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ワキガの原因とは?汗・皮脂・遺伝・ストレスが関係?徹底解説

ワキガは、特有のツンとした不快な臭いを伴う症状で、多くの人が密かに悩みを抱えています。この臭いは、単に汗をかく量が多いから発生するわけではなく、その根本には特定の「原因」が存在します。遺伝、体質、食生活といった様々な要因が複雑に絡み合い、ワキガの発生やその臭いの強さに影響を与えていることをご存知でしょうか。

本記事では、ワキガのメカニズムから、その原因となる遺伝的背景、体質、そして日々の食生活がどのように関わっているのかを詳しく解説します。さらに、ワキガのセルフチェック方法や、根本的な治療法から日常でできる対策、市販薬の選び方までを網羅的にご紹介。ワキガに悩むあなたが、自身の原因を理解し、適切な対処法を見つけるための手助けとなることを目指します。

目次

ワキガの原因はアポクリン腺の活動

ワキガの独特な臭いの主な原因は、汗を分泌する腺の一つである「アポクリン腺」から出る汗と、その汗を分解する皮膚の常在菌の活動にあります。体臭は様々な要因で発生しますが、特にワキガにおいては、アポクリン腺の存在が不可欠です。

アポクリン腺とは?

アポクリン腺は、主にワキの下、乳輪、外耳道(耳の穴)、へそ、陰部、肛門の周りなど、特定の場所に分布する汗腺です。全身に分布するエクリン腺とは異なり、アポクリン腺の数は個人差が大きく、ワキガ体質の人はこのアポクリン腺が大きく、数も多い傾向にあります。

アポクリン腺から分泌される汗は、エクリン腺から出るサラサラした汗とは異なり、タンパク質、脂質、アンモニア、鉄分、色素(リポフスチン)など、様々な有機成分を豊富に含んでいます。これらの成分は、分泌された直後は無臭ですが、皮膚の表面に存在する常在菌、特にジフテロイド菌や黄色ブドウ球菌などによって分解されることで、独特の不快なワキガ臭(アポクリン臭)を発生させます。

アポクリン腺の活動は、思春期以降にホルモンの影響を受けて活発化することが知られています。そのため、ワキガの症状は思春期に顕著になることが多く、性ホルモンの分泌が安定するとともに落ち着くこともありますが、その活動が継続する人も少なくありません。精神的な緊張やストレス、運動によってもアポクリン腺からの分泌が促進されることがあります。

エクリン腺との違い

私たちの体には、大きく分けて二種類の汗腺が存在します。それが、ワキガの主な原因となる「アポクリン腺」と、体温調節に重要な役割を果たす「エクリン腺」です。この二つの汗腺の機能と分泌物の違いを理解することは、ワキガの原因を深く理解する上で非常に重要です。

エクリン腺

  • 分布: 全身のほとんどの皮膚に分布しており、特に手のひら、足の裏、額などに多く存在します。
  • 機能: 主に体温調節のために汗を分泌します。体温が上昇すると、エクリン汗が蒸発することで体表面の熱を奪い、体温を下げます。
  • 分泌物: 約99%が水で構成されており、塩分や尿素などの無機成分を少量含みます。この汗はサラサラとしており、分泌された直後はほぼ無臭です。
  • 特徴: 自律神経(交感神経)の働きによって分泌が促進されます。緊張やストレスによって手のひらや足の裏に汗をかくのは、エクリン腺の活動によるものです。

アポクリン腺

  • 分布: ワキの下、乳輪、陰部、耳の穴(外耳道)、へそ、肛門周囲など、特定の限られた部位にのみ分布しています。
  • 機能: 体温調節にはほとんど関与しません。かつてはフェロモンを分泌する器官として機能していたと考えられていますが、現代人においてはその機能は不明な点が多いです。
  • 分泌物: タンパク質、脂質、アンモニア、鉄分、コレステロール、色素などの有機成分を豊富に含みます。この汗は粘り気があり、乳白色をしていることもあります。分泌直後は無臭ですが、皮膚の常在菌によって分解されることでワキガ特有の臭いを発生させます。
  • 特徴: 思春期に性ホルモンの影響で活発化し、精神的ストレスや緊張によっても分泌が促進されます。毛穴に開口しているため、ワキ毛が濃い人ほど臭いがこもりやすい傾向にあります。

以下の表で、両者の違いをまとめました。

特徴 エクリン腺 アポクリン腺
分布 全身の皮膚(手のひら、足の裏、額に多い) ワキ、乳輪、陰部、耳の穴など特定の部位
主な機能 体温調節 体臭(ワキガ臭)の原因
分泌物 ほぼ水、塩分、尿素(サラサラ、無色透明) タンパク質、脂質、アンモニア、色素(粘り気、乳白色)
分泌直後 無臭 無臭(常在菌によって分解され臭い発生)
活動時期 生後すぐから活動 思春期以降に活発化
開口部 皮膚表面に直接開口 毛穴に開口

