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ミノキシジルの副作用とは?内服・外用薬別の注意点と対策

薄毛治療の選択肢として広く知られる「ミノキシジル」。
その効果に期待する一方で、ミノキシジルの副作用について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に、飲み薬(内服薬)と塗り薬(外用薬)ではリスクの種類も異なり、正しい知識を持つことが安心して治療を続けるための鍵となります。

この記事では、ミノキシジルの使用を検討している方や、すでに使用中で副作用が気になる方のために、考えられる副作用の種類から初期脱毛のメカニズム、万が一の際の対処法までを徹底的に解説します。

ミノキシジルは、もともと高血圧治療のための血管拡張剤として開発された成分です。
治療の過程で、副作用として「多毛症」が見られたことから、発毛剤としての研究が進められ、現在ではAGA(男性型脱毛症)や女性の薄毛治療に用いられています。

ミノキシジルの主な作用は以下の2つです。

  1. 血管拡張作用: 頭皮の毛細血管を広げ、血流を改善します。
  2. 毛母細胞への直接作用: 髪の毛を作り出す「毛母細胞」を活性化させ、ヘアサイクル(毛周期)を正常化します。

これにより、休止期にある髪の毛を成長期へと移行させ、太く長い健康な髪の毛の成長を促進する効果が期待できます。

ミノキシジル内服薬(タブレット)の効果と副作用

ミノキシジル内服薬(通称ミノタブ)は、体内に直接成分を取り込むため、外用薬よりも高い発毛効果が期待できる一方で、副作用が全身に現れる可能性があります。
特に注意すべきは、もともとの作用である血管拡張に伴う心臓や血管への影響です。

心臓・血管への影響と注意点

動悸・息切れ

全身の血管が拡張することで、心臓はより多くの血液を送り出そうと働きが活発になります。
その結果、心拍数が増加し、動悸や息切れを感じることがあります。

低血圧・めまい

血管が拡張すると血圧が下がりやすくなります。
もともと血圧が低い方や、立ち上がった際に血圧が急低下する「起立性低血圧」の症状として、めまいやふらつきが現れることがあります。

むくみ・体重増加

ミノキシジルの作用により、体内の水分や塩分の排出が滞り、むくみ(浮腫)が生じることがあります。
特に、手足や顔に現れやすく、むくみに伴い体重が増加するケースも報告されています。

多毛症とその他の全身症状

ミノキシジルの副作用として最もよく知られているのが多毛症です。
これは、有効成分が血流に乗って全身に行き渡ることで、頭髪だけでなく、腕や脚、顔(ひげや産毛)など、全身の体毛が濃くなる症状です。

ミノキシジル外用薬(塗り薬)の効果と副作用

外用薬は、有効成分を頭皮に直接塗布するため、副作用は塗布部分に限定されることがほとんどです。
内服薬に比べて全身性の副作用のリスクは低いとされています。

頭皮の症状とかゆみ

塗布した部分の頭皮に、かゆみ、赤み、フケ、乾燥などの症状が現れることがあります。
これは、ミノキシジル成分そのものや、製剤に含まれるアルコールなどの添加物が肌に合わない場合に起こりやすいです.

発疹・かぶれ

かゆみと同様に、アレルギー反応として接触皮膚炎(かぶれ)や発疹が起こることがあります。
症状が強い場合や、長引く場合は使用を中止し、医師に相談する必要があります。

ミノキシジルの初期脱毛とは?

ミノキシジルの使用を開始して数週間後に、かえって抜け毛が増える現象を「初期脱毛」と呼びます。
これは副作用の一環ではありますが、治療が順調に進んでいるサインでもあります。

初期脱毛が起こる理由と期間

ミノキシジルは、乱れたヘアサイクルを正常に戻す働きがあります。
使用を開始すると、成長が止まっていた古い髪の毛(休止期の毛)が、新しく生えてくる健康な髪の毛(成長期の毛)に押し出される形で一斉に抜け落ちます。
これが初期脱毛の正体です。

個人差はありますが、初期脱毛は使用開始後2週間~1ヶ月頃から始まり、1~2ヶ月程度続くのが一般的です。

初期脱毛と薄毛悪化の見分け方

初期脱毛は一時的な現象ですが、薄毛が悪化しているのではないかと不安になる方も少なくありません。
見分けるポイントは以下の通りです。

項目 初期脱毛 薄毛の悪化
期間 治療開始後、数週間〜2ヶ月程度で収まる 3ヶ月以上、抜け毛が減らない・増え続ける
頭皮の状態 赤みやかゆみなど、他の副作用がなければ正常 炎症や強いかゆみなど、別のトラブルを伴う
抜け毛の質 細く短い、弱々しい毛が多い 太く健康な毛も多く抜ける

