子どもの肌に突然現れた小さな水ぶくれ。「これはあせも?それとも水疱瘡?」と不安になる保護者の方は少なくありません。どちらも皮膚に水疱(水ぶくれ)が現れることから、見た目だけでは判断が難しいケースがあります。しかし、水疱瘡(水痘)は感染力が非常に強いウイルス性の疾患であり、早期に適切な対応をとることが重要です。一方のあせもは汗腺のつまりによって生じる皮膚トラブルであり、対処法がまったく異なります。この記事では、水疱瘡とあせもの違いを症状・発生部位・経過などさまざまな観点から詳しく解説し、迷ったときの判断ポイントや受診の目安についてもお伝えします。
目次
- 水疱瘡(水痘)とはどんな病気か
- あせもとはどんな皮膚トラブルか
- 水疱瘡とあせもの見た目の違い
- 発疹が出る場所の違い
- 発熱・かゆみなど全身症状の違い
- 経過と回復過程の違い
- 水疱瘡の感染力と注意すべきこと
- 自宅でできる応急対処と注意点
- 病院を受診すべき判断ポイント
- まとめ
この記事のポイント
水疱瘡は発熱・頭皮や粘膜への発疹・多段階の発疹混在が特徴で感染力が非常に強い。あせもは汗がたまりやすい部位に限定した均一な発疹で発熱なし。判断に迷う場合は早めに皮膚科・小児科を受診し、水疱瘡は発症48〜72時間以内の抗ウイルス薬投与が重要。
🎯 水疱瘡(水痘)とはどんな病気か
水疱瘡は、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus:VZV)によって引き起こされるウイルス感染症です。正式な医学的病名は「水痘(すいとう)」といい、一般的には「水疱瘡(みずぼうそう)」と呼ばれています。乳幼児から小学生の低学年に多く見られる疾患ですが、ワクチン未接種の成人や免疫が低下した方でも感染することがあります。
水疱瘡は非常に感染力が強く、感染者が発疹を発症する1〜2日前から、すべての発疹がかさぶたになるまでの間、他の人に感染させる可能性があります。飛沫感染・空気感染・接触感染の3つのルートで広がるため、同じ空間にいるだけで感染するリスクがあります。保育園や幼稚園で一人が感染すると、クラス全体に広がりやすいのはこのためです。
ウイルスが体内に入ってから発症するまでの潜伏期間は、通常14〜16日(2〜3週間程度)です。発疹が現れる前日から発症当日にかけて、発熱・倦怠感・食欲低下といった前駆症状が現れることがあります。その後、全身に特徴的な発疹が広がります。一度感染してしまうと、多くの場合は生涯にわたる免疫が得られます。しかし、ウイルスは体内に潜伏し続け、加齢や免疫低下をきっかけに「帯状疱疹」として再発することがあります。
日本では2014年から水痘ワクチンが定期接種となり、1歳と1歳6ヶ月の2回接種が推奨されています。ワクチンを2回接種することで、発症予防効果が高まり、感染した場合でも軽症で済むことが多くなります。ただし、ワクチンを接種していても完全に発症を防げるわけではないため、発疹が現れた際には慎重に観察することが大切です。
