脇の下は蒸れやすく、汗が溜まりやすい部位であるため、あせも(汗疹)ができやすい場所の一つです。かゆみや赤みが気になりながらも「たかがあせもだから」と放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。しかし脇の下のあせもは、悪化すると強いかゆみや痛みを伴うこともあり、場合によっては二次感染を起こすこともあります。この記事では、脇の下にあせもができる原因や種類、症状の特徴、自宅でできるケア方法、そして医療機関を受診すべきタイミングまで、幅広くわかりやすく解説していきます。
目次
- あせも(汗疹)とは何か
- 脇の下にあせもができやすい理由
- あせもの種類と脇の下に現れる症状の特徴
- 脇の下のあせもを悪化させる原因と注意点
- 自宅でできる脇の下のあせもケアと予防法
- 市販薬の選び方と使い方
- 病院を受診すべき症状とタイミング
- あせもの治療法(医療機関での対応)
- 脇の下のあせもとよく似た他の皮膚疾患との違い
- 日常生活でできる予防のポイント
- まとめ
この記事のポイント
脇の下のあせもは蒸れや高い汗腺密度が原因で発症しやすく、清潔保持・冷却・通気性確保の自宅ケアが基本。1〜2週間改善しない場合や膿・発熱を伴う場合は皮膚科受診が必要。
🎯 あせも(汗疹)とは何か
あせも(汗疹)とは、汗腺(エクリン汗腺)の出口が詰まることで汗の排出が妨げられ、皮膚の内側に汗が溜まって起こる炎症性の皮膚疾患です。医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれ、英語では「Miliaria(ミリアリア)」とも表記されます。
汗は体温調節のために皮膚表面に分泌されますが、大量の汗をかいた状態が続くと、汗腺の開口部(汗孔)が角質や皮脂などによって塞がれることがあります。この状態になると、汗が正常に皮膚の外に排出されず、汗腺の中や周囲の組織に蓄積し、炎症を引き起こします。これがあせもの発生メカニズムです。
あせもは乳幼児や子どもに多いイメージがありますが、大人でも汗をかきやすい夏場や、運動・肉体労働などで長時間発汗が続く状況下では誰でも発症する可能性があります。特に脇の下・首・膝の裏・肘の内側・股間など、皮膚が重なって蒸れやすい部位に起きやすい傾向があります。
Q. 脇の下にあせもができやすい理由は何ですか?
脇の下は皮膚が重なり空気が通りにくいため湿度が上がりやすく、汗が蒸発しにくい構造です。エクリン汗腺の密度が高く発汗量も多い上、アポクリン汗腺や皮脂分泌が活発で汗孔が詰まりやすい環境が整っています。衣服との摩擦や制汗剤の使用も発症要因となります。
📋 脇の下にあせもができやすい理由
脇の下は、体の中でも特にあせもができやすい部位の一つです。その理由は複数あります。
まず、脇の下は皮膚が重なり合い、空気が通りにくい構造になっています。このため湿度が上がりやすく、汗が蒸発しにくい環境が生まれます。汗が皮膚の表面に残り続けると、汗孔が詰まりやすくなり、あせもの原因となります。
次に、脇の下はエクリン汗腺の密度が高い部位でもあります。体全体でエクリン汗腺は200〜400万個存在するといわれていますが、脇の下はその密度が比較的高く、多くの汗が分泌されます。さらに、脇の下にはアポクリン汗腺も多く存在しており、皮脂分泌も活発であるため、毛穴や汗孔が詰まりやすい環境が整っています。
また、衣服との摩擦も一因となります。袖の内側が脇の下と接触し、摩擦による刺激が皮膚を傷つけたり、汗腺の開口部に影響を与えたりすることがあります。夏場に着用する化学繊維素材の服は吸湿性が低いため、汗が逃げにくく、脇の下の蒸れをさらに助長することがあります。
さらに、制汗剤や脱毛クリームなどを脇の下に使用することで、皮膚表面の環境が変化し、汗孔が詰まりやすくなることも指摘されています。特にスプレータイプや粉末タイプの制汗剤を過剰に使用した場合、汗孔を物理的に塞いでしまうリスクがあるとされています。
💊 あせもの種類と脇の下に現れる症状の特徴
あせもにはいくつかの種類があり、それぞれ症状の現れ方が異なります。脇の下に生じるあせもの特徴を理解することで、適切な対処法を選ぶことができます。