初期脱毛の期間を過ぎても抜け毛が減らない場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。

ミノキシジルの副作用における女性特有のリスク

女性がミノキシジルを使用する場合、特に注意すべき点があります。

女性の多毛症(体毛の増加)

特に内服薬の場合、顔の産毛や手足の毛が濃くなる多毛症が男性よりも目立ちやすい傾向があります。
美容的な観点から大きな悩みとなる可能性があるため、治療開始前に医師とよく相談することが重要です。

妊娠中・授乳中のミノキシジル使用の危険性

妊娠中、授乳中、または妊娠の可能性がある女性は、ミノキシジルを使用してはいけません。
ミノキシジル成分が胎児の心臓や血管の発達に影響を及ぼす危険性が指摘されています。
また、母乳を通じて乳児に移行する可能性もあるため、使用は絶対に避けてください。

ミノキシジル使用中に副作用が出た場合の対処法

自己判断での中断は危険?

動悸やめまいなどの副作用を感じた際に、自己判断で急に服用を中止することは避けるべきです。
特に内服薬の場合、急な中断は血圧の急激な変動を招くリスクがあります。
まずは慌てずに処方を受けたクリニックに連絡し、指示を仰ぎましょう。

医師への相談が不可欠な理由

副作用が現れた場合、それは薬が体に合っていない、あるいは量が多すぎるサインかもしれません。
医師に相談することで、以下のような適切な対応をとることができます。

  • 用量の調整: 副作用が出にくい量に減らす。
  • 薬剤の変更: 外用薬への切り替えや、他の治療法を検討する。
  • 対症療法: かゆみ止めを処方するなど、症状を和らげる薬を併用する。

安全かつ効果的に治療を続けるためには、専門家である医師の判断が不可欠です。

ミノキシジルで心配されるその他の疑問

ミノキシジルで毛根は復活するのか?

ミノキシジルは、完全に活動を停止(死滅)してしまった毛根を復活させることはできません。
あくまで、弱っている毛母細胞を活性化させ、休止期にある毛根を成長期へと促すことで発毛をサポートする薬です。

ミノキシジルで薄毛は進行するのか?

初期脱毛の期間は一時的に薄毛が進行したように感じることがありますが、これはヘアサイクルが正常化する過程の現象です。
適切に使用を続ければ、その後は毛髪の成長が期待できます。
ミノキシジル自体が薄毛を進行させることはありません。

ミノキシジルは精液量を減少させるのか?

ミノキシジルが精液量や精子の機能に直接影響を与えるという明確な医学的エビデンスは、現時点では確立されていません。
しかし、男性機能に関して不安がある場合は、治療開始前に医師に相談することをおすすめします。

ミノキシジルの服用をやめるとどうなる?

服用中止による影響

ミノキシジルの効果は、使用を継続している間に限られます。
使用を中止すると、活性化されていた毛母細胞の働きが元に戻り、ヘアサイクルも徐々に治療前の状態に後退していきます。
結果として、数ヶ月かけて髪の毛は再び薄くなっていく可能性があります。

再び使用を始める際の注意点

一度中止した後に治療を再開する場合、必ず医師に相談してください。
体の状態が変化している可能性もあるため、以前と同じ用法・用量で問題ないか、改めて診察を受けることが安全です。

ミノキシジルの副作用に関するよくある質問

ミノキシジルの副作用は危険ですか?

ミノキシジルには動悸や低血圧、多毛症などの副作用があり、リスクはゼロではありません。
しかし、医師の診断のもと、適切な用法・用量を守って使用すれば、過度に危険視する必要はありません。
リスクを最小限に抑え、安全に治療を進めるためにも、個人輸入などに頼らず、必ずクリニックで処方を受けることが重要です。

ミノキシジルと併用注意の薬剤はありますか?

はい、あります。
特に以下の薬を服用している方は注意が必要です。

  • 血圧を下げる薬(降圧剤): 作用が増強され、血圧が下がりすぎる危険があります。
  • 一部の痛み止め(NSAIDs): ミノキシジルの効果を弱める可能性があります。
  • ED治療薬: 血管拡張作用を持つため、併用により血圧が過度に低下することがあります。

持病がある方や、他に服用している薬がある方は、必ず診察時に医師へ申告してください。

ミノキシジル治療は専門の医師に相談を

ミノキシジルは、正しく使用すれば薄毛改善に高い効果が期待できる治療薬です。
しかし、その効果の裏には、無視できない副作用のリスクも存在します。
特に内服薬は全身への影響があるため、専門的な知識を持つ医師の管理下で使用することが大前提です。

副作用への不安を解消し、ご自身の体質や症状に合った最適な治療法を選択するためにも、まずは薄毛治療を専門とするクリニックの医師に相談することから始めましょう。

免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。ミノキシジルの使用に関しては、必ず医師または薬剤師にご相談ください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医
略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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