Q. 水疱瘡とあせもの発疹の見た目の違いは?
水疱瘡の発疹は直径2〜5mmで周囲が赤く、赤い斑点・水疱・膿疱・かさぶたが同時に混在する「多形性」が特徴です。一方あせもの発疹は1〜2mmと小さく均一で、周囲の赤みも少なく、複数の段階が混在することはありません。
📋 あせもとはどんな皮膚トラブルか
あせもは医学的に「汗疹(かんしん)」と呼ばれ、汗の出口(汗腺・エクリン汗腺)がつまることで起こる皮膚のトラブルです。汗が皮膚の表面や真皮内に溜まることで炎症を引き起こし、小さな発疹が現れます。感染症ではないため、他の人にうつる心配はありません。
あせもは高温多湿の環境、つまり夏場や梅雨時期に特に多く見られます。汗をかきやすい乳幼児や子ども、また肥満傾向のある方、長時間同じ姿勢で寝ている方にも発症しやすい傾向があります。皮膚が重なり合う部分(首・わきの下・肘の内側・ひざの裏・おむつがあたる部分など)に多く出現します。
あせもにはいくつかの種類があります。もっとも一般的なのは「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」で、透明または白色の小さな水ぶくれが現れます。これは汗腺の出口が皮膚のごく表面でつまった状態で、かゆみはほとんどなく、自然に消えることが多いです。次に多いのが「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」で、赤みを帯びた小さなブツブツが現れ、かゆみや刺激感を伴います。これは汗腺が皮膚のやや深いところでつまった状態です。また、細菌感染が加わると「膿疱性汗疹(のうほうせいかんしん)」となり、膿のたまった発疹が生じます。
あせもの対処には、汗をこまめにふき取る・通気性のよい衣類を着る・室温を適切に保つといった生活環境の改善が基本となります。症状が軽い場合はホームケアで回復することが多いですが、広範囲に広がっていたり、かゆみが強かったりする場合には皮膚科への受診が勧められます。
💊 水疱瘡とあせもの見た目の違い
水疱瘡とあせもはどちらも皮膚に水ぶくれのような発疹が現れるため、一見すると区別がつきにくいことがあります。しかし、よく観察すると見た目にはっきりとした違いがあります。
水疱瘡の発疹は、最初は小さな赤みのある斑点(紅斑)として現れます。その後数時間以内に、中心部に水疱(水ぶくれ)が形成されます。この水疱は直径2〜5mm程度で、周囲が赤くなっており、透明または淡黄色の液体が入っています。発疹が現れてから1〜2日が経過すると、水疱は濁ってきて膿疱のような状態になり、その後かさぶた(痂皮)に変わっていきます。水疱瘡の特徴的な点は、発疹が同時に複数の段階で存在することです。つまり、同じ体の上に赤い斑点・水疱・膿疱・かさぶたが混在して見られます。これを「多形性の発疹」といい、水疱瘡を疑う重要な手がかりとなります。
あせも(水晶様汗疹)の発疹は、透明または白っぽい非常に小さな水ぶくれが特徴です。サイズは1〜2mm程度と水疱瘡より小さく、周囲に赤みがほとんどない(または少ない)ことが多いです。表皮のごく浅い部分にできているため、少し触れるだけで簡単につぶれることもあります。紅色汗疹の場合は赤みを帯びた小さなブツブツが集まって現れ、均一に同じ大きさ・状態のものが並んで見えます。水疱瘡のように複数の段階が混在するようなことはなく、発疹の形状が比較的均一です。
また、水疱瘡は1粒1粒の発疹がある程度間隔をあけて散在するのに対し、あせもは汗がたまりやすい部位に密集して現れることが多い傾向があります。発疹の数という観点では、水疱瘡は全身に数十から数百個の発疹が広がることがありますが、あせもは特定の部位に限定して現れることが多いです。
Q. 水疱瘡の発疹が出やすい体の部位はどこですか?
水疱瘡の発疹は体幹(胸・背中・おなか)から始まり、頭皮・顔・手足へ全身に広がります。特に「頭皮や口の中などの粘膜にも発疹が出る」ことが大きな特徴です。あせもでは粘膜に発疹が出ることはほぼないため、これらの部位への発疹は水疱瘡を強く疑うサインになります。
🏥 発疹が出る場所の違い
発疹が現れる場所も、水疱瘡とあせもを見分けるための重要な手がかりになります。