🦠 水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
最も軽度のあせもで、汗腺の出口が皮膚の最も浅い層(角質層)で詰まって起こります。直径1〜3mm程度の透明あるいは白色の小さな水疱が皮膚表面に現れます。かゆみや痛みはほとんどなく、水疱は破れやすいのが特徴です。自然に治ることが多く、数日で消退することが多いです。脇の下でも起こりますが、頭や首など汗をかきやすい部位に多く見られます。
👴 紅色汗疹(こうしょくかんしん)
一般的に「あせも」というと、この紅色汗疹を指すことがほとんどです。汗腺の詰まりが表皮の深い部分(有棘層)で起こり、炎症を伴うため、赤みを帯びた小さな丘疹(ブツブツ)が多数現れます。強いかゆみや灼熱感(ヒリヒリした刺激感)を伴うことが多く、脇の下のように蒸れやすい部位に特に多く発症します。汗をかくたびにかゆみが増す傾向があり、日常生活への支障も大きくなることがあります。
🔸 深在性汗疹(しんざいせいかんしん)
汗腺の詰まりが皮膚の深い部分(真皮層)で起こる最も重篤なタイプです。皮膚の色に近い小さな丘疹が現れ、かゆみよりも無汗症(その部位で汗をかけなくなる状態)が問題となります。日本ではあまり多くなく、熱帯地方や高温多湿の環境で繰り返し大量の汗をかく人に見られることがあります。脇の下での発症例は比較的まれですが、重症例では医療機関での対応が必要です。
💧 膿疱性汗疹(のうほうせいかんしん)
紅色汗疹が細菌感染を起こして膿疱(膿が入った水疱)を形成したものです。脇の下は皮膚が柔らかく摩擦を受けやすいため、かきむしりによる傷から細菌が侵入しやすく、膿疱性汗疹に移行するリスクがあります。赤みが強くなったり、痛みや熱感を感じたりするようになった場合は、この状態が疑われます。
Q. 脇のあせもの種類と症状の違いを教えてください
あせもは主に4種類あります。透明な水疱でかゆみのない「水晶様汗疹」、赤みと強いかゆみを伴う最も一般的な「紅色汗疹」、無汗症を引き起こす重篤な「深在性汗疹」、細菌感染で膿疱を形成する「膿疱性汗疹」です。脇の下では紅色汗疹が最も多く見られます。
🏥 脇の下のあせもを悪化させる原因と注意点
脇の下のあせもは、日常的な習慣や環境によって症状が悪化しやすいです。以下のような原因に注意することが大切です。
✨ 掻きむしり
あせもによるかゆみが強い場合、無意識に掻いてしまうことがあります。しかし掻くことで皮膚表面に傷がつき、そこから黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入して二次感染を起こすリスクが高まります。特に脇の下は汗や皮脂が多く、細菌が繁殖しやすい環境であるため、掻きむしりは厳禁です。かゆみを感じたときは冷やすなど別の方法でやり過ごすことが重要です。
📌 高温多湿の環境
夏場の高温多湿な環境は、あせもの大敵です。外気温が高いと体温を下げるために大量の汗が分泌され、脇の下が常に湿った状態になります。エアコンの効いた部屋でも、外出時に汗をかいた後に適切にケアしないと悪化することがあります。
▶️ 通気性の悪い衣服
ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は吸湿性・速乾性が低く、脇の下に汗がこもりやすくなります。また、体にフィットしすぎる服は脇の下の皮膚を締め付け、通気性をさらに低下させます。
🔹 制汗剤の過剰使用
制汗剤の成分によっては、汗腺の開口部を物理的に塞ぐ作用を持つものがあります。においを抑えるために多量に使用すると、汗の排出が妨げられてあせもが悪化することがあります。また、肌に合わない制汗剤が接触皮膚炎を引き起こし、あせもの症状を増悪させることもあります。
📍 長時間の運動や肉体労働
長時間の運動や屋外での肉体労働は、継続的な発汗を促します。汗をかき続けた後に適切に皮膚を清潔にしないと、汗に含まれる塩分や老廃物が皮膚に残り、汗孔を詰まらせる原因となります。
💫 肥満・体型
体重が多いと脇の下の皮膚が重なりやすくなり、摩擦や蒸れが増します。また、発汗量も増える傾向があるため、あせもができやすい体質といえます。
⚠️ 自宅でできる脇の下のあせもケアと予防法
