六味丸はどんな漢方薬?成分や効果、副作用や八味地黄丸との違いについて解説
- 本コラムの内容について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
「六味丸って何?」
「六味丸の効果や成分、副作用について知りたい」
とお考えではありませんか?
六味丸は主に老化防止に用いる漢方薬です。加齢に伴う症状の改善のほか、むくみやかゆみの改善効果が期待できます。
ただし、食欲不振や腹痛などの副作用に注意しなくてはなりません。
こちらのページでは六味丸の効果や副作用、八味地黄丸との違いについて解説します。
目次
六味丸とは?老化予防や発育促進に用いる漢方薬
六味丸とは体の弱った機能を元気づける漢方薬です。漢方医療でいう「腎」の気が足りなくなった状態(腎虚)に処方されます。
一般的には、体力の低下した中高年に用いることが多い漢方薬です。しかし、大人に対して老化予防のためだけでなく、小児の発育促進のために処方されることもあります。
六味丸は「腎」の働きを高めて、腎機能低下に伴う性機能低下や乾燥肌、夜間頻尿などの症状改善に有効です。
六味丸の成分は?6種類の配合生薬の組み合わせ
六味丸は、以下の6種類の配合生薬を組み合わせた薬です。
配合生薬 | 作用 |
---|---|
地黄(ジオウ) | 貧血の症状を改善する |
山茱萸(サンシュユ) | 滋養強壮作用によって地黄の働きを促進する |
山薬(サンヤク) | 滋養強壮作用によって地黄の働きを促進する |
茯苓(ブクリョウ) | 体内の水分の循環を良くする |
沢瀉(タクシャ) | 体内の水分の循環を良くする |
牡丹皮(ボタンピ) | 血行障害を改善して血の巡りを良くする |
六味丸は元気や精力をつける働きを持ちます。そのため、高齢者の老化予防や体力が低下した中高年の症状改善を目的に用いる漢方薬です。
六味地黄丸(六味丸)と八味地黄丸(八味丸)の違い
六味丸は、八味丸から温性の「桂皮」と「附子」を除いた治療薬です。八味丸との違いについては、次の表をご覧ください。
名称 | 六味地黄丸 (六味丸) |
八味地黄丸 (八味丸) |
---|---|---|
特徴 | 体の弱った機能を元気づけて症状改善を目指す漢方薬 | 体を温めて、体全体の機能低下の改善を目指す漢方薬 |
成分 | ・地黄 ・山茱萸 ・山薬 ・茯苓 ・沢瀉 ・牡丹皮 |
・地黄 ・山茱萸 ・山薬 ・茯苓 ・沢瀉 ・牡丹皮 ・桂皮 ・附子 |
改善効果 | ・足腰の痛みやしびれ ・胃機能低下による夜間頻尿 ・性機能低下 ・乾燥によるかゆみ・湿疹 ・前立腺肥大症 ・糖尿病 など |
・下肢痛・腰痛 ・しびれ ・むくみ ・かゆみ ・高齢者のかすみ目 ・高血圧に伴う症状 など |
副作用 | ・食欲不振 ・胃の不快感 ・腹痛 ・吐き気 ・下痢 など |
・発赤 ・かゆみ ・食欲不振 ・胃の不快感 ・腹痛 など |
※ジュンコウ六味地黄丸料FCエキス細粒 医療
※クラシエ漢方八味地黄丸料エキス錠
八味丸は、8種類の配合生薬によって新陳代謝機能を促進する漢方薬です。主に中年以降の方が使用する漢方薬として効果が期待できます。
六味丸がおすすめの方 | 更年期障害や便秘気味の方など
六味丸は以下のようなお悩みを持つ方におすすめです。
- 更年期障害の症状が出ている方
- 便秘気味の方
- 下肢が疲れやすい方
- 疲れると手足がほてる方
- 尿量が少ない方
- 口が良く渇く方
など
主に体力が少なく疲れやすい方に、六味丸が用いられます。そのほか、のぼせ気味で暑がりの方にも処方されます。
六味丸の効果効能は?むくみやかゆみの改善が期待できる