水疱瘡の発疹は、最初に体幹(胸・背中・おなか)から始まることが多く、その後頭皮・顔・手足へと広がっていきます。水疱瘡の非常に特徴的な点のひとつが「頭皮にも発疹が出る」ことです。頭皮に発疹ができることはあせもではほとんどなく、頭皮に水ぶくれを見つけた場合は水疱瘡を強く疑うサインとなります。また、口の中(口腔粘膜)・まぶたの裏・外陰部などの粘膜にも発疹が現れることがあります。手のひらや足の裏には比較的少ないとされていますが、全身のどこにでも発症しうるのが水疱瘡の特徴です。
あせもが出やすい部位は、汗がたまりやすい場所・皮膚が重なる部分・衣服で覆われた場所です。具体的には、首の周り・わきの下・肘の内側・ひざの裏・おなか周り・背中・おむつがあたる部分(乳幼児の場合)などが代表的です。汗をかいた後に特定のこうした部位に発疹が集中して現れている場合は、あせもの可能性が高いといえます。頭皮にもあせもが出ることはありますが、顔全体・胸・背中・おなかに広がることはほとんどありません。特に、粘膜(口の中・目のまわりなど)に発疹が出ることはあせもでは考えにくいです。
まとめると、発疹が全身(頭皮・顔・体幹・四肢)に広がっており、粘膜にも発疹が見られる場合は水疱瘡を疑う必要があります。一方、汗をかきやすい特定の部位に限定して発疹が密集している場合はあせもの可能性が高いといえます。
⚠️ 発熱・かゆみなど全身症状の違い
発疹の見た目や場所だけでなく、発熱などの全身症状を確認することも、水疱瘡とあせもを区別する上で非常に役立ちます。
水疱瘡では、発疹が現れる前後に発熱が起こることが多いです。特に、発疹が現れる1〜2日前から微熱が出始め、発疹と同時期に38℃前後の発熱が見られます。発熱の程度は個人差があり、高熱になる子どもがいる一方で、ほとんど熱が出ない軽症のケースもあります。発熱のほかに、倦怠感(体がだるい)・食欲不振・頭痛・のどの痛みなどの症状を伴うこともあります。水疱瘡のかゆみは非常に強いことが多く、子どもが発疹をかいてしまいやすいため、引っかき傷から細菌感染(とびひ)が起こるリスクがあります。また、かさぶたになる前に引っかいてしまうと、傷あとが残ることもあります。
あせもでは、基本的に発熱はありません。あせもが原因で体温が上がることはなく、発疹が出ても元気で食欲がある場合がほとんどです。かゆみについては、あせもの種類によって異なります。水晶様汗疹はかゆみがほとんどなく、紅色汗疹ではかゆみやヒリヒリとした刺激感を感じることがあります。ただし、水疱瘡のように「強烈なかゆみで子どもが我慢できないほど」になることは少ないです。あせもは汗をかいた後や、高温多湿の環境にいるときに悪化しやすく、涼しい場所に移動したり汗をふき取ったりすることで症状が改善することがあります。
したがって、発疹と同時に発熱・倦怠感などの全身症状がある場合は水疱瘡を強く疑い、発熱がなく元気な様子であればあせもの可能性が高いと考えられます。ただし、水疱瘡でも軽症の場合は発熱が目立たないこともあるため、発熱がないからといって水疱瘡を完全に否定することはできません。
Q. 水疱瘡ウイルスに接触した後に取れる予防策はありますか?
水疱瘡ウイルスへの感染が疑われる場合、接触から72時間以内であれば暴露後予防接種が発症予防に有効なことがあります。ワクチン未接種で未感染の場合、感染者との接触による発症率は90%以上とされるため、接触後はできるだけ早くかかりつけ医や皮膚科・小児科に相談することが重要です。
🔍 経過と回復過程の違い
症状がその後どのように変化していくか、つまり「経過」を観察することも、水疱瘡とあせもを見極めるポイントになります。
水疱瘡の経過は比較的特徴的です。発疹が最初に現れてから、2〜3日かけて次々と新しい発疹が出現し、全身に広がっていきます。発疹は「赤い斑点→水疱→膿疱→かさぶた」というサイクルをたどり、これが同時に複数の段階で進行するため、体の中にさまざまな状態の発疹が混在します。最初の発疹が現れてから、すべての発疹がかさぶたになるまでは通常7〜10日程度かかります。すべての発疹がかさぶたになった時点で感染力が消え、保育園や学校への登園・登校が可能になります(学校保健安全法による出席停止の解除基準)。かさぶたは自然にはがれ落ち、多くの場合は跡が残りませんが、引っかいた場合は色素沈着や傷あとが残ることがあります。
