皮膚剥削術とは?読み方や刺青・タトゥー除去の痛み、保険適応について解説
- 本コラムの内容について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
「皮膚剥削術ってどのような治療に有効?」
「皮膚剥削術は保険が適用される?」
といった疑問を抱いてはいませんか。
皮膚剥削術(ひふはくさくじゅつ)は専用機器「グラインダー」を使い皮膚を切り落とす治療です。主に、刺青・タトゥー除去の治療に用いられます。
今回は刺青・タトゥー除去の目的を中心に、皮膚剥削術の治療内容について解説していきます。
目次
皮膚剥削術とは?グラインダーで皮膚を剥削(はくさく)する手術
皮膚剥削術(ひふはくさくじゅつ)は、皮膚疾患や刺青・タトゥーを除去できる治療です。
医療器具の「グラインダー」で皮膚を削り落とす施術です。
事前に局所麻酔を打つため、施術時の痛みはほとんどありません。
なお、扁平母斑や脂漏性角化症の治療に用いられることもありますが、それらの治療はレーザー治療を用いるのが一般的です。
皮膚剥削術で刺青やタトゥーの除去を目指せる
皮膚剥削術は、刺青やタトゥーの除去を目指せます。
刺青やタトゥーを除去する治療法として、ほかにもレーザー治療がありますが、青や緑などの色素が含まれていると治療期間や回数が長くなる場合があります。
一方、皮膚剥削術ならレーザーより少ない回数で治療できるため、できる限り早く刺青やタトゥーを消したい方に向いている治療法です。
施術後は1年ほどかけて、徐々に肌の色へ同化していき、目立たなくなります。色素が残る可能性はあるものの、タトゥーの模様はほとんど消えてしまい、怪我の跡のような見た目になります。
ただし、皮膚剥削術はインクが入った箇所を全て除去できるわけではありません。
皮膚剥削術はレーザーと組み合わせた治療も可能です。皮膚剥削術を施した後にレーザーを照射し、剥削で消せなかった色素も除去できます。
皮膚剥削術のメリット
皮膚剥削術のメリットは、広範囲の施術が可能な点です。
レーザー治療でも刺青・タトゥーを除去することは可能ですが、施術できる範囲が狭いため、一度に広範囲のタトゥーを除去するのが困難です。
一方、皮膚剥削術は一回の施術で刺青・タトゥーを大幅に除去することができます。刺青・タトゥーの大きさにもよりますが、手術は2〜4時間程度で終了し、肌の痛みも少ないです。
また、施術部分以外の皮膚を傷つけないこともメリットの一つで、術後の日常生活における制限はほとんどありません。
皮膚剥削術のデメリット
皮膚剥削術は、インクを全て除去しきれないことがデメリットです。
真皮の最深部まで皮膚を削り取ることができないため、色素が残ることがあります。色素がどうしても残ってしまう場合、傷跡に見えるようにして、模様を解らなくする施術も可能です。
また、皮膚を削りすぎるとケロイドになりやすいほか、削る量が少ないとインクが残ってしまいます。刺青・タトゥーのインクや深さなど、状態によっては手術が難しくなるといったデメリットもあります。
皮膚剥削術は痛い?麻酔の使用で痛みを軽減
皮膚剥削術の施術時は、局所麻酔あるいは静脈麻酔を使用するため、基本的に痛みを感じにくいです。
注射による麻酔が苦手という場合、局所麻酔のほかに吸入式の「笑気麻酔」や、点滴の「静脈麻酔」を使用して、痛みを緩和することもできます。
また、施術後は痛み止めを処方されるケースが多いです。皮膚が除去した部分が痛むようであれば、痛み止めを服用することで痛みを抑えることが可能です。
施術部分は乾燥すると痛みが出やすいので、皮膜剤などを用いて乾燥から肌を守るのもポイントです。
皮膚剥削術のリスク|色素沈着やケロイド、アレルギーなど
皮膚剥削術は、次のような副作用が生じる可能性があります。
- 内出血
- 腫れ
- 赤み
- 肥厚性瘢痕(線維細胞が過剰に産生されたことで、傷が赤く盛り上がった状態)
- ケロイド
- 色素沈着
- 感染
- アレルギー
治療後、皮膚が再生するまでの1ヵ月間は、傷跡がやけど跡のように見えます。
また2ヵ月間は炎症による色素沈着でシミが残らないよう、紫外線対策を施さなくてはいけません。
皮膚剥削術の施術の流れ
皮膚剥削術の基本的な施術の流れは、次の通りです。
- 診察
医師による診察が行われ、状態をチェックします。 - 麻酔
局所麻酔、あるいは麻酔クリームを塗布します。場合によっては、笑気麻酔や静脈麻酔を使用すこともあります。 - 施術
麻酔が効いてきたら施術を行います。 - 経過観察
術後、経過観察のために定期的な診察を行います。
また想定よりも色素沈着している箇所が深い場合、追加で局所麻酔を打つことがあります。施術後は2週間ほど、軟膏やばんそうこうで施術部位を保護してください。
皮膚剥削術の施術後の経過
術後、2~3週間経過すると新しい皮膚が再生されます。
新たな皮膚ができあがった後も、グラインダーの跡は残っています。跡形は3ヵ月~1年も経過すれば目立たなくなることが多いです。
皮膚が再生される過程でカサブタができることもありますが、およそ1ヶ月で症状がおさまっていきます。
治療当日からシャワーを浴びることは可能です。シミが残らないよう、2ヵ月程度は紫外線の予防を忘れずに行ってください。
皮膚剥削術は保険適用できる?刺青・タトゥー除去は適用外
皮膚剥削術は、刺青・タトゥー除去を目的とする場合、基本的に保険適用されません。
自費診療となり、施術費用は全額自己負担となります。
なお、刺青やタトゥーを除去する施術には、皮膚剥削術のほかに以下があります。
- 切除手術
- 植皮法(切除・皮膚移植)
- レーザー治療
いずれもタトゥー除去を目的とした施術は保険の適用外ですので、皮膚剥削術だけが保険適用されないわけではありません。
まとめ:皮膚剥削術はグラインダーで刺青・タトゥーの除去を目指す
皮膚剥削術はグラインダーで皮膚を削り落とし、表皮の疾患や傷跡を目立たなくする治療です。広範囲におよぶ削皮が可能なため、大きな刺青・タトゥーの除去施術に用いられます。
施術時は麻酔を使用するため痛みを感じにくいほか、術後のダウンタイムも少なく、日常生活に大きな支障はありません。
ただし、施術費用は保険適用されないため、全額自己負担となります。
広範囲の刺青・タトゥーの除去を考えている方は、皮膚剥削術をご検討ください。