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おできの原因は?種類・症状・痛い時の対処法と予防策を解説

「おでき」は、誰もが一度は経験する可能性のある皮膚トラブルの一つです。皮膚に赤く腫れたしこりができ、触れると痛みを伴うことが多く、見た目にも気になるものです。しかし、正しい知識を持ち、適切な対処をすれば、ほとんどの場合は改善に向かいます。一方で、誤った自己判断やケアは、症状を悪化させたり、痕を残したりするリスクもあります。

この記事では、おできの医学的な正体から、その原因、症状の進行、自分でできる効果的な治し方、市販薬の選び方、そして専門医の診察が必要なケースまで、幅広く解説します。さらに、おできの再発を防ぐための予防策や生活習慣の見直しについても詳しくご紹介します。ご自身やご家族のおできに悩む方が、この記事を通じて適切な対応を学び、安心して対処できるようになることを目指します。

目次

おでき(毛嚢炎)とは?原因・症状・治し方を徹底解説

おできとは?基本的な知識と特徴

おできは「毛嚢炎」が正式名称

一般的に「おでき」と呼ばれている皮膚の炎症は、医学的には「毛嚢炎(もうのうえん)」や「せつ」と呼ばれる状態を指します。毛嚢炎とは、毛包(毛穴の奥深くにある、毛根を包む袋状の組織)が細菌に感染して炎症を起こした状態のことです。ニキビと似ているように見えますが、毛嚢炎は皮脂の過剰分泌が直接の原因ではなく、細菌感染によって引き起こされる点が異なります。

初期の毛嚢炎は、毛穴の周りが赤く腫れて、小さなブツブツとしたしこりができます。これが進行すると、中心に膿がたまり、痛みや熱感を伴うようになるのが特徴です。体のどこにでも発生する可能性がありますが、特に毛が多い部分や摩擦を受けやすい部分にできやすい傾向があります。

おできの主な原因と細菌の種類

おできの主な原因は、皮膚に存在する常在菌が毛包に侵入し、炎症を引き起こすことです。

ブドウ球菌による感染が一般的

おできの最も一般的な原因菌は、「黄色ブドウ球菌」です。黄色ブドウ球菌は、私たちの皮膚や鼻腔などに常に存在している常在菌の一つです。通常は悪さをしませんが、皮膚に小さな傷ができたり、毛穴が詰まったりすると、そこから毛包の内部に侵入し、増殖することで炎症を引き起こします。

例えば、カミソリ負けによる小さな傷、脱毛後の毛穴への刺激、過度な摩擦、ムダ毛処理後の乾燥などが、細菌が侵入しやすい環境を作り出します。また、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している場合も、細菌感染のリスクが高まります。

その他の細菌や真菌の可能性

黄色ブドウ球菌以外にも、他の細菌や真菌(カビ)が原因でおできが発生することもあります。

  • 表皮ブドウ球菌: 黄色ブドウ球菌と同様に皮膚の常在菌ですが、免疫力が低下している場合に感染を引き起こすことがあります。
  • 緑膿菌: 湿潤環境を好む細菌で、特に湿度の高い場所や、不潔なプール、温泉などでの感染リスクがあります。水虫治療中の足の爪の周りにできる毛嚢炎の原因となることもあります。
  • 真菌(マラセチア菌など): 皮膚に常在する真菌の一種であるマラセチア菌は、皮脂分泌が多い部位(顔、胸、背中など)で増殖し、「マラセチア毛包炎」と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。これはニキビに似ていますが、一般的な抗菌薬では治りにくいのが特徴です。
  • MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌): 特定の抗生物質が効きにくい耐性菌で、病院内感染や介護施設などで問題となることがあります。これによる毛嚢炎は治療が難しくなることがあります。

これらの細菌や真菌によるおできは、通常の抗菌薬が効きにくい場合があるため、症状が改善しない場合は医療機関での検査が必要です。

おできができやすい部位と人

おできは全身のどこにでも発生する可能性がありますが、特定の部位や条件下でできやすい傾向があります。

お尻や太ももなど摩擦が多い部位

毛嚢炎ができやすい代表的な部位としては、以下が挙げられます。

  • お尻、太もも: 座っている時間が長い、下着や衣服との摩擦が多い、蒸れやすいなどの理由から、毛穴に負担がかかりやすく、細菌が繁殖しやすい環境です。
  • 背中、胸: 皮脂腺が多く、汗をかきやすい部位であり、皮脂や汗が毛穴を詰まらせ、細菌の温床となることがあります。
  • 首筋、うなじ: 髪の毛や衣服との摩擦、汗、整髪料などが刺激となりやすい部位です。
  • 脇の下: 汗をかきやすく、湿潤な環境になりがちで、ムダ毛処理による刺激も加わりやすいです。
  • 顔(特に鼻の下、あご、口周り): シェービングやヒゲ処理による刺激、皮脂腺の活発な働きなどが影響します。
  • 頭皮: 洗髪不足や皮脂の過剰分泌、シャンプー・リンスの洗い残しなどが原因となることがあります。