ワキガの臭いは、エクリン汗そのものが原因ではなく、アポクリン汗が皮膚の常在菌によって分解されることで発生します。しかし、エクリン汗の量が多い、つまり多汗症の傾向がある場合、ワキの下が常に湿潤状態となり、常在菌が繁殖しやすい環境を作り出すため、結果的にワキガの臭いを強める要因となることもあります。

ワキガの原因になりやすい遺伝的要因

ワキガは、特定の体質によって引き起こされる症状ですが、その体質は遺伝によって受け継がれる可能性が高いことが知られています。家族の中にワキガの人がいる場合、自分もワキガである、あるいは将来ワキガになるリスクがあると感じる人は少なくありません。

ワキガの遺伝確率について

ワキガの体質は、優性遺伝によって親から子へと受け継がれる傾向があるとされています。これは、両親のどちらか一方でもワキガの体質を持っている場合、その子がワキガ体質を受け継ぐ確率が高くなることを意味します。ワキガの原因となるアポクリン腺の数や大きさ、活動性は遺伝によって大きく左右されるため、遺伝的要因はワキガの最も重要な原因の一つと考えられています。

特に、ワキガの発生に関連する遺伝子として「ABCC11(ATP結合カセット輸送体C11)」が知られています。この遺伝子は、耳垢のタイプ(湿型か乾型か)にも関連しており、湿った耳垢を持つ人はワキガ体質である可能性が高いという特徴があります。日本人を含む東アジア人の約8割が乾型耳垢であるのに対し、欧米人やアフリカ系の民族では湿型耳垢の割合が高く、ワキガ体質の人が多い傾向にあります。これは、遺伝子の違いが体質に大きく影響していることを示唆しています。

両親がワキガの場合の遺伝率

ワキガの遺伝確率は、両親がワキガ体質であるか否かによって異なります。

  • 片親がワキガの場合:
    父親または母親のどちらか一方がワキガ体質の場合、お子さんがワキガの体質を受け継ぐ確率は約50%とされています。これは、優性遺伝の法則に従うため、たとえ片方の親がワキガでなくても、遺伝子を受け継ぐ可能性が半分あるためです。
  • 両親ともにワキガの場合:
    父親と母親の両方がワキガ体質である場合、お子さんがワキガの体質を受け継ぐ確率はさらに高くなり、約80%以上と言われています。両親ともにワキガの遺伝子を持っているため、お子さんがその遺伝子を受け継ぐ可能性が非常に高まります。

以下の表で、ワキガの遺伝確率をまとめました。

親のワキガの有無 お子さんがワキガ体質になる確率
片親がワキガ 約50%
両親ともにワキガ 約80%以上

ただし、これらの数字はあくまで統計的な確率であり、すべての人に当てはまるわけではありません。遺伝子を受け継いだとしても、アポクリン腺の活動性や汗の量、皮膚の常在菌の種類、生活習慣など、様々な要因が複合的に作用するため、必ずしもワキガの症状が強く出るわけではないことも理解しておく必要があります。また、ワキガの症状が思春期に発現することが多いため、幼い頃はワキガでなくても、成長とともに症状が現れることもあります。

ワキガの原因になりやすい体質

ワキガの主な原因がアポクリン腺の活動にあることは既に述べましたが、そのアポクリン腺の活動性や、汗の分泌量、さらには代謝の状態といった個人の「体質」もワキガの発生や臭いの強さに大きく影響します。遺伝的要因だけでなく、個々の身体的な特徴がワキガ体質を形成する重要な要素となります。

アポクリン腺が多い体質

ワキガの臭いの元となるアポクリン腺の数や大きさは、人によって大きく異なります。ワキガ体質を持つ人は、一般的にワキの下に存在するアポクリン腺の数が多く、一つ一つの腺も発達している傾向にあります。アポクリン腺が多ければ多いほど、また腺が大きければ大きいほど、分泌される汗の量も増え、それに伴い臭いの原因物質も多くなるため、ワキガの臭いが強くなる可能性が高まります。

このアポクリン腺の数や大きさは、前述の通り遺伝的要因によって決定される部分が大きいです。例えば、耳垢が湿っている人はアポクリン腺が発達している傾向にあることが知られています。これは、耳の中にもアポクリン腺が存在し、耳垢のタイプに影響を与えているためです。そのため、耳垢の湿り具合は、自身のワキガ体質を判断する一つの目安となることがあります。

また、ワキ毛が濃い人もワキガの臭いが強くなる傾向があります。アポクリン腺は毛穴に開口しているため、ワキ毛が多いと汗が溜まりやすく、また通気性が悪くなることで細菌が繁殖しやすい環境が作られるからです。ワキ毛が臭いを吸着し、さらに臭いを拡散させる役割を果たすこともあります。

汗の量が多い体質

ワキガの臭いの直接的な原因はアポクリン汗ですが、エクリン汗の量が多い「多汗症」の体質を持つ人も、ワキガの臭いが強くなる傾向があります。これは、多汗症そのものがワキガの原因となるわけではありませんが、ワキの下が常に湿った状態になることで、ワキガ臭を増強させる間接的な要因となるためです。

