ヒト幹細胞培養上清液とは?5つの効果やPRP療法との違いを解説
- 本コラムの内容について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
「ヒト幹細胞培養上清液って何?」
「ヒト幹細胞培養上清液療法の効果や副作用が知りたい」
などとお考えではありませんか?
ヒト幹細胞培養上清液療法は幹細胞を培養して作られる上澄み液を利用した治療法のことです。組織の修復を促し、美容や整形外科の分野での効果が期待されています。
このページでは、ヒト幹細胞培養上清液に期待できる効果や副作用、PRP療法との違いについて説明しています。
目次
ヒト幹細胞培養上清液とは?読み方や研究結果の論文を紹介
ヒト幹細胞培養上清液とは、歯髄・骨髄・脂肪など体内に存在する幹細胞を培養し、その培養液から幹細胞を取り出して減菌処理などを行った上澄み液を指す言葉です。
「ヒト幹細胞上清液(ひとかんさいぼうじょうせいえき)」と読み、英語では「Stem cell culture supernatant」と言います。
幹細胞は自己複製能とさまざまな細胞に分化できる能力を持つ特殊な細胞です。幹細胞自身が成長や増殖をする際には「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質を放出します。
培養した幹細胞を遠心分離し、培養液から細胞や不純物を取り除くことで、サイトカインが蓄積されたヒト幹細胞培養上清液を作成可能です。
科学研究費助成事業の論文では、ヒト幹細胞培養上清液には成長因子が多く含まれることが判明したと記載があります。
ヒト幹細胞上清液に多く含まれた成長因子は、美容医療や整形外科分野などに効果が期待されています。
ヒト幹細胞培養上清液の仕組みは?成長因子の働き
ヒト幹細胞培養上清液に含まれる成長因子は複数あり、それぞれ期待できる効果が異なります。
各成長因子に期待できる効果は以下の通りです。
bFGF | ・血管新生 ・組織修復 |
---|---|
EGF | ・しわの改善 ・傷口の回復の促進 |
PDGF | ・しわの改善 ・皮膚細胞の再生 |
IGF-1 | ・しわの改善 ・コラーゲンやエラスチンの産生 |
VEGF | ・しわの予防 |
これらヒト幹細胞培養上清液に期待される効果は、
- 抗炎症作用
- 血管再生、血管新生作用
- 活性酸素除去作用
- 免疫調整作用
- 神経細胞修復、再生作用
- 美容作用
となっています。
それぞれの成長因子を治療目的に応じて選択します。
幹細胞治療とヒト幹細胞培養上清液療法の違い
幹細胞治療とヒト幹細胞培養上清液療法の違いは、治療に用いる成分です。
幹細胞治療とは、自身の幹細胞を培養・増殖し体内に戻すことで治療を行います。幹細胞が怪我や病気、老化によって損なわれたさまざまな細胞に分化する能力を活用する治療法です。
一方、ヒト幹細胞培養上清液療法は、幹細胞を培養した培養液に減菌処理を行った後の上澄みを用いて治療を行います。
上澄み液には細胞の成長因子である生理活性物質「サイトカイン」が含まれており、その物質が細胞に働きかけることで組織の再生を促す治療法です。
幹細胞治療は幹細胞を直接用いた治療ですが、ヒト幹細胞培養上清液療法は幹細胞が培養していく過程で産生される成長因子を用いた治療である点が異なります。
また、幹細胞培養上清液療法は犬用にも用いられる治療法です。
ヒト幹細胞培養上清液療法がおすすめな方
ヒト幹細胞培養上清液療法がおすすめな方は以下のような方です。
- 身体の不調を改善したい方
- 若々しさを取り戻したい方
- しわ・シミを改善したい方
- アレルギー体質を改善したい方
- 関節の痛みを改善したい方
- 薄毛、脱毛を改善したい方
体調や美容の悩みを抱えている方は、ヒト幹細胞培養上清液療法をご検討ください。
ヒト幹細胞培養上清液の点滴・注射で期待できる5つの効果
ヒト幹細胞培養上清液は主に点滴、注射を用いて身体に投与します。期待できる治療効果は主に次の5つです。
- 目の下のたるみへの美容作用
- 薄毛、AGAの改善や発毛効果
- 糖尿病などへの抗炎症作用
- 血管再生作用による動脈硬化やEDの改善
- エクソソームによる弱った細胞の回復
以下では、それぞれの期待できる効果について詳しく解説します。
効果①目の下のたるみへの美容作用
ヒト幹細胞培養上清液療法には目の下のたるみ等への美容作用があります。
加齢や老化に伴うしわやたるみは、顔だけではなく体全身に起こりうる症状です。脂肪由来の幹細胞から産生された培養上清液を使用することで、たるみやしわを改善し、肌の弾力やハリを取り戻す効果が期待されます。