あせもの経過は、環境を改善すれば比較的速やかに回復するのが特徴です。涼しい環境に移動する・汗をふき取る・通気性のよい衣類に着替えるといった対処をとることで、数日以内に症状が改善していきます。特に水晶様汗疹は、涼しくなると自然に消えることがほとんどです。ただし、暑い環境が続く間は再発を繰り返すこともあります。あせもが次々と新しい部位に広がっていく・かさぶたになる・粘膜に発疹が出るといったことは起こりません。もし環境を改善してもなかなか良くならない場合は、二次的な細菌感染(とびひなど)が起きている可能性があります。
経過を観察する上での重要なポイントは「新しい発疹が次々と出てきているかどうか」と「環境を改善したら症状が変化するかどうか」です。涼しい場所に移動しても改善しない・発疹が日ごとに増えて広がっていく・かさぶたができてくるといった場合には、水疱瘡の可能性が高まります。
📝 水疱瘡の感染力と注意すべきこと
水疱瘡は感染力が非常に強い疾患です。この点はあせもとの根本的な違いのひとつであり、水疱瘡を疑った場合には早急に周囲への感染拡大を防ぐための行動をとることが求められます。
水疱瘡ウイルスの感染力は、感染症の中でもトップクラスに位置します。空気感染が可能であるため、同じ室内にいるだけで感染するリスクがあります。特に、ワクチン未接種で水疱瘡にかかったことがない人は感染するリスクが非常に高く、感染者と接触した場合の発症率は90%以上ともいわれています。
感染力が出る時期は、発疹が現れる1〜2日前から始まります。つまり、発疹が出る前から他の人にうつしている可能性があるということです。発疹が出てからは、すべての発疹が完全にかさぶたになるまでの間(通常は発症から7〜10日程度)、感染力が持続します。この期間中は、保育園・幼稚園・学校などへの登園・登校を控える必要があります(学校保健安全法では、「すべての発疹がかさぶたになるまで」を出席停止の基準としています)。
水疱瘡の感染が特に問題となるのは、妊娠中の女性・新生児・免疫機能が低下している方(がんの治療中など)です。妊娠初期に水疱瘡に感染すると、胎児に先天性水痘症候群を引き起こす可能性があります。また、妊娠後期(36週以降)や分娩前後に感染すると、新生児に重篤な水疱瘡を引き起こすことがあります。免疫が低下している方では、重症化して肺炎・脳炎などの合併症を起こすリスクが高まります。
水疱瘡を疑う症状が出た場合は、家族の中に妊婦さんや免疫が低下している方がいないか確認し、接触を避けるよう注意することが大切です。また、きょうだいがいる場合も、ワクチン未接種であれば感染している可能性があるため、注意深く観察する必要があります。
なお、水疱瘡ウイルスに感染した可能性がある場合(感染者と接触してから72時間以内)には、緊急ワクチン接種(暴露後予防接種)が有効なことがあります。接触後できるだけ早くかかりつけ医または皮膚科・小児科に相談してください。
Q. 水疱瘡の子どもに使ってはいけない薬はありますか?
水疱瘡の子どもにアスピリン(解熱鎮痛薬の一種)を使用することは厳禁です。「ライ症候群」という重篤な合併症を引き起こす危険性があります。解熱が必要な場合はアセトアミノフェン(カロナールなど)を選択してください。使用前にかかりつけ医へ相談することをお勧めします。
💡 自宅でできる応急対処と注意点
水疱瘡またはあせもを疑う症状が出た場合、受診するまでの間や受診後に自宅でできることを理解しておくことが大切です。それぞれの対処法は大きく異なります。
まず、あせもが疑われる場合の対処法についてお伝えします。もっとも重要なのは、発汗を減らし清潔を保つことです。汗をかいたら速やかにふき取るか、シャワーで洗い流します。ただし、石けんで強くこするのは避け、やさしく洗い流す程度にとどめましょう。衣類は通気性のよいコットン素材のものを選び、ゆったりとしたサイズを着用することが勧められます。室温は冷房を活用して適切に保ちましょう(目安:26〜28℃程度)。かゆみが強い場合は市販のあせも薬(カラミンローションや非ステロイド系の外用薬)を使用することで症状を和らげることができます。ただし、症状が改善しない場合や広範囲に及ぶ場合は、ステロイド外用薬を処方してもらうために皮膚科を受診することをお勧めします。