エクリン汗はほぼ水でできており無臭ですが、多量に分泌されることで以下のような影響が生じます。

  • 細菌の繁殖促進: 湿潤な環境は細菌が繁殖するのに最適な条件です。多量の汗によってワキの下が蒸れることで、アポクリン汗を分解する常在菌が活発に増殖し、結果として臭いの発生量が増加します。
  • アポクリン汗の拡散: エクリン汗が多量に出ることで、アポクリン汗が広範囲に拡散し、より多くの細菌と接触する機会が増える可能性があります。これにより、臭いの発生面積が広がり、体感的な臭いの強さが増すことがあります。
  • 衣服への吸着と臭いの持続: 汗が衣服に染み込むことで、臭いの原因物質が衣服に吸着し、長時間にわたって臭いが持続したり、周囲に拡散しやすくなったりします。

精神的な緊張やストレスは、エクリン腺とアポクリン腺の両方の活動を促進することがあります。特に緊張や不安を感じると、交感神経が刺激されて多量の汗が分泌されることがあります。このような状態が続くと、ワキの下が常に湿潤状態となり、ワキガの臭いが悪化するサイクルに陥りやすくなります。

このように、アポクリン腺の数や大きさといった遺伝的体質に加え、多汗傾向や精神状態もワキガの臭いに影響を与える重要な要素となります。

ワキガの原因に影響を与える食べ物

ワキガの主な原因はアポクリン腺と皮膚の常在菌の活動にありますが、日々の食生活もその臭いの強さや質に影響を与える可能性があります。体内で消化・代謝された成分が汗や皮脂とともに体外に排出される際、それが特定の臭いを形成することがあるためです。食事がワキガの直接的な原因となるわけではありませんが、臭いを悪化させたり、特定の臭いを強調したりする要因となり得ます。

ニンニクや香辛料がワキガの原因になる?

ニンニク、玉ねぎ、ネギ、ニラなどの香味野菜や、カレー粉、チリパウダーなどの香辛料は、摂取後に独特の体臭や口臭を引き起こすことで知られています。これらの食品に含まれる硫黄化合物(アリシンなど)は、体内で代謝された後、汗腺や呼気を通じて体外に排出される際に、特有の臭いを放つことがあります。

ワキガの臭いはアポクリン汗が分解されることで発生しますが、これらの食品由来の成分がエクリン汗やアポクリン汗と混ざり合うことで、ワキガの臭いをさらに複雑にしたり、刺激的な臭いに変化させたりする可能性があります。特に、もともとワキガ体質の人では、これらの食品を摂取することで、普段よりもワキガ臭が強く感じられたり、普段とは異なる臭いが加わったりすることがあります。

しかし、これらの食品がワキガの根本原因となるわけではありません。あくまで一時的な体臭の変化や、既存のワキガ臭の増強に寄与する可能性が指摘されているに過ぎません。ワキガ対策としては、これらの食品の摂取を控えることも一つの方法ですが、それだけでワキガが治るわけではないことを理解しておく必要があります。

肉食中心の食事がワキガを悪化させる理由

現代の食生活は欧米化が進み、肉類や動物性脂肪を多く摂取する傾向にあります。このような肉食中心の食事が、ワキガの臭いを悪化させる可能性があると指摘されています。その理由はいくつか考えられます。

  1. アポクリン腺の刺激:
    動物性タンパク質や脂質を過剰に摂取すると、体内で分解される過程でアンモニアや硫黄化合物などの代謝産物が多く生成されることがあります。これらの成分の一部はアポクリン腺を刺激し、ワキガ臭の原因となる汗の分泌を促進する可能性が考えられます。特に、肉類に含まれる脂質は皮脂腺の活動も活発にし、皮脂の過剰分泌も細菌の繁殖を助け、臭いを悪化させる要因となり得ます。
  2. 腸内環境の悪化:
    肉食中心の食生活は、腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境を悪化させる可能性があります。悪玉菌は、タンパク質を分解する際にインドールやスカトール、硫化水素などの腐敗産物を生成します。これらの物質は腸から吸収され、血液に乗って全身を巡り、最終的に汗や呼気として体外に排出される際に体臭として現れることがあります。ワキガの臭いに、このような腸内環境由来の臭いが混ざることで、より不快な臭いになることがあります。
  3. 活性酸素の増加:
    動物性脂肪の摂取過多は、体内で活性酸素を増加させることが知られています。活性酸素は細胞を傷つけ、脂質の酸化を促進します。この酸化された脂質が汗や皮脂として排出される際、不快な臭いを放つ可能性があります。

これらの理由から、ワキガの臭いを和らげたいと考える場合は、肉食中心の食事から、和食や野菜、食物繊維を豊富に含む食事へと見直すことが推奨されます。バランスの取れた食生活は、体全体の代謝を正常に保ち、腸内環境を改善することで、ワキガの臭いの軽減につながる可能性があります。

ワキガの原因は突然なることもある?