これらの部位は、毛穴が密集していたり、日常的に摩擦や蒸れ、汗にさらされやすかったりするため、細菌が繁殖しやすい環境が整いやすいと言えます。

免疫力が低下している時や衛生状態が悪い場合

おできができやすいのは、以下のような状況に当てはまる人です。

  • 免疫力が低下している人:
    • ストレス、過労、睡眠不足などによる疲労蓄積。
    • 風邪や他の病気で体調を崩している時。
    • 糖尿病や腎臓病などの基礎疾患がある場合。特に糖尿病患者は、血糖値が高い状態が続くことで免疫機能が低下しやすく、感染症にかかりやすい傾向があります。
    • 免疫抑制剤を服用している人。
  • 衛生状態が悪い人:
    • 汗や皮脂を放置し、清潔に保てていない場合。
    • 汚れた衣類やタオル、寝具を使用している場合。
    • ムダ毛処理後のケアを怠る場合(カミソリの使い回し、不潔な道具の使用など)。
  • 肌のバリア機能が低下している人:
    • 乾燥肌、敏感肌など、皮膚のバリア機能がもともと弱い人。
    • アトピー性皮膚炎など、皮膚疾患がある人。
    • 過度な洗顔や体をゴシゴシ洗うなど、皮膚を傷つける習慣がある人。

これらの要因が重なると、皮膚の防御機能が低下し、常在菌が毛包に侵入・増殖しやすくなり、おできができやすくなります。

おできの初期症状と進行度

おできは、症状の程度によって段階的に進行します。初期の段階で適切な対処をすることが、症状の悪化を防ぎ、早く治すために重要です。

表面的な毛嚢炎から深部まで

  • 表在性毛嚢炎(ひょうざいせいもうのうえん):
    • 毛穴の比較的浅い部分で炎症が起きている状態です。
    • 症状としては、毛穴を中心に赤く小さなプツッとした盛り上がりができます。大きさは数ミリ程度で、中に白い膿(白色膿栓)が見えることもあります。
    • 通常、痛みは軽く、かゆみを伴うこともあります。数日から1週間程度で自然に治癒することが多いです。
  • 深在性毛嚢炎(しんざいせいもうのうえん):
    • 毛包の深い部分まで炎症が及んだ状態です。
    • 症状は表在性毛嚢炎よりも重く、赤みや腫れが大きく、しこりのように硬くなることがあります。
    • 強い痛みを伴い、触れるとズキズキとした拍動性の痛みを感じることもあります。
    • 膿が皮膚の表面に出てくることもありますが、深部にたまったままになることもあります。
    • 自然治癒には時間がかかり、場合によっては病院での処置が必要になることもあります。
  • せつ(癤):
    • 深在性毛嚢炎がさらに進行し、毛包だけでなくその周囲の組織にも炎症が広がり、硬いしこりを形成した状態です。
    • 強く痛み、患部が熱を持ち、発熱や悪寒などの全身症状を伴うこともあります。
    • 膿の出口が複数できることもあります。
  • よう(癰):
    • 複数の「せつ」が集まって、広範囲にわたる大きな炎症を起こした状態です。
    • 強い痛みや発熱、倦怠感などの全身症状が顕著に現れます。
    • 重症であり、医療機関での治療が必須となります。

膿の有無や痛みの程度で判断

おできの状態を判断する際には、膿の有無と痛みの程度が重要な目安となります。

症状の目安 状態 対処法
赤み・小さな腫れ 毛穴の周りが少し赤く、プツッとしている。痛みはほとんどないか、軽いかゆみ。膿はまだ見えない。 清潔を保ち、市販の抗菌薬で様子を見る。
中心に膿点・痛み 赤みと腫れが増し、中心に白い膿の点が見える。触れると軽い痛みがある。 市販の抗菌薬を塗布。無理に潰さない。
強い痛み・熱感・膿 ズキズキとした強い痛みがある。患部が熱を持っている。膿が大きく溜まっている。 症状が悪化している可能性あり。医療機関を受診することを強く推奨。
広範囲の腫れ・発熱 腫れが広範囲に及び、硬いしこりになっている。発熱や倦怠感を伴う。 すぐに医療機関を受診。切開排膿や抗生物質の点滴が必要な場合がある。

膿の有無や痛みの程度を観察することで、自宅でのケアで十分か、あるいは医療機関を受診すべきかの判断に役立ちます。

おできの症状と進行段階

おでき(毛嚢炎)は、初期の軽い症状から、痛みを伴う重い状態へと段階的に進行することがあります。これらの進行段階を理解することで、適切なタイミングで対処し、症状の悪化を防ぐことができます。