水疱瘡が疑われる場合の対処法は、まず感染拡大を防ぐことが最優先です。家族内でタオルや衣類の共有を避け、患者を個室に隔離するよう心がけます。発疹を引っかかないよう、子どもの爪を短く切っておくことも大切です。かゆみが強い場合は、冷たいタオルで患部を冷やす・抗ヒスタミン薬の内服(かかりつけ医に相談の上)・カラミンローションの塗布などが有効です。ただし、アスピリン(解熱鎮痛薬の一種)の使用は避けてください。水疱瘡の子どもにアスピリンを使用すると「ライ症候群」という重篤な合併症を引き起こす危険性があるためです。解熱が必要な場合はアセトアミノフェン(カロナールなど)を選択してください。
水疱瘡の発疹は、つぶしたり、無理にはがしたりしないようにしましょう。発疹から分泌される液体にはウイルスが含まれており、さらなる感染拡大や傷あとの原因になります。入浴については、発熱がなく全身状態が良好であれば短時間のシャワーは可能です。ただし、長時間の入浴や温泉などは避け、体をこすらずやさしく洗い流す程度にとどめます。入浴後は清潔なタオルで軽く押さえるようにして水気を取ります。
✨ 病院を受診すべき判断ポイント

「水疱瘡かな?あせもかな?」と悩んでいる方に向けて、病院を受診すべきタイミングと受診先についてわかりやすく解説します。
以下のような症状がある場合は、速やかに病院を受診することをお勧めします。
一つ目は、発熱を伴う場合です。あせもでは発熱が起こることはないため、発疹と同時に発熱がある場合は水疱瘡など感染症の可能性を考える必要があります。特に38℃以上の発熱が続く場合は早めに受診しましょう。
二つ目は、頭皮や粘膜(口の中・まぶたの裏・外陰部など)に発疹がある場合です。これらの部位にあせもが出ることはまれであり、水疱瘡を疑うサインです。口の中に水ぶくれがあって食事がとりにくくなっている場合も受診が必要です。
三つ目は、発疹が全身に広がり、異なる段階(赤い斑点・水疱・かさぶたなど)の発疹が混在している場合です。これは水疱瘡の特徴的なパターンであり、早期診断・治療のために受診が重要です。
四つ目は、発疹のかゆみが非常に強く、子どもが激しく引っかいている場合です。ひっかき傷から細菌感染(とびひ)が起こる前に受診し、かゆみを抑える治療を受けることが大切です。
五つ目は、発疹が現れてから数日経っても改善しない・むしろ悪化している場合です。あせもであれば環境を改善することで数日以内に回復してきますが、それでも改善しない場合は別の疾患の可能性があります。
六つ目は、高熱・激しい頭痛・首のこわばり・意識の変化・ひどい嘔吐などの症状がある場合です。これらは水疱瘡による脳炎・髄膜炎などの合併症のサインである可能性があり、緊急の受診が必要です。
受診先については、子どもの場合は小児科または皮膚科、成人の場合は皮膚科または内科が適しています。水疱瘡と診断された場合には、抗ウイルス薬(アシクロビルやバラシクロビルなど)が処方されることがあります。これらの薬は発症後できるだけ早く(発疹出現から48〜72時間以内が理想)服用することで、発疹の広がりを抑え、回復を早める効果が期待されます。特に、成人・ワクチン未接種者・免疫機能が低下している方では重症化リスクが高いため、早期に受診して抗ウイルス薬の投与を受けることが重要です。
病院を受診する際には、事前に電話で「水疱瘡の疑いがある」と伝えることをお勧めします。感染力が非常に強いため、待合室で他の患者さんに感染させないよう、隔離スペースに案内してもらえるよう病院側に伝えることが大切です。
また、妊娠中の方や免疫が低下している方が、水疱瘡の感染者と接触した可能性がある場合は、症状がなくても早めにかかりつけ医に相談することをお勧めします。ワクチン未接種であれば、暴露後72時間以内のワクチン接種が発症予防に有効な場合があります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏場を中心に「水疱瘡かあせもか分からない」とご不安を抱えて受診されるお子さんのご家族が多く見られます。頭皮や口の中に発疹がある場合や、発熱を伴う場合は水疱瘡の可能性が高いため、自己判断せずお早めにご受診ください。水疱瘡は発症後48〜72時間以内に抗ウイルス薬を使用することで症状を和らげることができますので、「もしかしたら」と感じた際はためらわず医療機関にご相談いただくことを大切にしています。」
