ナローバンドUVB療法とは?効果や副作用、エキシマライトとの違いについて解説
- 本コラムの内容について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
「ナローバンドUVB療法にはどんな効果が期待できる?」
「ナローバンドUVBとエキシマライトの違いは?」
などとお考えではありませんか。
ナローバンドUVB療法とは、特定の波長域の紫外線のみを照射する紫外線療法です。
悪化したアトピー性皮膚炎や尋常性白斑に働きかけ、かゆみなどの症状を抑える効果が期待できます。従来の紫外線療法に比べて副作用のリスクが少ないのも特徴的です。
このページではナローバンドUVB療法に期待できる効果やメカニズム、副作用、治療の流れについて解説します。エキシマライトとの違いについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ナローバンドUVB療法とは?副作用の少ない波長を照射する紫外線療法
ナローバンドUVB療法とは紫外線療法の一種です。副作用の少ない波長域「311~313nm」の紫外線を選択的に照射します。
副作用が少ないのは300nm以下の波長をカットしているためです。300nm以下の波長は皮膚を赤くさせ、やけどさせるリスクがあります。
また従来の紫外線療法「PUVA療法」のように、薬を付けたり飲んだりする必要がありません。照射時間も従来より短くなっているので、治療にかかる患者様への負担が抑えられています。
ナローバンドUVB療法の効果 | 悪化したアトピーや尋常性白斑を改善
ナローバンドUVB療法の対象となる疾患には、主に以下があります。
- アトピー性皮膚炎
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- 尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)
- 円形脱毛症
など
ナローバンドUVB療法は、重症のアトピー性皮膚炎や難治性の慢性湿疹の改善にも有効です。
症状が重症化すると神経が敏感になって激しいかゆみを感じやすくなり、かゆみに対して抗アレルギー剤が効きにくくなります。
ナローバンドUVB療法は敏感になった神経を抑えて、抗アレルギー剤などでコントロールできるかゆみに戻す効果が期待できます。
ナローバンドUVB療法のメカニズムは?かゆみなどが改善される仕組み
ナローバンドUVB療法でアトピー性皮膚炎などが改善されるメカニズムは、以下の通りです。
- 病気を抑えたり悪化させたりする細胞に影響を与える
- 細胞と細胞をつなぐ物質に影響を与える
- アトピー性皮膚炎などの原因となる細胞の「細胞死」を誘導
- 病状を抑える制御性の細胞を誘導
このメカニズムによって、ナローバンドUVB療法は病状の良い状態を長続きさせると考えられています。
ナローバンドUVB療法は過剰なかゆみを戻し、外用薬などと組み合わせて症状改善を目指します。
ナローバンドUVB療法の施術を受ける頻度は?週3回が目安
ナローバンドUVB療法の施術を受ける頻度は、週3回が目安となります。
ただし効果が実感できる回数や、治るまでに必要な回数は疾患によって異なります。主な疾患とその施術回数は以下の通りです。
疾患 | 効果が実感できる回数 | 治るまでの回数 |
---|---|---|
アトピー性皮膚炎 | 3~4回 | 合計20〜30回 |
乾癬 | 3~4回 | 合計20〜30回 |
白斑 | 10回以内 | 長期の治療が必要 |
これらの回数はあくまでも目安です。症状や重症度には個人差があるため、数回の施術では効果を実感できない可能性もあります。
施術を受ける頻度や回数は医療機関と相談して、医師と一緒に治療計画を立てましょう。
ナローバンドUVB療法の副作用 | 赤みや色素沈着の可能性がある
ナローバンドUVB療法は副作用の少ない紫外線療法です。
しかし、施術後に赤みや色素沈着といった副作用が発生する可能性があります。起こりうる副作用は以下の通りです。
- 肌の赤み
- 日焼け
- 色素沈着
- 肌のほてり
- やけど
など
なお乾癬の治療で「ビタミンD3製剤外用薬」を使用している方は注意が必要です。ビタミンD3製剤外用薬には、紫外線の照射によって分解されるリスクがあります。
ビタミンD3製剤外用薬の使用は、ナローバンドUVB療法を行った後にしましょう。
ナローバンドUVB療法のメリット・デメリット
