブプレノルフィン(鎮痛剤)など |
飲み方を変えて対応できる場合もあるため、服薬中の薬がある方は事前に医師までご相談ください。
Q.デュタステリドの効果はいつから実感できますか?
個人差はありますが、早ければ6ヶ月で効果を実感できる可能性があります。
デュタステリドは服用してすぐに効果が現れる薬ではありません。ヘアサイクルが正常化され、新しい髪の毛が成長するまでには時間を要するためです。
したがって、早い方でも6ヶ月は様子を見る必要があります。自己判断で中断せずに、服用を続けていきましょう。
服用開始から6ヶ月以上経っても効果が見られない場合は、一度医師にご相談ください。
まとめ:デュタステリドはAGAの薄毛・抜け毛を改善する治療薬
デュタステリドは男性型脱毛症(AGA)の治療薬です。AGAの原因である5αリダクターゼのはたらきを阻害し、ヘアサイクルの正常化を目指します。
病院やクリニックでは、医師の判断のもと、デュタステリド配合の医薬品「ザガーロ」およびジェネリック医薬品の処方が可能です。
対面診療により患者さまの症状や体質を確認し、効果や副作用を確認しながら治療を進めていきます。
薄毛や抜け毛でお悩みの方は、一度医療機関へご相談ください。