📌 よくある質問
最も分かりやすい見分け方は「発熱の有無」と「発疹の場所」です。水疱瘡は発熱を伴うことが多く、頭皮や口の中など粘膜にも発疹が現れます。あせもは発熱がなく、首・わきの下・ひざの裏など汗がたまりやすい部位に限定して発疹が出ます。発熱があれば早めに医療機関を受診することをお勧めします。
水疱瘡の感染力は非常に強く、ワクチン未接種で未感染の方が感染者と接触した場合の発症率は90%以上ともいわれています。空気感染が可能なため、同じ室内にいるだけで感染するリスクがあります。また、発疹が出る1〜2日前から感染力があるため、症状が現れる前に周囲にうつしてしまうことがある点も注意が必要です。
発疹が現れたらできるだけ早く受診することが重要です。抗ウイルス薬は発疹出現から48〜72時間以内に服用することで、症状を軽くし回復を早める効果が期待できます。当院では「水疱瘡の疑いがある」と事前にお電話でお伝えいただければ、他の患者さんへの感染を防ぐための対応が可能ですので、来院前にご連絡ください。
軽度のあせもはホームケアで改善できることが多いです。汗をこまめにふき取るかシャワーで洗い流し、通気性のよいコットン素材の衣類を着用しましょう。室温は26〜28℃程度に保つことが推奨されます。ただし、症状が広範囲に及ぶ・かゆみが強い・数日経っても改善しない場合は、皮膚科への受診をお勧めします。
解熱剤の種類に注意が必要です。アスピリンは絶対に使用しないでください。水疱瘡の子どもにアスピリンを使用すると「ライ症候群」という重篤な合併症を引き起こす危険性があります。解熱が必要な場合は、アセトアミノフェン(カロナールなど)を選択してください。使用前にかかりつけ医や当院にご相談いただくと安心です。
🎯 まとめ
水疱瘡(水痘)とあせも(汗疹)は、どちらも皮膚に水ぶくれのような発疹が現れることから混同されやすい症状です。しかし、原因・発疹の特徴・出る場所・伴う症状・経過などの点で大きな違いがあります。
見分ける際の主なポイントを振り返ると、水疱瘡は全身(特に頭皮・粘膜を含む)に散在する発疹で、複数の段階(斑点・水疱・かさぶた)が混在し、発熱を伴うことが多いのが特徴です。感染力が非常に強く、他の人への感染予防が必要です。一方あせもは、汗をかきやすい特定の部位に密集して現れる均一な小さな発疹で、発熱はなく、環境を改善すると比較的早く回復します。
「どちらか判断できない」「水疱瘡かもしれない」と感じたときは、自己判断せずに皮膚科や小児科への受診をお勧めします。特に、発熱がある・頭皮や粘膜に発疹がある・発疹が全身に急速に広がっているといった場合は、早めに受診することが大切です。水疱瘡の場合、早期に抗ウイルス薬を使用することで症状を軽くすることができます。また、周囲への感染拡大を防ぐためにも、早期診断が重要な意味を持ちます。お子さんの肌の変化に気づいたら、状態をよく観察しながら、必要に応じて医療機関を受診するようにしましょう。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 水痘(水疱瘡)の感染経路・潜伏期間・ワクチン定期接種(1歳・1歳6ヶ月の2回接種)に関する公式情報、および学校保健安全法に基づく出席停止基準の根拠として参照
- 国立感染症研究所 – 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染力・空気感染・飛沫感染・接触感染の3経路、潜伏期間14〜16日、発症率90%以上などの疫学的データ、および妊婦・免疫低下者への重症化リスクに関する詳細情報として参照
- 日本皮膚科学会 – 汗疹(あせも)の種類(水晶様汗疹・紅色汗疹・膿疱性汗疹)の病態・症状・対処法、および水疱瘡の発疹の多形性・経過・抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビル)治療に関する皮膚科学的根拠として参照