初期段階:赤みと小さな腫れ

おできの初期段階では、以下のような症状が見られます。

  • 毛穴の根元に赤いプツッとした盛り上がり: まるで小さなニキビのように、毛穴を中心に赤みを帯びた小さなブツブツが一つ、または複数現れます。直径は数ミリ程度です。
  • 軽いかゆみや違和感: 患部に軽いかゆみを感じたり、何となく肌に違和感がある程度の症状です。まだ強い痛みは伴わないことが多いでしょう。
  • 膿はまだ目立たない: この段階では、患部の中心に膿がはっきりと見えることはほとんどありません。

この時期は、まだ炎症が毛包の浅い部分に留まっている状態(表在性毛嚢炎)であることが多く、適切なセルフケアで自然治癒が期待できる場合も多いです。清潔を保ち、患部に刺激を与えないことが重要になります。

進行期:中心に膿がたまり、痛みを伴う

初期症状を放置したり、細菌感染が深部に及んだりすると、おできは進行期へと移行します。

膿の塊(膿栓)の形成

進行期のおできでは、以下のような症状が現れます。

  • 赤みと腫れの増大: 初期よりも赤みが強くなり、患部の腫れも大きくなります。触ると硬いしこりのように感じることもあります。
  • 中心に白い膿の塊(膿栓): 炎症が進むと、毛穴の中心に白っぽい、あるいは黄色っぽい膿の塊がはっきりと見えるようになります。この膿は、体内の免疫細胞が細菌と戦った結果生じるものです。
  • 強い痛みと熱感: 患部が熱を持ち、ズキズキとした拍動性の痛みを伴うようになります。特に触れると痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合もあります。これは、炎症が毛包の深い部分(深在性毛嚢炎)まで及んだり、周囲の組織に広がったりしているサインです。

この段階では、自然治癒に時間がかかったり、膿が排出しきれずに残ったりするリスクが高まります。

炎症が悪化した場合の症状

さらに炎症が悪化すると、以下のようなより重い症状を伴うことがあります。

  • 膿の広がりと複数のおでき: 膿が皮膚の深層や周囲に広がり、患部全体が広範囲に腫れ上がることがあります。場合によっては、隣接する複数の毛包が炎症を起こし、融合して大きな塊(癰:よう)となることもあります。
  • 発熱や倦怠感などの全身症状: 炎症が体全体に影響を及ぼし、発熱、悪寒、倦怠感、リンパ節の腫れなどの全身症状が現れることがあります。これは、感染が血流に乗って全身に広がり始めている兆候であり、速やかな医療機関の受診が必要です。
  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)への進行: おできの周囲の皮膚や皮下組織にまで細菌感染が広がり、「蜂窩織炎」と呼ばれる重篤な状態になることがあります。皮膚が赤く腫れ、熱を持ち、境界が不明瞭で、強い痛みを伴います。放置すると敗血症など命に関わる状態に進行するリスクがあります。

回復期:膿が出て、腫れが引いていく

おできが改善に向かう回復期では、症状が徐々に軽減していきます。

自然治癒の過程と注意点

  • 膿の排出: 進行期に溜まっていた膿が、自然に皮膚の表面に開口して排出されます。膿が出ると、それまでの痛みや熱感が急速に和らぎ、腫れも引いていくのが特徴です。
  • かさぶたの形成と治癒: 膿が排出された後は、患部がかさぶたになり、徐々に皮膚が再生されていきます。かさぶたが剥がれ落ちると、最終的には皮膚が閉じて治癒します。
  • 色素沈着や瘢痕(あと): 炎症が強かった場合や、無理に潰してしまった場合は、治った後に一時的な色素沈着(茶色っぽい跡)や、わずかなへこみ、あるいは盛り上がった瘢痕(傷跡)が残る可能性があります。色素沈着は時間の経過とともに薄れることが多いですが、瘢痕は残りやすいです。

回復期における注意点:
膿が排出されても、患部を清潔に保つことが重要です。排出された膿を拭き取る際は、清潔なガーゼやティッシュを使い、優しく押さえるようにしましょう。決して、無理に患部を絞ったり、かさぶたを剥がしたりしないでください。これにより、新たな細菌感染や傷跡の悪化を防ぐことができます。また、治癒を促すためにも、患部を摩擦や刺激から保護し、安静に保つことが大切です。

おできの治し方|自分でできる対処法

おできができてしまった時、初期の段階であれば自宅でのケアで改善が期待できます。しかし、誤った対処は症状を悪化させる原因にもなりかねません。ここでは、おできの基本的な治し方と、やってはいけないセルフケア、市販薬の選び方について解説します。