脇の下のあせもが軽度であれば、自宅でのケアで症状が改善することがほとんどです。以下のポイントを参考にしてください。
🦠 こまめに汗を拭く・洗い流す
汗をかいたらできるだけ早く清潔にすることが大切です。タオルや清潔なハンカチで汗を拭く際は、ゴシゴシこすらず、優しく押さえるようにして拭き取ります。可能であればシャワーを浴びて脇の下を流水でさっと洗い流すと、汗や汚れを取り除くことができます。
👴 洗浄はやさしく行う
ボディソープや石けんを使って脇の下を洗う際は、泡立てて優しく撫でるように洗います。ナイロンタオルなどで強くこすると皮膚のバリア機能が低下し、あせもが悪化します。洗浄後はしっかりとすすいで洗剤が残らないようにしましょう。洗いすぎも皮膚のバリア機能を損なうため、1日2回程度を目安にしてください。
🔸 入浴でリセットする
ぬるめのお湯(38〜40℃程度)での入浴は、皮膚表面の汗や汚れを取り除き、汗孔を開かせる効果があります。熱いお湯は皮膚への刺激が強く、かゆみが悪化する場合があるため注意が必要です。入浴後は清潔なタオルで水分をそっと押さえ、皮膚が乾いてから保湿ケアを行いましょう。
💧 冷やしてかゆみを和らげる
かゆみがつらいときは、冷たいタオルや保冷剤をタオルに包んで患部に当てると、一時的にかゆみを和らげることができます。直接氷や保冷剤を当てると凍傷の危険があるため、必ずタオルなどで包んでから使用してください。冷やすことで炎症が少し落ち着き、掻きむしりの衝動を抑える効果も期待できます。
✨ 皮膚を清潔に保ちつつ保湿する
あせもの皮膚はバリア機能が低下していることが多いため、入浴後など皮膚が清潔な状態でローションや乳液などの保湿剤を使用することが有効です。ただし、脇の下のようなにじんだ部位は油分が多い保湿剤(クリームや軟膏タイプ)よりも、さらっとしたローションやジェルタイプの保湿剤の方が適していることがあります。皮膚の状態を見ながら使い分けましょう。
📌 通気性の良い衣服を選ぶ
コットンや麻などの天然素材で作られた吸湿性・通気性に優れた衣服を選ぶことが重要です。近年は吸湿速乾機能を持つ素材も多く、これらをうまく活用することも一つの手段です。脇の下に余裕があるデザインの服を選ぶと、摩擦と蒸れを軽減できます。
▶️ 環境を涼しく保つ
室内ではエアコンや扇風機を活用して、涼しい環境を維持することがあせもの予防と改善に役立ちます。特に就寝時は気温が上がると発汗が増えるため、寝室の温度・湿度管理が大切です。
🔍 市販薬の選び方と使い方
脇の下のあせもに対して市販薬を使用する場合は、症状に合った薬剤を選ぶことが重要です。
🔹 かゆみが強い場合
かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンマレイン酸塩など)やかゆみ止め成分を含むローションやクリームが有効です。メントールを含む製品はひんやりとした清涼感があり、かゆみを一時的に和らげる効果があります。ただし、メントールは刺激が強い場合もあるため、炎症が強いときは注意が必要です。
📍 炎症が強い場合
赤みや腫れなど炎症が強い場合は、弱いステロイド成分(ヒドロコルチゾン酢酸エステルなど)を含む市販の外用薬が選択肢となります。ただし、ステロイド外用薬は自己判断での長期使用は推奨されません。脇の下は皮膚が薄く、薬の吸収が良いため、ステロイドの副作用が出やすい部位でもあります。1週間程度使用しても改善しない場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
💫 剤形の選択
脇の下のような蒸れやすい部位には、油性の軟膏よりもさらっとしたローション・ジェル・パウダースプレータイプの製品が適しています。軟膏は密閉性が高くべたつくため、蒸れを助長しやすい場合があります。ただし、かなり皮膚が乾燥・荒れている場合は、医師の指導のもとで使用する製品を決めることが安全です。
🦠 市販薬の使用上の注意
市販薬はあくまで一時的な症状緩和を目的としたものです。使用説明書をよく読み、用法・用量を守ることが大切です。症状が長引く・悪化する・発熱や強い痛みを伴うなどの場合は、自己治療を続けずに早めに皮膚科を受診してください。