ワキガは、一般的に思春期に発症し、一生続くものと考えられがちです。しかし、大人になってから「急にワキガになった気がする」と感じるケースも少なくありません。これは、ワキガの体質が突然変化したというよりも、体内のホルモンバランスの変化や生活習慣、精神的な状態の変化などが、それまで潜在していたワキガの症状を顕在化させたり、臭いを強く感じさせたりするようになったりすることが原因と考えられます。

具体的には、以下のような時期や状況でワキガの症状が突然顕著になることがあります。

  1. ホルモンバランスの変化:
    • 思春期: 性ホルモン(アンドロゲンなど)の分泌が活発になる思春期は、アポクリン腺が発達し、活動が本格化する時期です。そのため、それまでワキガの兆候がなかった人が、思春期を迎えて急に臭いが気になり始めることはよくあります。
    • 妊娠・出産: 女性の場合、妊娠や出産によってホルモンバランスが大きく変動します。この時期にアポクリン腺の活動が活発になり、一時的にワキガ臭が強くなることがあります。産後、ホルモンバランスが安定するとともに臭いが軽減されることもありますが、そのままワキガの症状が定着することもあります。
    • 更年期: 男女ともに、更年期にはホルモンバランスが大きく変化します。特に女性はエストロゲンの減少が影響し、自律神経の乱れから多汗になったり、アポクリン腺の活動が変化したりして、ワキガ臭が気になるようになることがあります。
  2. ストレスや精神的緊張:
    ストレスは自律神経を刺激し、汗腺(特にエクリン腺とアポクリン腺)の活動を活発にさせます。多量の汗をかくことで、ワキの下が常に湿潤状態になり、細菌が繁殖しやすい環境が作られるため、臭いが悪化することがあります。また、ストレス自体が体内の代謝に影響を与え、臭いの原因物質の生成を促進する可能性も指摘されています。
  3. 生活習慣の変化:
    • 食生活の欧米化: 肉類や乳製品、脂質の多い食事を摂りすぎると、体内で分解される過程で臭いの元となる成分が生成されやすくなります。食生活の変化が、ワキガ臭を強める一因となることがあります。
    • 運動不足: 運動不足は新陳代謝を低下させ、老廃物が体内に蓄積しやすくなります。汗をかく機会が減ると、老廃物が排出されにくくなり、結果として体臭に影響を与えることがあります。
    • 飲酒・喫煙: アルコールやタバコに含まれる成分は、体内で分解される際に特定の臭いを発することがあります。これらがワキガ臭と混ざり合うことで、より不快な臭いを発生させる可能性があります。
  4. 体重増加:
    肥満になると、皮膚のひだ(シワ)が多くなり、そこに汗が溜まりやすく、通気性が悪くなるため、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。また、皮下脂肪が増えることで、アポクリン腺の活動が活発になるという説もあります。

「突然ワキガになった」と感じる場合、それはこれらの要因が重なり、ワキガの症状が顕在化した結果である可能性が高いです。自身の生活習慣や体調の変化を振り返り、思い当たる点があれば改善に努めることで、臭いの軽減につながるかもしれません。

ワキガの匂いの原因物質とは

ワキガの臭いは、単一の成分によって引き起こされるわけではありません。アポクリン腺から分泌される汗に含まれる様々な成分が、皮膚の表面に存在する特定の細菌によって分解されることで、複数の揮発性有機化合物が生成され、それらが複雑に混じり合ってワキガ特有の不快な臭いを形成します。このプロセスを理解することは、ワキガ対策を考える上で非常に重要です。

アポクリン汗は、脂質(コレステロール、脂肪酸)、タンパク質、炭水化物、アンモニア、鉄分、色素(リポフスチン)など、多種多様な有機成分を含んでいます。これらの成分は、分泌直後はほとんど無臭です。しかし、ワキの下の皮膚に常在する細菌、特に「ジフテロイド菌」や「黄色ブドウ球菌」といった微生物が、これらの有機成分を栄養源として分解する際に、不快な臭いの元となる化学物質を生成します。

アンモニア臭や硫黄臭の原因

ワキガの臭いを構成する主な原因物質には、以下のようなものが挙げられます。

  1. 不飽和脂肪酸(C6~C11の分岐鎖脂肪酸):
    ワキガ臭の最も主要な原因物質とされているのが、アポクリン汗中の脂質が細菌によって分解されて生成される「不飽和脂肪酸」です。特に「3-メチル-2-ヘキセン酸(3M2H)」や「3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オール(3M3SH)」などが代表的です。これらの脂肪酸は、独特の酸っぱい臭いや、カビ臭、チーズのような臭いを放ちます。ワキガ特有のツンとした臭いの大部分は、これらの脂肪酸によるものです。
  2. アンモニア:
    アポクリン汗にはタンパク質や尿素などが含まれており、これらが細菌によって分解されると「アンモニア」が生成されます。アンモニアは、いわゆる「ツンとした」鼻を刺すような刺激臭、すなわちアンモニア臭の原因となります。ワキガ臭の中に、尿のような臭いや、排泄物のような臭いを感じる場合、アンモニアが関与している可能性が高いです。
  3. 硫黄化合物(硫化水素、メタンチオールなど):
    アポクリン汗に含まれる含硫アミノ酸(メチオニン、システインなど)やその他の硫黄含有有機物が細菌によって分解されると、「硫黄化合物」が生成されます。これらの化合物は、腐った卵のような臭いや、玉ねぎのような臭い、あるいは焦げたような臭いを放ち、「硫黄臭」として認識されます。ワキガ臭の不快感を増す一因となります。
  4. ステロイド性化合物:
    アポクリン汗には、微量のステロイド性化合物(アンドロステノン、アンドロステノールなど)も含まれています。これらは、元々動物のフェロモンとして知られており、少量でも独特の獣臭やムスク系の臭いを発します。人間のワキガ臭の複雑さに寄与していると考えられています。