おできの基本の治し方:清潔と安静が第一

おできのセルフケアにおいて最も重要なのは、「清潔」と「安静」です。

  1. 患部を清潔に保つ:
    • 刺激の少ない石鹸やボディソープをよく泡立て、患部を優しく洗いましょう。ゴシゴシ擦るのではなく、泡で包み込むようにして、洗い流してください。
    • 入浴やシャワーは毎日行い、汗や皮脂、雑菌を洗い流すことが重要です。ただし、熱すぎるお湯や長時間の入浴は皮膚を乾燥させ、バリア機能を低下させる可能性があるので注意しましょう。
    • 洗った後は、清潔な柔らかいタオルで水分を優しく拭き取ってください。
  2. 摩擦や刺激を避ける:
    • 患部に直接触れることを避け、無理に潰したり、いじったりしないでください。これは細菌を広げ、炎症を悪化させる原因となります。
    • 下着や衣服は、締め付けの少ない、ゆったりとした綿素材など、通気性の良いものを選びましょう。摩擦が多いと刺激になり、症状が悪化する可能性があります。
    • 患部が衣服や物に触れて刺激を受けやすい場合は、清潔なガーゼやバンドエイドで保護するのも良い方法です。ただし、蒸れないように、こまめに交換するようにしましょう。
  3. 安静にする:
    • できるだけ患部を安静に保ち、余分な圧迫や刺激を与えないように心がけましょう。

おできのセルフケアでやってはいけないこと

自己判断での不適切なケアは、症状を長引かせたり、より深刻な問題を引き起こしたりするリスクがあります。

潰す、絞る行為のリスク

おできの中心に膿が見えると、「早く出したい」と思って潰したり、絞ったりしたくなるかもしれません。しかし、これは絶対に避けるべき行為です。

  • 細菌の拡散: 膿を無理に出そうとすると、細菌が皮膚の奥や周囲に押し込まれ、炎症がさらに広がる可能性があります。これにより、症状が悪化したり、複数のおできができたりすることもあります。
  • 傷跡(瘢痕)のリスク: 皮膚組織を損傷し、治癒後に色素沈着や、永久的なへこみ・盛り上がりのある傷跡(瘢痕)が残りやすくなります。
  • 重篤な感染症の引き起こし: 稀ではありますが、無理に潰すことで、感染が血流に乗って全身に広がり、蜂窩織炎や敗血症といった重篤な感染症を引き起こすリスクもあります。特に顔の、鼻から口の周辺は「危険な三角地帯」と呼ばれ、この部位の感染は脳に波及する可能性もあるため、特に注意が必要です。

膿は最終的には自然に排出されるか、病院で安全に処置されます。自己判断で潰すのではなく、適切な時期を待つか、医療機関を受診しましょう。

温める?冷やす?適切な処置は

おできに対して「温めるべきか、冷やすべきか」と迷うことがあるかもしれません。

  • 温めること: 一般的に、炎症初期には温めると炎症が悪化することがあります。しかし、膿が溜まっていて、排膿を促したい段階では、温めることで血行が良くなり、膿が排出しやすくなるという考え方もあります。ただし、むやみに温めることは炎症を広げるリスクもあるため、自己判断での温湿布などは推奨されません。
  • 冷やすこと: 強い痛みや熱感がある場合、一時的に冷やすことで症状が和らぐことがあります。清潔なタオルに包んだ保冷剤などを患部に当ててみてください。ただし、冷却は炎症を根本的に治すものではなく、あくまで対症療法です。また、過度に冷やしすぎると血行が悪くなり、治癒を妨げる可能性もあるため注意が必要です。

基本的には、おできには「触らない」「清潔を保つ」ことが最も重要です。温めるか冷やすかについては、症状や進行度によって判断が異なるため、迷う場合は医師や薬剤師に相談するのが最も安全です。

市販薬(塗り薬・飲み薬)の選び方

おできの初期症状や軽度なものであれば、市販薬で対処することも可能です。ただし、症状に適した薬を選ぶことが重要です。

抗菌成分配合の外用薬の活用

市販されているおできやニキビ用の塗り薬には、細菌の増殖を抑える抗菌成分や、炎症を抑える成分が配合されています。

  • 抗生物質配合の軟膏:
    • 有効成分例: クロラムフェニコール、フラジオマイシン、ゲンタマイシン、フシジン酸など。
    • 特徴: 細菌を直接殺菌または増殖を抑制する効果が期待できます。化膿しているおできに対して有効です。
    • 使用方法: 患部を清潔にした後、薄く塗布します。
  • 殺菌・消毒成分配合の外用薬:
    • 有効成分例: イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン、サリチル酸、イオウなど。
    • 特徴: 細菌の繁殖を抑え、皮膚の角質を柔らかくする作用があります。ニキビにもよく使われますが、初期のおできにも効果が期待できます。
  • 抗炎症成分配合の外用薬:
    • 有効成分例: グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなど。
    • 特徴: 患部の赤みや腫れ、かゆみを和らげる効果があります。
  • ステロイド配合薬:
    • 非常に強い抗炎症作用がありますが、細菌感染を悪化させるリスクがあるため、自己判断での使用は推奨されません。細菌感染が原因のおできにステロイド単剤を使用すると、一時的に炎症が引いたように見えても、感染が悪化する可能性があります。必ず医師や薬剤師に相談してください。
市販薬のタイプ 主な有効成分 特徴 適応するおできの症状 注意点
抗菌軟膏 クロラムフェニコール、フラジオマイシンなど 細菌の増殖を抑え、化膿を治療。 化膿している、赤く腫れているおでき 広範囲への使用は避け、用法・用量を守る。
殺菌・抗炎症クリーム イソプロピルメチルフェノール、イブプロフェンピコノールなど 殺菌と炎症を同時に抑える。 初期のおでき、ニキビに類似 効果がなければ皮膚科へ。
ニキビ治療薬 サリチル酸、イオウ、レゾルシンなど 角質を柔らかくし、毛穴詰まりを改善。殺菌作用。 初期のおでき、ニキビ 乾燥しやすい場合あり。