Q. 脇のあせもを自宅でケアする方法は何ですか?
脇の下のあせもの基本ケアは、汗をかいたらこすらず優しく押さえて拭き取り、シャワーで洗い流すことです。入浴は38〜40℃のぬるめのお湯が適切です。かゆみが強い場合は保冷剤をタオルで包んで冷やし、コットン素材など通気性の良い衣服を選ぶことも症状改善に有効です。
📝 病院を受診すべき症状とタイミング
軽度のあせもは自宅ケアで改善することが多いですが、以下のような症状が見られる場合は医療機関(皮膚科)への受診を検討してください。
脇の下のあせもが1〜2週間以上経過しても改善しない場合は、他の皮膚疾患の可能性や治療が必要な状態になっている可能性があります。市販薬を使っても症状が悪化したり、新たなブツブツが増えてきたりする場合も受診のサインです。
赤みが強くなり、患部が腫れ上がったり、触ると熱を持つような感覚がある場合は、細菌感染(とびひ・蜂窩織炎など)が起きている可能性があります。このような状態では、抗菌薬による治療が必要となることが多いため、早急に受診することをおすすめします。
患部から膿が出ている場合は、二次感染が起きているサインです。自己判断でつぶしたり、絞り出したりすることは感染を広げるリスクがあるため、必ず医師に診てもらうようにしましょう。
発熱を伴う場合も注意が必要です。皮膚の感染症が進行すると全身症状として発熱が現れることがあります。発熱と脇の下の皮膚症状が同時に起きている場合は、早めに皮膚科または内科を受診してください。
また、乳幼児や高齢者、基礎疾患(糖尿病など)をお持ちの方は免疫機能が低下しやすく、感染が広がりやすいため、症状が軽度であっても早めに医療機関を受診することをおすすめします。
💡 あせもの治療法(医療機関での対応)
皮膚科を受診した場合、あせもの種類や重症度に応じて以下のような治療が行われます。
👴 外用ステロイド薬
炎症が強い紅色汗疹には、ステロイド外用薬が処方されます。市販薬よりも濃度が高いものから医師の判断で適切なランクが選ばれます。脇の下は皮膚吸収率が高いため、医師の処方によるコントロールが重要です。適切な使用量と使用期間を守ることで、副作用のリスクを最小限に抑えつつ炎症を改善することができます。
🔸 抗ヒスタミン薬(内服)
かゆみが強い場合は、内服の抗ヒスタミン薬(花粉症の薬と同じ成分のものが多いです)が処方されることがあります。かゆみを根元から抑えることで、掻きむしりによる悪化を防ぐ効果があります。眠気が出る薬と出にくい薬があるため、生活スタイルに合わせて医師に相談してください。
💧 抗菌薬(二次感染がある場合)
細菌感染(二次感染)を起こしている場合は、抗菌薬(抗生物質)の外用薬や内服薬が処方されます。よく使われる細菌は黄色ブドウ球菌などで、ふきでものや膿疱を形成します。感染の程度によって外用だけで済む場合と、内服抗菌薬が必要な場合があります。
✨ 保湿剤・スキンケア指導
皮膚のバリア機能回復のために、保湿剤が処方されたり、適切なスキンケアの方法について指導を受けたりすることもあります。炎症が治まった後も皮膚のバリア機能が低下している状態が続くと再発しやすいため、日常的な保湿ケアが重要です。
📌 亜鉛華軟膏(酸化亜鉛軟膏)

昔からあせもに使用されてきた外用薬で、皮膚を保護し、炎症を緩和する作用があります。特に乳幼児のあせもに対して処方されることが多く、副作用が少ないため安全性が高い薬剤です。大人の脇の下のあせもにも有効な場合があります。