ここまで、ナローバンドUVB療法の効果や副作用について解説してきました。
ナローバンドUVB療法のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・副作用が少ない ・従来のPUVA療法より高い効果が期待できる ・従来のPUVA療法より治療時間が短い ・難治性の皮膚疾患にも適応する ・症状によっては保険が使える |
・症状が治るまでに回数がかかる ・日焼けを起こす可能性がある ・再発の可能性がある |
ナローバンドUVB療法は、副作用が少ない上に従来の紫外線療法よりも高い治療効果が期待できることがメリットです。
一方で症状を治すまでに多くの受診が必要になるほか、再発を起こす可能性があります。しかし仮に再発する場合、再発までの期間は長くなることが多いです。
ナローバンドUVB療法の治療の流れ
ナローバンドUVB療法の治療の流れは以下の通りです。
- 問診
症状を診断。現在使用している薬についても確認します - 血液検査
必要時には血液検査でアレルギーの程度や病気の状態をチェックします - 紫外線照射
紫外線防護メガネを着用(顔に症状がない場合はタオルも使用)し、目元をカバーしながら照射を行います - 再診
照射後の状態を確認し、照射量や出力を変更して治療を継続します
照射によって症状が消えてなくなった部位には服や下着を着用し、症状が残っている部分に限定して照射を続けます。
感受性が高い陰部にはパンツなどを着用して照射します。
ナローバンドUVBとエキシマライトの違い
ナローバンドUVB療法と同様に、皮膚疾患の治療法として「エキシマライト療法」と呼ばれるものがあります。
エキシマライト療法とは、ナローバンドUVB療法の約40倍の光強度で照射できる光線療法です。ナローバンドUVBとエキシマライトの違いは、以下のようになっています。
名称 | ナローバンドUVB | エキシマライト |
---|---|---|
特徴 | 副作用が少ない | 患部だけに照射可能 |
波長のピーク | 311±2nm | 308nm |
治療時間 | 数分~30分ほど | 1ヶ所あたり1秒~10秒 |
おすすめな方 | ・広い面積に症状が現れている方 ・ステロイド外用薬などで改善が見られない方 |
・白斑を改善したい方 ・症状を起こしている面積が限られている方 ・ナローバンドUVB療法であまり効果が得られなかった方 |
エキシマライト療法は、あらゆる点でナローバンドUVB療法より優れていますが、症状の状態によってどちらの照射が適しているか異なります。
まずは医師に相談して、治療法を決定することが大切です。
ナローバンドUVB療法に関するよくある質問
ナローバンドUVB療法に関する質問についてまとめました。ナローバンドUVB療法の注意点について知りたい方は参考にしてください。
Q.ナローバンドUVB療法を受ける上で注意点はありますか?
ナローバンドUVB療法を受ける際には、以下の注意点があります。
- プロトピック軟膏を使用中の患部には照射できない
- 照射中に動くと強い紫外線がかかり副作用が出やすくなる
- 治療期間中は過度の日焼けを避ける必要がある
また紫外線療法によって色素沈着や日焼けが発生した場合、症状が改善されるまでに通常2〜3ヶ月かかります。
Q.ナローバンドUVB照射機器の家庭用は通販でも購入できますか?
ナローバンドUVB照射機器には家庭用のものもあります。家庭用は通販でも販売されていますが、購入は推奨できません。
家庭用はしっかりとした効果を実感できるとは限りません。一方で医療機関での治療であれば、自分の症状に合わせて治療計画を立てられる上、万が一副作用が起きても適切な処置を受けられます。
症状をしっかり改善し、なおかつ副作用のリスクを抑えるためにも医療機関を利用しましょう。
ナローバンドUVB療法は紫外線でアトピーを改善する治療法
ナローバンドUVB療法は紫外線でアトピー性皮膚炎や尋常性白斑を改善する治療法です。
治療の対象となる主な疾患は次の通りです。
- アトピー性皮膚炎
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- 尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)
- 円形脱毛症
など
ナローバンドUVB療法は従来の紫外線療法よりも副作用が少なく、治療時間も短いというメリットがあります。
頑固なかゆみや治りづらい皮膚疾患にお悩みの方は、ナローバンドUVB療法をご検討ください。