市販薬はあくまで軽症の場合の対処法です。数日使用しても改善しない場合や、症状が悪化する場合は、すぐに医療機関を受診してください。

漢方薬や内服薬の選択肢

市販薬の中には、内服することで体の内側からおできの症状改善や体質改善を目指す漢方薬もあります。

  • 漢方薬:
    • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう): 化膿性の皮膚疾患に広く用いられる漢方薬で、炎症を抑え、膿を排出する効果が期待できます。排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)なども同様の目的で用いられます。
    • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう): 慢性的な皮膚の炎症、化膿を繰り返す場合に用いられ、体質改善を促す効果が期待されます。
    • 特徴: 即効性は低いものの、体質を改善し、おできの再発を防ぐ効果も期待できる場合があります。
    • 注意点: 漢方薬は個人の体質や症状によって効果が異なるため、自己判断で服用するよりも、漢方に詳しい薬剤師や医師に相談することをおすすめします。
  • 市販の内服薬:
    • おできに直接作用する市販の内服薬は限られています。痛みが強い場合は、市販の解熱鎮痛剤(イブプロフェン、アセトアミノフェンなど)で痛みを和らげることは可能です。
    • ビタミンB群(特にB2、B6)は皮膚の代謝を助けるため、サプリメントとして摂取することが皮膚の健康維持に役立つ場合があります。

自然治癒を促すための注意点

おできは、初期の段階であれば自然に治癒する力も持っています。その力を最大限に引き出すための注意点も意識しましょう。

患部の安静と保護

  • 物理的刺激の回避: 患部を掻いたり、触ったりしないように細心の注意を払ってください。衣服や下着の擦れも避け、ゆったりとした衣類を選ぶことが重要です。
  • 清潔な保護: 患部が衣服や物に触れて刺激を受けやすい場合は、清潔なガーゼや医療用テープで優しく覆い、保護しましょう。これにより、外部からの刺激や細菌の侵入を防ぎ、治癒を促すことができます。ただし、密閉しすぎると蒸れて悪化することもあるので、通気性を保ち、こまめに交換するようにしましょう。

栄養バランスと免疫力向上

皮膚の健康と体の免疫力は密接に関係しています。バランスの取れた食事を心がけ、体の内側から治癒力を高めましょう。

  • 皮膚の健康に必要な栄養素:
    • ビタミンA: 皮膚や粘膜の健康維持に必要で、皮膚のターンオーバーを促進します。レバー、うなぎ、緑黄色野菜などに多く含まれます。
    • ビタミンC: コラーゲンの生成を助け、皮膚の修復を促します。また、抗酸化作用があり、免疫力向上にも寄与します。柑橘類、イチゴ、ブロッコリーなどに豊富です。
    • ビタミンB群: 皮膚の代謝を円滑にし、皮脂の分泌バランスを整えます。豚肉、魚、豆類、卵、乳製品などに含まれます。
    • 亜鉛: 皮膚の再生や免疫機能の維持に重要なミネラルです。カキ、牛肉、豚肉、レバー、ナッツ類などに多く含まれます。
  • 腸内環境の改善: 腸は体全体の免疫機能に大きく関わっています。発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)や食物繊維を積極的に摂ることで、腸内環境を整え、免疫力の向上を図りましょう。
  • 避けるべき食品: 高糖質・高脂肪の食事は、皮脂の過剰分泌や炎症を促進する可能性があるため、できるだけ控えることが望ましいです。ジャンクフードや菓子類の摂りすぎに注意しましょう。

これらの生活習慣の改善は、おできの治癒を早めるだけでなく、再発防止にもつながります。

おできの治療で病院を受診する目安

自分でできる対処法を試しても症状が改善しない場合や、症状が悪化している場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。専門医の診断と適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、早く治すことができます。