これらの様々な臭い成分が、個人のアポクリン腺の活動性、汗の量、皮膚の常在菌の種類やバランス、さらには食生活や生活習慣などによって変動し、ワキガの臭いの強さや質を決定しています。効果的なワキガ対策のためには、これらの原因物質の生成を抑えるか、あるいは分解菌の活動を抑制することが重要となります。

ワキガのセルフチェック・診断方法

ワキガの臭いは非常にデリケートな問題であり、自分では気づきにくいこともあれば、過度に気にしすぎてしまうこともあります。医療機関での診断が最も確実ですが、まずは自宅で簡単にできるセルフチェックを試してみることで、自身のワキガ体質についてある程度の判断ができます。

ただし、これらのセルフチェックはあくまで目安であり、確定診断には医療機関の受診が必要です。

ワキガのセルフチェック項目

以下の項目に当てはまる数が多いほど、ワキガ体質である可能性が高いと考えられます。

  1. 耳垢が湿っている:
    ワキガの体質と耳垢のタイプは密接に関連していることが知られています。耳の穴の中にもアポクリン腺が存在し、ワキガ体質の人は湿ったベタベタした耳垢になりやすい傾向があります。乾いたカサカサした耳垢の人は、ワキガである可能性は低いとされています。
  2. 両親や家族にワキガの人がいる:
    ワキガは遺伝性が高い体質です。両親のどちらか、または両方がワキガである場合、自身もワキガである可能性が高まります。血縁者にワキガの人がいるかを確認することは、有力な判断材料になります。
  3. 衣服のワキ部分が黄ばむ、または黒ずむ:
    アポクリン汗には色素(リポフスチン)や脂質、タンパク質が含まれているため、汗が衣服に染み込むと、時間とともに黄ばんだり、繰り返し洗濯することで黒ずんだりすることがあります。特に白いTシャツなどを着用した際に、ワキの部分に変色が見られる場合はワキガの可能性があります。
  4. ワキ毛に白い粉状のものが付着している:
    アポクリン汗に含まれる脂質やタンパク質が結晶化したり、皮膚の常在菌が繁殖した結果として、ワキ毛の根元や毛そのものに、白い粉やカスのようなものが付着していることがあります。これは、アポクリン腺の活動が活発であるサインの一つです。
  5. ワキを拭いたガーゼやティッシュが臭う(ガーゼテスト):
    清潔なガーゼやティッシュをワキの下に挟み、数分~10分程度放置します。その後、ガーゼを取り出して嗅いでみてください。独特の酸っぱい臭いや、鉛筆の芯のような臭い、カビ臭、生ゴミのような臭いがする場合は、ワキガの可能性があります。このテストは、運動後や入浴後など、アポクリン汗が分泌されやすいタイミングで行うとより正確な結果が得られることがあります。
  6. 精神的な緊張やストレスで臭いが強くなる:
    アポクリン腺の活動は、精神的な状態に影響を受けやすいことが知られています。緊張したり、ストレスを感じたりした時に、普段よりもワキガの臭いが強くなる、あるいは臭いを感じるようになる場合は、ワキガの可能性があります。
  7. ワキ毛が太く、毛量が多い:
    アポクリン腺は毛穴に開口しているため、ワキ毛が太く、毛量が多い人は、毛に臭いの原因物質が絡みつきやすく、また通気性が悪くなることで細菌が繁殖しやすい環境が作られ、臭いが強くなる傾向があります。

医療機関での診断

セルフチェックでワキガの可能性が高いと感じた場合や、臭いに関する悩みが日常生活に支障をきたしている場合は、皮膚科や美容外科などの医療機関を受診することをおすすめします。医師は、以下の方法で診断を行います。

  • 視診・触診: 医師が直接ワキの下の状態(アポクリン腺の発達具合、毛の様子、衣服の黄ばみなど)を視認・触診します。
  • 問診: 患者の症状、体質、家族歴、生活習慣などを詳しく聞き取ります。
  • ガーゼテスト(医師による確認): 医師の立ち会いのもとでガーゼテストを行い、臭いの種類や強さを客観的に評価します。
  • 遺伝子検査: 近年では、ABCC11遺伝子のタイプを調べる遺伝子検査を行うクリニックもあります。これにより、ワキガ体質であるかどうかの遺伝的な根拠を得ることができますが、必ずしも検査が必要なわけではありません。