Q. 脇のあせもで病院を受診すべき症状は何ですか?
市販薬を使用しても1〜2週間以上改善しない場合、赤みや腫れが強くなった場合、患部から膿が出ている場合、発熱を伴う場合は皮膚科への受診が必要です。脇の下には接触皮膚炎やカンジダ症などあせもと似た疾患も多く、自己判断での治療継続には限界があるため、早めの受診をお勧めします。
✨ 脇の下のあせもとよく似た他の皮膚疾患との違い
脇の下にできる皮膚トラブルは、あせも以外にも多数あります。症状が似ているため自己判断が難しい場合も多く、正確な診断のためには皮膚科の受診が最も確実です。以下に代表的な皮膚疾患との違いを説明します。
▶️ 接触皮膚炎(かぶれ)
特定の物質(制汗剤・洗剤・金属・植物など)に触れることで生じるアレルギー性または刺激性の炎症です。あせもと似た赤みやかゆみを生じますが、接触皮膚炎は原因物質に触れた部分に一致して症状が現れます。脇の下に使用している制汗剤や衣服の素材を変えた後に症状が出た場合は、接触皮膚炎が疑われます。
🔹 毛嚢炎(もうのうえん)
毛根の周囲(毛嚢)に細菌が感染して炎症を起こした状態です。脇の下の毛嚢炎は、脱毛処理(剃刀・ワックス・レーザー脱毛など)後に起こりやすいです。毛穴を中心とした小さな赤いブツブツや膿疱が特徴で、あせもよりも個々の病変が毛穴に対応した位置に出る点が異なります。
📍 化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)
アポクリン汗腺の炎症や閉塞によって起こる慢性炎症性皮膚疾患で、脇の下・鼠蹊部・臀部などに繰り返し痛みを伴う結節や膿瘍、瘻孔(ろうこう:皮膚に穴が開く状態)を形成します。あせもとは異なり、慢性的に繰り返す点や、痛みを伴う深部の腫瘤が特徴です。治療にはステロイド・抗菌薬・生物学的製剤・外科的処置などが必要になる場合があります。
💫 アトピー性皮膚炎
アレルギー体質の方に多い慢性的な皮膚疾患で、皮膚のバリア機能低下によって繰り返す湿疹・かゆみが特徴です。脇の下の皮膚が荒れてかゆみが続く場合、あせもではなくアトピー性皮膚炎の可能性もあります。アトピー性皮膚炎がある方はあせもも起こしやすいため、両者が合併していることもあります。
🦠 カンジダ症(間擦疹)
カンジダというカビ(真菌)が皮膚に感染して起こる皮膚疾患です。脇の下のように蒸れた皮膚が重なる部位に起こりやすく、赤みや湿疹を形成します。あせもと外見が似ているため区別が難しいですが、カンジダ症は皮膚の端の部分に衛星状の小さな発疹(衛星病変)が見られることが特徴です。抗真菌薬による治療が必要で、ステロイドだけでは悪化することがあります。
📌 日常生活でできる予防のポイント
あせもは発症してから治療するよりも、日常生活の中で予防することが最も効果的です。脇の下のあせもを防ぐための実践的なポイントをご紹介します。
👴 汗をかいたらすぐに対処する
汗をかいた後に長時間そのままにしておくと、汗が皮膚に残り汗孔を詰まらせる原因になります。外出先では携帯用の汗拭きシートを活用して、こまめに脇の下の汗を拭き取るようにしましょう。ただし、香料や刺激成分が含まれている汗拭きシートは皮膚への刺激になる場合があるため、肌に優しいタイプを選んでください。
🔸 適切な制汗剤の使い方
制汗剤を使用する場合は、皮膚が清潔で乾燥した状態に使用するのが基本です。過剰に使いすぎると汗孔を塞ぐ原因になるため、適量を守りましょう。あせもが発症している時期は制汗剤の使用を控えるか、低刺激性のものに切り替えることを検討してください。
💧 脱毛後のスキンケアを丁寧に
脇の下の脱毛(シェービング・ワックス脱毛・レーザー脱毛など)後は皮膚が敏感になっており、あせもや毛嚢炎が起こりやすい状態です。脱毛後は皮膚を清潔に保ち、保湿ケアをしっかり行い、摩擦を避けるようにしましょう。処理直後に制汗剤を使用することも皮膚への刺激になるため、時間をおいてから使用することをおすすめします。
✨ 睡眠中の環境づくり
寝室の温度は26〜28℃、湿度は50〜60%程度を目安に管理し、通気性の良いパジャマを着用することで就寝中のあせもを予防できます。
📌 食事・体重管理
辛い食べ物やアルコールは発汗を促進するため、あせもが気になる時期には摂取量を控えめにすることも予防策の一つです。また、肥満は発汗量の増加と皮膚の摩擦増加につながるため、適切な体重管理も長期的な予防に役立ちます。