自分で治せない、悪化している場合

以下のような症状が見られる場合は、迷わず病院を受診しましょう。

腫れが広がる、痛みが強い、発熱がある場合

  • おできのサイズが大きくなる、腫れが広がる: 数日で急速に腫れが広がる場合や、直径1cmを超えるような大きさに育った場合は、感染が深部に及んでいる可能性があります。
  • 痛みが強く、日常生活に支障をきたす: ズキズキとした拍動性の痛みで眠れない、患部が触れるだけで激痛が走る、歩くのがつらいなど、痛みが日常生活に影響を与えている場合は、専門的な処置が必要です。
  • 発熱や倦怠感を伴う: 患部の炎症が全身に波及し、発熱、悪寒、リンパ節の腫れ、全身の倦怠感などの症状が出ている場合は、蜂窩織炎や敗血症などの重篤な感染症に進行している可能性があります。これは緊急性の高い状態であり、すぐに医療機関を受診する必要があります。
  • 赤い筋が見える: 患部からリンパ管に沿って赤い筋(リンパ管炎)が見える場合は、感染が全身に広がる危険性があります。

数週間経っても改善しない、繰り返す場合

  • 市販薬やセルフケアで効果がない: 数日~1週間程度、適切な市販薬を使い、清潔を保つなどのケアをしても、症状が全く改善しない、あるいは悪化し続ける場合は、自己対処の限界です。原因菌が市販薬では効かないタイプである可能性もあります。
  • 同じ場所に何度も繰り返す: 同じ部位に頻繁におできができる場合は、根本的な原因(例えば、毛穴の構造的な問題、体質的な免疫力の低下、基礎疾患など)が隠れている可能性があります。特に、粉瘤(後述)が原因となっていることもあります。
  • 糖尿病など基礎疾患がある場合: 糖尿病などの持病がある方は、免疫力が低下しやすく、感染症が重症化しやすい傾向があります。おできができたら、早めに医師に相談しましょう。

何科を受診すべきか?皮膚科の役割

おできの治療は、迷わず皮膚科を受診してください。

皮膚科医は、皮膚の専門家として、おできの診断から適切な治療までを一貫して行います。

診断と適切な処方薬

  • 原因菌の特定: 必要に応じて、おできの膿を採取して細菌培養検査を行い、原因となっている細菌の種類を特定します。これにより、その細菌に最も効果的な抗生物質(内服薬や外用薬)を正確に処方することができます。市販薬では対応できない耐性菌(例:MRSA)である可能性も考慮されます。
  • 炎症を抑える薬の処方: 強い炎症を伴う場合は、内服の抗炎症薬や、状態に応じた外用薬を処方し、症状を和らげます。
  • 体質改善の指導: 繰り返すおできの場合、生活習慣の改善や、必要であれば漢方薬の併用など、体質的なアプローチも考慮されることがあります。

切開排膿や抗生物質の投与

  • 切開排膿(せっかいはいのう):
    • 膿が大きく溜まっていて自然に排出されない場合や、痛みが強い場合は、皮膚を小さく切開して膿を排出する「切開排膿」という処置が行われます。
    • この処置は局所麻酔をして行われるため、痛みはほとんどありません。膿を出すことで、痛みや腫れが速やかに改善し、治癒が早まります。また、膿が体内に残ることによる炎症の拡大や傷跡のリスクを減らすことができます。
    • 処置後は、患部を清潔に保ち、必要に応じて消毒や軟膏の塗布、ガーゼ交換などを行います。
  • 抗生物質の点滴:
    • 炎症が広範囲に及んでいる、発熱を伴う、全身症状があるなど、重症の場合は、内服薬では効果が不十分なことがあります。その際には、抗生物質の点滴治療が必要となる場合があります。入院して治療を行うケースもあります。

粉瘤との違いや併発症に注意

おできとよく似た症状を示す皮膚疾患に「粉瘤(ふんりゅう)」があります。これらを正確に見分けることは、適切な治療のために非常に重要です。

特徴 おでき(毛嚢炎) 粉瘤(アテローム、表皮嚢腫)
原因 毛包への細菌感染 皮膚の組織の一部が袋状になり、垢や皮脂がたまる
症状 赤い腫れ、痛み、中心に膿。急性の炎症。 通常は痛みがなく、皮膚の下のしこり。中央に黒点(開口部)があることが多い。
経過 数日で化膿し、膿が出て治る。 少しずつ大きくなり、放置すると感染して炎症を起こすことがある。
治療 抗生物質の内服・外用、切開排膿。 基本は手術で袋ごと摘出。炎症時は抗生物質や切開排膿。
再発 免疫力低下や不衛生で再発しやすい。 袋が残っていると再発する。

粉瘤(アテローム):
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に古い角質や皮脂、垢などが溜まってできる良性の腫瘍です。通常は痛みがないしこりとして触れますが、中央に小さな黒い点(開口部)があることが多いです。この開口部から嫌な臭いのする内容物が出てくることもあります。