これらの診断を通じて、医師がワキガであると判断し、適切な治療法や対策を提案してくれます。

ワキガの根本的な治し方・対策

ワキガは、その原因が遺伝や体質に深く根ざしているため、完全に「治る」というよりも、その臭いを「根本的に抑える」または「日常生活でコントロールする」という考え方が現実的です。対策には、医療機関での治療と、日々の生活習慣やセルフケアの両面からのアプローチがあります。

医療機関での治療法(手術など)

医療機関で行われるワキガ治療は、アポクリン腺そのものにアプローチし、臭いの原因を根本から除去したり、その活動を抑制したりすることを目的とします。症状の重さや希望に応じて様々な治療法が選択できます。

治療法 概要 効果 持続性 メリット デメリット 保険適用
剪除法(切開法) ワキの下を切開し、医師が直接アポクリン腺を目で見て除去する。 非常に高い(根治に近い) 半永久的 確実性が高く、根治が期待できる 傷跡が残る、ダウンタイムが長い、医師の技術に左右される 適用あり
皮下組織削除法 専用の器具(カミソリ刃など)を使い、皮膚の裏側からアポクリン腺を削り取る。 高い 半永久的 剪除法より傷跡が目立ちにくい、ダウンタイムが短い 除去しきれない場合がある、内出血のリスク 適用あり
吸引法 小さな穴を開け、カニューレ(細い管)でアポクリン腺を吸い取る。 中程度~高い 半永久的 傷跡が非常に小さい、ダウンタイムが短い 除去しきれない場合がある、再発のリスク 適用なし
ボトックス注射 ワキの下にボツリヌス毒素を注射し、汗腺(主にエクリン腺)の働きを一時的に抑える。 多汗症の改善が主だが、結果的にワキガ臭軽減に繋がる 約4~6ヶ月 施術が短時間、傷跡なし、ダウンタイムなし 定期的な施術が必要、ワキガの根本治療ではない 適用なし
ミラドライ マイクロ波を照射し、汗腺(アポクリン腺・エクリン腺)を破壊する。 高い 半永久的 非侵襲的、傷跡なし、ダウンタイムが短い 費用が高い、腫れや痛みの可能性、稀に効果が不十分 適用なし
ビューホット 高周波(RF)エネルギーを照射し、汗腺を破壊する。 高い 半永久的 非侵襲的、傷跡なし、ダウンタイムが短い 費用が高い、ミラドライより歴史が浅い 適用なし

※保険適用については、医療機関や個々の症状、診断基準によって異なる場合があります。一般的に、手術療法は保険適用となる場合がありますが、非手術療法は自由診療となることが多いです。

日々のワキガ対策

医療機関での治療を受けるかどうかにかかわらず、日々のセルフケアはワキガ臭の軽減に非常に重要です。原因となる汗の分泌を抑え、細菌の繁殖を抑制することで、臭いを効果的にコントロールできます。

  1. 清潔の保持:
    • 入浴・シャワー: ワキの下は毎日石鹸で丁寧に洗い、常に清潔に保つことが基本です。特に、運動後や汗をかいた後は、できるだけ早くシャワーを浴びたり、ワキの下を清潔な濡れタオルや汗拭きシートで拭き取ったりしましょう。ゴシゴシ洗いすぎると皮膚を傷つけ、かえって細菌が繁殖しやすくなることもあるので注意が必要です。
    • 汗拭きシート: 外出先で汗をかいた際に、こまめにワキの下を拭き取ることで、臭いの原因となる汗や皮脂、細菌を取り除けます。殺菌成分や制汗成分が含まれたシートを選ぶとより効果的です。
  2. 通気性の良い衣服の着用:
    • 綿や麻などの天然素材、または吸湿速乾性に優れた機能性素材の衣服を選びましょう。これらの素材は汗を吸収しやすく、通気性も良いため、ワキの下が蒸れるのを防ぎ、細菌の繁殖を抑える効果があります。
    • タイトな服よりも、ゆったりとしたシルエットの服を選ぶことで、ワキの通気性を確保できます。
    • 汗を吸い取るインナー(ワキパッド付きなど)を着用することも有効です。
  3. 食生活の改善:
    • 肉類や乳製品、脂質の多い食事は、アポクリン腺の活動を活発にしたり、腸内環境を悪化させたりする可能性があるため、摂取を控えめにしましょう。
    • 野菜、海藻、きのこ類などの食物繊維が豊富な食品を積極的に摂取し、腸内環境を整えることが重要です。腸内環境が改善されると、体内で発生する臭いの原因物質が減少し、体臭全体の軽減につながることがあります。
    • ビタミンCやE、ポリフェノールなどの抗酸化作用のある食品(果物、緑黄色野菜など)を摂ることも、体内の脂質酸化を抑え、臭いの発生を抑える効果が期待できます。
  4. ストレス管理と規則正しい生活:
    • ストレスはアポクリン腺の活動を活発にし、汗の分泌を促進します。十分な睡眠、適度な運動、趣味などでストレスを解消し、心身のリラックスを心がけましょう。
    • 規則正しい生活リズムは、ホルモンバランスを整え、体全体の代謝を正常に保つ上で重要です。
  5. ワキ毛の処理:
    ワキ毛が濃いと、汗が毛に絡みつきやすく、通気性が悪くなるため、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。ワキ毛を短くカットしたり、脱毛したりすることで、衛生状態が改善され、臭いの軽減につながります。