▶️ 水分補給と体調管理
適切な水分補給は体温調節機能を正常に保つために重要です。体が正常に機能することで汗の質(汗の成分バランス)も良くなり、汗孔が詰まりにくくなります。暑い日や運動時はこまめな水分補給を心がけましょう。
🔹 定期的な入浴・シャワー習慣
毎日入浴またはシャワーを行い、脇の下を含む皮膚を清潔に保つことが基本です。皮膚の汗・皮脂・古い角質を定期的に除去することで、汗孔の詰まりを予防できます。ただし、洗いすぎは皮膚のバリア機能を損なうため、やさしい洗浄を心がけてください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、脇の下のあせもを「たいしたことない」と放置した結果、掻きむしりによる二次感染で膿疱を形成した状態でご来院される患者様も少なくありません。脇の下は皮膚の吸収率が高く、ステロイド外用薬の使用にも注意が必要な部位ですので、市販薬を1週間程度使用しても改善が見られない場合や、赤みや腫れが強くなってきた場合は、早めに皮膚科へご相談いただくことをお勧めします。また、接触皮膚炎やカンジダ症など見た目が似た皮膚疾患も多いため、自己判断での治療継続には限界がありますので、お気軽にご来院ください。」
🎯 よくある質問
脇の下は皮膚が重なり合い空気が通りにくいため湿度が上がりやすく、汗が蒸発しにくい構造になっています。またエクリン汗腺の密度が高く発汗量が多いうえ、アポクリン汗腺や皮脂分泌も活発で汗孔が詰まりやすい環境が整っています。衣服との摩擦や制汗剤の使用も一因となります。
市販薬を使用しても1〜2週間以上改善しない場合、赤みや腫れが強くなった場合、患部から膿が出ている場合、発熱を伴う場合は皮膚科への受診をおすすめします。特に乳幼児・高齢者・糖尿病などの基礎疾患がある方は、症状が軽度でも早めにご相談ください。
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン成分やメントール配合のローションが有効です。炎症が強い場合はヒドロコルチゾン酢酸エステルなど弱いステロイド成分含有の外用薬が選択肢となります。剤形は蒸れやすい脇の下にはローション・ジェル・パウダースプレータイプが適しています。1週間使用しても改善しない場合は皮膚科を受診してください。
脇の下には接触皮膚炎・毛嚢炎・カンジダ症・化膿性汗腺炎など、あせもと外見が似た皮膚疾患が多く存在します。制汗剤使用後に症状が出た場合は接触皮膚炎、脱毛後は毛嚢炎、慢性的に繰り返す痛みを伴う腫れは化膿性汗腺炎が疑われます。自己判断には限界があるため、症状が続く場合は皮膚科での正確な診断を受けることをおすすめします。
汗をかいたらこすらず優しく押さえて拭き取り、できればシャワーで洗い流すことが基本です。入浴は38〜40℃のぬるめのお湯が適切です。かゆみが強いときは保冷剤をタオルで包んで冷やすと和らぎます。通気性の良いコットン素材の衣服を選び、室内はエアコンで涼しく保つことも症状の改善・予防に効果的です。
📋 まとめ
脇の下のあせもは、構造的に蒸れやすい部位であることや汗腺の密度が高いことから、特にできやすい皮膚トラブルの一つです。かゆみや赤みが気になるブツブツが現れた場合、まずは「清潔に保つ・冷やす・蒸れを防ぐ」という基本的なケアを実践することが大切です。
あせもの種類には水晶様汗疹・紅色汗疹・深在性汗疹・膿疱性汗疹があり、一般的によく見られるのは赤みとかゆみを伴う紅色汗疹です。軽度であれば自宅ケアや市販薬で改善できる場合がほとんどですが、1〜2週間経っても改善しない、悪化している、膿が出ている、発熱を伴うといった場合は、必ず皮膚科を受診してください。
また、脇の下の皮膚トラブルにはあせもに似た接触皮膚炎・毛嚢炎・化膿性汗腺炎・カンジダ症なども存在するため、自己判断で治療を続けることには限界があります。症状が疑わしい場合は専門の医師に相談し、正確な診断を受けることが早期回復への近道です。
日常生活の中で通気性の良い衣服の選択・こまめな汗の処理・適切な入浴習慣・室内環境の管理などを実践することで、あせもは十分に予防できる疾患です。蒸し暑い季節が続く日本の夏において、脇の下のあせもに悩む前に、日頃からのスキンケアと環境づくりを意識してみてください。
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