六味丸は以下の症状を改善する効果効能が期待できます。
- 足腰の痛みやしびれ
- 胃機能低下による夜間頻尿
- 性機能低下
- 乾燥によるかゆみ・湿疹
- 前立腺肥大症
- 糖尿病
など
六味丸は体の弱った機能を補い、足腰の痛みや排尿異常の改善を目指す漢方薬です。下半身の衰えによる症状にお悩みの方は六味丸の服用をご検討ください。
六味丸はアトピー性皮膚炎の治療に用いられることがある
六味丸はアトピー性皮膚炎の治療に用いられることがあります。
アトピー性皮膚炎とは、かゆみの湿疹が良くなったり悪化したりを繰り返す病気のこと。外からの様々な刺激や乾燥などから体の内部を守る機能が低下し、炎症につながります。
虚弱体質や胃腸虚弱によってアトピー性皮膚炎を発症している方に対して、六味丸などの漢方薬が用いられます。そのほか、アトピー性皮膚炎の改善には補中益気湯も有効です。
補中益気湯に関しては、以下のページで詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
補中益気湯は元気を補う漢方薬 | 期待できる6つの効果や副作用、注意点を解説
六味丸で白髪は予防できる?加齢に伴う症状改善は期待できる
六味丸は白髪予防にもつながります。
高齢になれば「腎虚」として、以下の症状が現れます。
- 白髪
- 脱毛
- 知覚・知能・運動神経系の低下
- 記憶力の低下
など
六味丸は加齢によって生じる症状の予防に補腎薬として用いられる漢方薬です。
六味丸に配合されている生薬が体の機能を補い、老化に伴う症状の改善や予防を目指します。
六味丸の効果が出るまでの期間は?1ヵ月で効果が出ない時は止める
六味丸の効果が出るまでの期間は、患者様の体質や症状で異なります。
1ヶ月程度服用しても改善効果が現れない場合は、服用を止めて医師や薬剤師にご相談ください。別の治療薬や治療方法の判断を医師に仰ぐことが大切です。
効果を実感できる場合は継続して服用し、症状がなくなった時点で服用を中止してください。
六味丸の副作用は?食欲不振や腹痛など
六味丸で起こりうる副作用は、次の通りです。
- 食欲不振
- 胃の不快感
- 腹痛
- 吐き気
- 下痢
など
副作用が長引いたり強く現れたりしてつらいときは、一度六味丸の服用を止めて医師や薬剤師にご相談ください。
六味丸の飲み方 | 1日6.0gを2~3回に分割して服用
六味丸は1日に2〜3回、食前または食間に水・白湯で服用します。
「六味丸料エキス錠クラシエ」の場合、1日の用法・用量の目安は次の通りです。
年齢 | 用法・用量 |
---|---|
成人(15歳以上) | 1回あたり4錠を1日3回 |
7歳以上15歳未満 | 1回あたり3錠を1日3回 |
5歳以上7歳未満 | 1回あたり2錠を1日3回 |
5歳未満 | 服用しない |
※六味丸料エキス錠クラシエ
製品によって用法・用量は異なります。六味丸を服用する際は医師または薬剤師に相談し、用法用量を守って服用しましょう。
六味丸と八味丸の使い分け方 | 症状に合わせて選ぶ
八味丸は体を温めて新陳代謝を促す効果が期待できます。
六味丸と八味丸の使い分けの目安は、次の表をご覧ください。
漢方薬 | 使用の目安 |
---|---|
六味丸(六味地黄丸) | 老化予防や小児の発育障害を予防したい方に使用される |
八味丸(八味地黄丸) | 下半身の冷えによる症状や夜間排尿などがある方に対し使用される |
六味丸と八味丸は症状にあわせて使い分けることが大切です。自分に適した漢方薬を処方してもらい、症状の改善を目指しましょう。
六味丸服用時の注意点は?妊娠中の方は事前に相談する
以下に該当する方は、六味丸を服用する際に注意が必要です。