ワキガに効く市販薬・塗り薬

市販されているワキガ対策製品は、主に「制汗剤」と「デオドラント」の2種類に分けられます。それぞれ異なるアプローチでワキガ臭に作用します。

タイプ 主な効果 主要成分(例) 選び方のポイント
制汗剤 汗の分泌を抑える 塩化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、ミョウバン(焼ミョウバン) 汗の量が気になる人に。有効成分の濃度が高いものを選ぶ。
デオドラント 細菌の繁殖を抑える、消臭する イソプロピルメチルフェノール、ベンザルコニウム塩化物、銀イオン、柿渋エキス、緑茶エキス、香料 臭いそのものが気になる人に。殺菌成分と消臭成分の両方を含むものが効果的。

制汗剤:

汗腺の開口部を収縮させることで、汗の分泌量を一時的に減らします。これにより、ワキガの原因となるアポクリン汗の分泌自体を抑える効果が期待できます。

  • 代表成分: 塩化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、ミョウバン(焼ミョウバン)など。特に塩化アルミニウムは医療機関でも処方されることがあるほど高い制汗効果が期待できますが、肌への刺激が強い場合もあります。

デオドラント:

汗自体を抑えるのではなく、臭いの原因となる細菌の繁殖を抑制したり、発生した臭いを吸着・分解したり、別の香料でマスキングしたりすることで、臭いを軽減します。

  • 代表成分:
    • 殺菌成分: イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、ベンザルコニウム塩化物、トリクロサンなど。
    • 消臭成分: 柿渋エキス、緑茶エキス、銀イオン、活性炭など。
    • その他: 香料(マスキング効果)、収れん成分(肌を引き締める)。

選び方と使用のポイント:

  • 両方の効果を持つ製品: 制汗成分と殺菌・消臭成分の両方が配合されている製品を選ぶと、より高い効果が期待できます。
  • 剤形: スプレー、ロールオン、スティック、クリーム、シートなど様々なタイプがあります。肌質やライフスタイルに合わせて選びましょう。クリームやロールオンタイプは、肌に密着しやすく持続性が高い傾向にあります。
  • 使用タイミング: 清潔な肌に使うことが大前提です。入浴後やシャワー後、就寝前など、汗をかいていない清潔な状態で使用すると、成分が肌に浸透しやすく、効果が持続しやすいです。
  • パッチテスト: 初めて使用する製品は、ワキ以外の目立たない場所でパッチテストを行い、肌に異常がないか確認してから使用しましょう。敏感肌の人は、低刺激性の製品を選ぶことが重要です。
  • 過剰使用を避ける: 効果を高めようと過剰に使用すると、肌トラブルを引き起こす可能性があります。製品の指示に従って適量を使いましょう。

市販薬は、ワキガの症状を軽減するための補助的な役割を果たします。臭いが特に気になる場合や、セルフケアだけでは改善しない場合は、医療機関での専門的な治療を検討することも大切です。

ワキガの原因についてよくある質問

Q1. ワキガはどんな季節でも臭うものですか?

ワキガは、一年を通じて臭う可能性がありますが、特に夏場など汗をかきやすい季節に臭いが強くなる傾向があります。アポクリン汗は、気温が高い時や運動時、ストレスを感じた時に活発に分泌されるため、汗の量が増えることで細菌が繁殖しやすくなり、結果的に臭いが強くなるからです。しかし、冬場でも暖房の効いた室内や厚着によってワキが蒸れると臭いが発生することもあります。季節を問わず、適切なケアが重要です。

Q2. ワキガの臭いは年齢とともに変化しますか?

ワキガの臭いは、年齢とともに変化する可能性があります。思春期に性ホルモンが活発になることで発症・悪化することが多いですが、成長とともにホルモンバランスが安定すると、臭いが軽減されることもあります。また、加齢に伴いアポクリン腺の活動が低下することで、臭いが弱まるケースもあります。しかし、一方で、食生活の欧米化や運動不足、ストレスなどの生活習慣の変化によって、中年以降にワキガ臭が強くなると感じる人もいます。これは、ワキガ臭だけでなく、皮脂の酸化による加齢臭や、内臓機能の低下による体臭が混ざり合うことで、より複雑な臭いとなる場合もあります。

Q3. ワキガの臭いを消すための食事療法はありますか?