粉瘤自体は良性ですが、この袋の中に細菌が感染すると、おできのように赤く腫れ上がり、強い痛みと熱感を伴う「炎症性粉瘤」となります。見た目がおできと非常に似ていますが、治療法は異なります。炎症性粉瘤の場合は、おできと同様に抗生物質や切開排膿で炎症を抑えた後、再発を防ぐためには、炎症が治まってから手術で袋ごと摘出する必要があります。自己判断で潰すと、袋が残って再発を繰り返したり、炎症を悪化させたりする原因となります。

併発症:
おできを放置したり、不適切な対処をしたりすると、以下のような併発症を引き起こすリスクがあります。

  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん): 皮膚の深層や皮下組織に細菌感染が広がり、皮膚が赤く腫れ、熱感を持ち、強い痛みを伴う状態です。境界が不明瞭で、急速に拡大することがあります。発熱や悪寒などの全身症状を伴い、重症化すると敗血症に繋がることもあり、緊急性の高い病気です。
  • 丹毒(たんどく): 主にA群β溶連菌による皮膚の感染症で、蜂窩織炎に似ていますが、顔や下肢に多く、境界がはっきりした赤い腫れが特徴です。発熱や悪寒を伴います。
  • リンパ節炎: おできから排出された細菌がリンパ管に入り、リンパ節に感染が広がることで、リンパ節が腫れて痛むことがあります。首や脇の下、鼠径部などに多いです。
  • 敗血症: 非常に稀ですが、細菌が血流に乗って全身に広がり、全身の臓器に重篤な機能障害を引き起こす状態です。命に関わる危険性があります。

これらの併発症を防ぐためにも、おできが悪化していると感じたら、自己判断せずに速やかに皮膚科を受診しましょう。

おできの予防策と再発防止

おできは、一度できると不快な症状を伴い、繰り返しできることもあります。しかし、日頃のスキンケアや生活習慣を見直すことで、おできの発生を予防し、再発を防ぐことが可能です。

普段からできるスキンケアと衛生管理

皮膚を健やかに保ち、細菌が繁殖しにくい環境を作ることが重要です。

保湿と皮膚のバリア機能維持

  • 適切な保湿: 乾燥した肌はバリア機能が低下し、外部からの刺激や細菌の侵入を受けやすくなります。入浴後や洗顔後は、化粧水や乳液、ボディクリームなどで十分に保湿を行いましょう。セラミドやヒアルロン酸、NMF(天然保湿因子)などを配合した製品は、皮膚のバリア機能をサポートするのに役立ちます。
  • 皮膚を清潔に保つ: 汗や皮脂は細菌の栄養源となるため、こまめに洗い流すことが重要です。ただし、ゴシゴシ洗いすぎたり、洗浄力の強すぎる石鹸を使ったりすると、必要な皮脂まで奪ってしまい、かえって乾燥やバリア機能の低下を招くため注意が必要です。刺激の少ない弱酸性のボディソープや石鹸を使用し、優しく泡で洗うようにしましょう。
  • 正しいムダ毛処理: カミソリや電気シェーバー、毛抜きなどによるムダ毛処理は、皮膚に小さな傷をつけたり、毛穴に刺激を与えたりすることがあります。処理前には肌を清潔にし、シェービングクリームなどを使用して肌への負担を減らしましょう。処理後は必ず保湿を行い、肌を保護してください。また、清潔な道具を使用し、定期的に交換することも大切です。

衣服の素材や清潔さ

  • 通気性の良い素材を選ぶ: ポリエステルなどの化学繊維は汗を吸いにくく、蒸れやすい性質があります。綿やリネンなどの天然素材は吸湿性・通気性に優れているため、肌が蒸れるのを防ぎ、細菌の繁殖を抑える効果が期待できます。
  • 締め付けない衣類を選ぶ: 身体を締め付けるタイトな衣類や下着は、摩擦や蒸れの原因となり、おできができやすい環境を作ります。特に下着は、お尻や太ももなど摩擦が多い部位に直接触れるため、ゆったりとしたデザインで、肌に優しい素材を選ぶと良いでしょう。
  • 衣類や寝具の清潔さ: 汗や皮脂が付着した衣類や下着は、細菌が繁殖しやすい状態です。毎日交換し、こまめに洗濯して清潔を保ちましょう。また、寝具(シーツ、枕カバーなど)も定期的に洗濯し、清潔に保つことが重要です。

生活習慣の見直し

体の内側からの健康も、おできの予防には欠かせません。

ストレス管理と十分な睡眠

  • ストレス管理: ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、免疫力の低下を招くことがあります。また、ストレスによって皮脂の分泌が過剰になることもあります。適度な運動、趣味、瞑想、リラクゼーションなど、自分に合ったストレス解消法を見つけ、実践しましょう。
  • 十分な睡眠: 睡眠は体と皮膚の回復に不可欠です。睡眠不足は免疫力の低下、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、おできができやすい体質につながります。質の良い睡眠を7~8時間確保できるよう心がけましょう。就寝前にスマートフォンやパソコンの使用を避け、リラックスできる環境を整えることが大切です。