- 医師の治療を受けている方
- 妊娠中または妊娠していると思われる方
- 胃腸が弱く下痢しやすい方
上記に該当する方は、六味丸の服用前に医師やクリニックにご相談ください。
個人の判断で服用方針を決めるのではなく、医師や薬剤師に判断を仰ぎ、指示された方法で服用することが大切です。
六味丸は子供も飲める?発達障害で虚弱体質の子に使用される
六味丸は発達障害で虚弱体質な子供にも使用される漢方薬です。子供の虚弱体質は体質的な問題であるため、西洋医学では診療方針を立てるのが難しいとされています。
六味丸を用いられる虚弱体質のタイプとして、主に以下の3つが挙げられます。
- アレルギー疾患が発症しやすい
- 感染症(発熱や風邪など)にかかりやすい
- 胃腸が弱い(腹痛や下痢など)
虚弱体質はそれぞれのタイプに適した治療方法を選択することが大切です。複数のタイプが混在している方の場合、有効な漢方薬を二剤併用することもあります。
「ツムラ六味丸エキス顆粒」と「六味丸料エキス錠クラシエ」の違い
六味丸を取り扱っている主なメーカーに「ツムラ」と「クラシエ」があります。それぞれの六味丸の違いについては、次の通りです。
名称 | ツムラ六味丸エキス顆粒 | 六味丸料エキス錠クラシエ |
---|---|---|
成分 | ・地黄:5.0g ・山茱萸:3.0g ・山薬:3.0g ・茯苓:3.0g ・沢瀉:3.0g ・牡丹皮:3.0g |
・地黄:2.5g ・山茱萸:1.5g ・山薬:1.5g ・茯苓:1.5g ・沢瀉:1.5g ・牡丹皮:1.5g |
効果 | ・排尿困難の改善 ・残尿感や頻尿の改善 ・むくみやかゆみの改善 |
・排尿困難の改善 ・残尿感や頻尿の改善 ・むくみやかゆみの改善 ・夜尿症の改善 |
副作用 | ・食欲不振 ・胃の不快感 ・嘔吐 ・悪心 など |
・食欲不振 ・胃の不快感 ・嘔吐 ・下痢 など |
服用方法 | 1日7.5又は食間に経口投与 | 1日6.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与 |
成分量や服用方法が少し異なりますが、それぞれの六味丸の効果や副作用に大きな違いはありません。
どちらの六味丸を使用すれば良いか迷った場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。
六味丸はAmazonや楽天など通販で購入可能?市販品を買える
六味丸はAmazonや楽天などの通販で市販品を購入できます。
ただし、医療機関で処方される漢方薬と市販の漢方薬とでは成分量が異なります。
医療機関で処方される「医療用漢方薬」は成分量が多く、一方で市販の「一般用漢方薬」は医療用と比べて、基本的に約50〜80%の成分量しか含まれていません。一般用漢方薬は、どんな人が服用しても問題ないよう、1日の服用量が調整されているためです。
より効果効能が期待できる六味丸を使用したい方は、医師や薬剤師に相談して医療用漢方薬を処方してもらいましょう。
六味丸は下半身の衰えに対して適した漢方薬
六味丸は体力の低下による下半身の症状に対して処方される漢方薬です。足腰の痛みやしびれ、胃機能低下による夜間頻尿など加齢によって生じる症状の改善効果が期待できます。
また、以下の症状に対しても効果が期待できます。
- 性機能低下
- 乾燥によるかゆみ・湿疹
- 前立腺肥大症
- 糖尿病
- 白髪
- 虚弱体質の小児
体力が少なく疲れやすい方で、上記の症状にお悩みの方は六味丸の服用をご検討ください。
医師や薬剤師に指示された、用法・用量を守りながら服用して症状の改善を目指しましょう。