ワキガの臭いを根本的に消すための「食事療法」という特定の治療法はありませんが、食生活の改善は臭いの軽減に役立つ可能性があります。動物性タンパク質や脂質の過剰摂取は、アポクリン腺を刺激したり、腸内環境を悪化させたりすることで、臭いの原因物質の生成を促進する可能性があります。そのため、以下のような食生活を心がけることが推奨されます。

  • 肉類や乳製品、脂質の摂取を控えめにする: 特に加工肉やファストフード、揚げ物などは控えめに。
  • 野菜、海藻、きのこ類を積極的に摂る: 食物繊維が豊富なこれらの食品は腸内環境を整え、悪玉菌の活動を抑制し、体内の老廃物排出を促進します。
  • 抗酸化作用のある食品を摂る: ビタミンCやE、ポリフェノール(果物、緑黄色野菜、ナッツ類など)は、体内の脂質酸化を抑え、臭いの発生を抑える効果が期待できます。
  • 和食中心のバランスの取れた食事: 魚、大豆製品、発酵食品などを取り入れ、全体的にバランスの取れた食生活を意識しましょう。
  • 水分をしっかり摂る: 体内の代謝を促進し、老廃物の排出を助けます。

これらの食生活の改善は、ワキガ臭だけでなく、体全体の健康にも良い影響を与えます。

Q4. ワキガの人は痩せていると臭いが少ないですか?

ワキガの臭いの強さは、痩せているか太っているかだけで決まるわけではありませんが、肥満がワキガ臭を悪化させる一因となる可能性はあります。肥満になると、皮膚のひだが増え、汗が溜まりやすく、通気性が悪くなるため、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。また、代謝異常やホルモンバランスの変化もワキガ臭に影響を与える可能性があります。一方で、痩せていてもアポクリン腺の数や活動性が高い遺伝的体質であればワキガ臭は発生します。体重管理はワキガ対策の一部として重要ですが、それが全てではありません。

Q5. 子どもでもワキガになることはありますか?

ワキガの原因であるアポクリン腺は、思春期を迎えるまでは活動が未熟なため、基本的に幼い子どもがワキガになることは稀です。しかし、個人差があり、稀に小学校高学年ごろから臭いが気になり始めるケースもあります。これは、思春期が始まる時期に性ホルモンが分泌され始め、アポクリン腺が少しずつ活発になり始めるためと考えられます。もし幼いお子さんのワキガが気になる場合は、自己判断せず、小児科医や皮膚科医に相談することをおすすめします。

Q6. ワキガの臭いは病気と関連していますか?

ワキガそのものは病気ではありませんが、特定の疾患の症状として体臭が変化することがあります。例えば、糖尿病では甘酸っぱいアセトン臭、肝臓病ではアンモニア臭、腎臓病では尿のような臭いなど、内臓の病気が体臭に影響を与えることがあります。これらの疾患による体臭は、ワキガの臭いとは異なりますが、区別が難しい場合もあります。ワキガ臭以外の体臭が急に気になり始めた場合や、他の体調不良を伴う場合は、内科などの医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。

【まとめ】ワキガの原因を知り、適切な対策で悩みを軽減しよう!

ワキガの臭いは、ワキの下に存在する「アポクリン腺」から分泌される汗が、皮膚の「常在菌」によって分解されることで発生します。この根本的なメカニズムに加え、ワキガの体質は「遺伝」によって受け継がれる可能性が高く、両親がワキガであれば子どももワキガである確率は高まります。

また、アポクリン腺の数や活動性の違い、多汗傾向といった個人の「体質」が臭いの強さに影響を与え、肉食中心の食生活やストレス、ホルモンバランスの変化なども「ワキガの原因」を悪化させる要因となり得ます。突然ワキガになったと感じる場合でも、それは多くの場合、体調や生活習慣の変化によって潜在的な症状が顕在化した結果です。

ワキガの対策は多岐にわたります。セルフチェックで自身の可能性を把握し、清潔の保持、通気性の良い衣服の着用、食生活の改善、ストレス管理といった「日常でできる対策」を継続することが重要です。また、ワキガに特化した「市販の制汗剤やデオドラント」も、臭いを抑えるために有効な選択肢です。

もしセルフケアだけでは改善しない場合や、ワキガの悩みが深刻で日常生活に支障をきたしている場合は、皮膚科や美容外科などの「医療機関での治療」を検討することをおすすめします。手術によるアポクリン腺の除去や、ボトックス注射、ミラドライ、ビューホットといった非侵襲的な治療法など、様々な選択肢があります。専門医に相談し、ご自身の症状やライフスタイルに合った最適な治療法を見つけることが、ワキガの悩みを根本的に解決するための第一歩となるでしょう。

ワキガはデリケートな問題ですが、原因を正しく理解し、適切な対策を講じることで、臭いの悩みを大きく軽減し、自信を持って日常生活を送ることが可能です。一人で抱え込まず、できることから行動を始めてみましょう。

免責事項:
本記事はワキガに関する一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や製品の効果を保証するものではありません。個人の症状や体質は様々であり、記事の内容はすべての人に当てはまるわけではありません。ワキガの診断や治療に関しては、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。自己判断による治療や製品の使用は、思わぬ健康被害につながる可能性があります。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医
略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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