食生活の改善(糖質制限など)

  • バランスの取れた食事: 偏った食生活は、皮膚の健康に必要な栄養素の不足や、免疫力の低下を招きます。肉、魚、野菜、果物、穀物をバランス良く摂取し、様々な栄養素を補給しましょう。
  • 高糖質・高脂肪食の制限: 糖質の摂りすぎは、インスリンの分泌を促し、皮脂の過剰分泌や炎症を引き起こす可能性があります。また、加工食品や脂質の多い食事も、腸内環境を悪化させ、皮膚の状態に悪影響を与えることがあります。これらの食品を控えることは、おできの予防に有効です。
  • ビタミン・ミネラルの積極的摂取: 特にビタミンA、C、E、B群、亜鉛などは、皮膚の健康維持や免疫機能の向上に重要な役割を果たします。これらを多く含む緑黄色野菜、果物、魚介類、ナッツ類などを積極的に食事に取り入れましょう。
  • 腸内環境の改善: 腸内環境が乱れると、免疫機能に悪影響を与え、皮膚トラブルのリスクを高める可能性があります。発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)や食物繊維を豊富に含む食品(野菜、きのこ、海藻類)を摂り、腸内環境を整えましょう。

免疫力を高めるための健康法

体全体の免疫力を高めることは、おできだけでなく、様々な感染症に対する抵抗力を強化することにつながります。

適度な運動と規則正しい生活

  • 適度な運動: ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動は、血行を促進し、新陳代謝を活発にします。これにより、皮膚への栄養供給がスムーズになり、老廃物の排出も促されます。また、ストレス解消効果もあり、免疫力向上に貢献します。無理のない範囲で、毎日継続できる運動習慣を見つけましょう。
  • 規則正しい生活リズム: 毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝るなど、規則正しい生活リズムを確立することは、自律神経のバランスを整え、免疫機能を正常に保つために非常に重要です。食事の時間もなるべく一定にすることで、体のリズムを整えやすくなります。

サプリメントの活用について

食事からの栄養摂取が基本ですが、特定の栄養素が不足しがちな場合は、サプリメントで補うことも選択肢の一つです。

  • ビタミンB群: 皮膚や粘膜の健康維持、代謝の促進に関わります。
  • ビタミンC: 抗酸化作用、コラーゲン生成、免疫力向上に寄与します。
  • 亜鉛: 皮膚の再生、免疫機能の維持に重要です。
  • 乳酸菌・ビフィズス菌: 腸内環境を整え、免疫力向上をサポートします。

注意点: サプリメントはあくまで補助的なものです。過剰摂取は体に負担をかける可能性もあるため、摂取量には注意し、医師や薬剤師に相談の上で適切に利用しましょう。基本的な栄養は、バランスの取れた食事から摂ることを心がけてください。

おできの予防と再発防止には、日々の地道なケアと健康的な生活習慣が欠かせません。これらの対策を継続することで、健やかな肌を保ち、おできに悩まされることのない日々を送れるようになります。

まとめ

おでき(毛嚢炎)は、毛包への細菌感染が原因で起こる身近な皮膚トラブルです。初期には赤みと小さな腫れから始まり、進行すると膿が溜まり、痛みを伴うことがあります。ほとんどの場合、適切なセルフケアで改善が期待できますが、自己判断で潰したり絞ったりする行為は、症状の悪化や傷跡の原因となるため、絶対に避けるべきです。

自宅での対処法としては、患部を清潔に保ち、摩擦や刺激を与えない「清潔と安静」が基本です。市販の抗菌成分配合の外用薬も、軽度の症状には有効な選択肢となります。

しかし、症状が改善しない、悪化している、広範囲に及んでいる、強い痛みや発熱などの全身症状を伴う場合は、速やかに皮膚科を受診してください。皮膚科では、原因菌を特定し、適切な抗生物質を処方したり、必要に応じて切開排膿などの専門的な処置を行ったりします。おできと似ているが治療法が異なる粉瘤の可能性も考慮し、正確な診断を受けることが重要です。

おできの予防と再発防止には、日頃からのスキンケアと衛生管理が欠かせません。皮膚のバリア機能を高める保湿、通気性の良い衣類の選択、清潔な生活環境の維持が重要です。さらに、ストレス管理、十分な睡眠、バランスの取れた食生活、適度な運動など、免疫力を高める健康的な生活習慣を心がけることで、おできができにくい体質へと改善していくことができます。

この記事が、おできに悩む皆さんの適切な対処と予防の一助となれば幸いです。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状に対する診断や治療を保証するものではありません。皮膚の症状には個人差があり、また、思わぬ疾患が隠れている可能性もあります。おできの症状が改善しない場合や、悪化していると感じる場合は、必ず医療機関を受診し、専門医の診断と指導を受けるようにしてください。自己判断での処置や治療には、リスクが伴うことをご理解ください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医
略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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