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粉瘤(ふんりゅう、atheroma)|原因・症状・治療を徹底解説【医療専門ページ】

1. 粉瘤とは何か(定義・概要)

粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下に袋状の嚢胞(のうほう)が形成され、角質や皮脂などの老廃物が内部に蓄積することで発生する良性腫瘍です。医学的には「表皮嚢腫(epidermal cyst)」あるいは「アテローム(atheroma)」とも呼ばれ、皮膚科で非常に頻繁にみられる病変の一つです。痛みがないことも多いですが、感染や炎症を起こすと急激に腫れて痛みを伴うことがあります。

詳細に述べると、粉瘤は単に皮膚の下に袋ができるだけの病変ではなく、その構造と形成過程には皮膚生理学的な知識が必要です。角質細胞が皮膚表面ではなく皮膚内部で増殖するという異常なプロセスにより、袋の内部にはケラチン様物質が蓄積します。この構造は、外部から閉ざされているため、自然に排出されることはほとんどなく、結果として徐々に腫瘤が大きくなっていきます。また、周囲の組織に対して慢性的な圧迫を引き起こすこともあり、皮膚の菲薄化や色素沈着が生じることもあります。

2. 発生メカニズム・病態生理

粉瘤は毛包(毛穴の根本)にある表皮細胞が何らかの原因で皮膚内部に入り込み、袋状構造を作りながら角質を産生し続けることで形成されます。この袋の内部はケラチンというたんぱく質を含む白色~黄色のドロドロした内容物で満たされ、徐々に腫瘍のような塊になります。

3. 原因とリスク要因

粉瘤の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関係していると考えられます:
– 外傷(擦り傷、切り傷)
– 毛包の閉塞
– ホルモンバランスの乱れ
– 遺伝的体質
– ニキビなどの慢性炎症

4. 症状と経過

初期は痛みを伴わない小さなしこりとして発見されます。進行すると次第に大きくなり、中央に黒い点(開口部)を伴うこともあります。感染すると赤く腫れ、強い痛みや膿の排出を伴い、時に発熱することもあります。

5. 診断方法

診断は主に視診と触診によって行われます。特徴的なしこりや中央の開口部が認められることで診断されることが多いです。超音波検査では内部構造が確認でき、内部に液体やケラチンを含む嚢胞性病変として描出されます。鑑別すべき疾患には脂肪腫、リンパ節腫脹、皮膚がんなどがあります。

6. 治療法

粉瘤の根治には手術による摘出が必要です。炎症がない状態での摘出が最も理想的で、嚢胞全体を取り除くことで再発を防げます。
– 日帰り局所麻酔手術
– 炎症時にはまず切開排膿を行い、後日摘出
– 抗菌薬は感染を抑えるために使用されますが、根本的な治療にはなりません

7. 予後と再発リスク

嚢胞壁を完全に取り除くことで、再発のリスクは極めて低くなります。ただし、感染時の摘出や不完全摘出では再発の可能性が高まります。

8. 放置によるリスク

粉瘤を放置すると、慢性的に感染を繰り返したり、皮膚の深部まで炎症が波及することがあります。まれに粉瘤の周囲に肉芽腫や膿瘍が形成されることもあり、早期の治療が望まれます。

9. よくある質問(Q&A)

Q1. 粉瘤は自然に治りますか?
A1. 自然に小さくなることもありますが、袋が残っていれば再び大きくなる可能性があります。

Q2. 粉瘤は潰しても大丈夫ですか?
A2. 潰すと中身が出て一時的に小さくなりますが、再発や感染の原因となるため避けましょう。

Q3. 保険は使えますか?
A3. 医療機関での診察・手術には健康保険が適用されます。

10. まとめ

粉瘤は一般的な皮膚腫瘍であり、正しく診断し、適切なタイミングで治療することが重要です。炎症を起こす前に計画的に摘出することで、合併症や再発のリスクを最小限に抑えられます。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医
略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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