肌の修復を促す幹細胞培養上清液には他にも「乳歯髄幹細胞培養上清液」があり、点鼻薬として利用されます。点鼻薬なので点滴や注射などとは違い、自宅でのケアにも取り入れやすいことが特徴です。
効果②薄毛・AGAの改善や発毛効果
ヒト幹細胞培養上清液療法は薄毛・AGAの改善や発毛効果も期待できます。
上清液を頭皮に直接注射することで毛母細胞を活性化させ、育毛を促してくれます。
毛母細胞が活性化すると、周囲の細胞も自ら成長因子を分泌するようになり、髪に必要な栄養を送り出す機能も活性化される仕組みです。
ヘアサイクルを整えることで、髪の毛が成長しやすくなります。
効果③糖尿病などへの抗炎症作用
ヒト幹細胞培養上清液は糖尿病の治療にも効果が期待されています。
糖尿病の原因はインスリンの不足、あるいはインスリンの効果が弱まることです。
膵臓の機能が低下するとインスリンの分泌・効果が弱まりますが、上清液を使用することで膵臓β細胞の修復を促進。
膵臓の機能を回復させることで、インスリンの分泌機能を改善し、糖尿病による炎症を抑制します。
効果④血管再生作用による動脈硬化やEDの改善
ヒト幹細胞培養上清液は血管再生作用によって動脈硬化やEDの改善にも効果が期待できます。
EDの発症には、陰茎の海綿体に血液が流れ込むといった血管的要因などが関与しています。通常、ED治療には血行促進作用のある薬剤「バイアグラ」を用いることが多いです。
しかし、ヒト幹細胞培養上清液を使用することで、薬剤を使うことなく陰茎海綿体の内皮細胞の再生を促せるため、EDの改善が期待できます。
また血管再生作用は体内の内皮細胞の再生にも働きかけ、動脈硬化の改善も期待できます。
効果⑤エクソソームによる弱った細胞の回復
ヒト幹細胞培養上清液には、弱った細胞の回復効果も期待されています。
ヒト幹細胞培養上清液には「エクソソーム」と呼ばれる物質が含まれています。エクソソームとは、細胞から分泌される直径50〜150nm(ナノメートル)の顆粒状の物質です。
サイトカインの働きの中で必要な物質と細胞を結びつける過程において、エクソソームは重要な働きをしています。
エクソソームが目的の組織細胞に入り、組織修復に必要な物質を伝達することで、弱った細胞を元気にする働きが期待されています。
ヒト幹細胞培養上清液の副作用・リスク
ヒト幹細胞培養上清液療法には、以下2つの副作用・リスクがあります。
- 注射、点滴をした部分に腫れや赤みを生じることがある
- 低血糖やめまい、耳鳴りの症状が出ることがある
以下では、それぞれの副作用・リスクについて詳細に説明します。
副作用①注射・点滴をした部分に腫れや赤みを生じることがある
ヒト幹細胞培養上清液療法では注射・点滴を用いるため、注射をした部位に炎症が起きる可能性があります。
個人差はありますが赤みや腫れ、小さな傷跡が残る場合があるのがデメリットです。
しかし、赤みや腫れ、傷跡は数日で消えていくことがほとんです。
副作用②低血糖やめまい、耳鳴りの症状が出ることがある
ヒト幹細胞培養上清液療法の主な副作用として、低血糖の症状が挙げられます。
その他にも、ごく稀にめまいや耳鳴り、腎機能低下、アレルギー反応などがみられる可能性があります。
ヒト由来の製剤を使用する分、予期できないような副作用が起こる可能性を否定することはできません。
ヒト幹細胞培養上清液の点滴・注射を受ける際の注意点
ヒト幹細胞培養上清液療法には2つ注意点があります。
- 治療を受けられない方もいる
- 治療を受けた後は献血ができない
以下では、それぞれの注意点について詳細に説明します。
注意点①治療を受けられない方もいる
以下に該当する方は、ヒト幹細胞培養上清液療法を受けられません。
- がんの治療中の方
- がんの治療後間もない方
- 妊娠している方
- 妊娠の可能性がある方
ヒト幹細胞培養上清液療法を検討中の方は、施術前に一度医師に相談することが大切です。
注意点②治療を受けた後は献血ができない
ヒト幹細胞培養上清液療法を受けた方は献血ができません。
ヒト幹細胞培養上清液療法ではヒト由来製品のため、現在の検査法では検知できない未知のウィルス感染の可能性が否定できなくなります。
このことから、日本赤十字社ではヒト由来製品を使用した方の献血をお断りしています。
ヒト幹細胞培養上清液の作り方による違い
ヒト幹細胞培養上清液は作り方によってさまざまな違いがあります。
それぞれの違いは以下の通りです。
ローリングボトル式 | 2次元式 | |
---|---|---|
方式 | 新しい技術 | 一般的な製造 |
作り方 | 生体を模倣した刺激を与える | 平面上で刺激を与える |
特徴 | 低コストで有用成分が豊富に含まれる培養液を量産 | 高コストで培養液への有用成分の抽出量が少ない |
ヒト幹細胞培養上清液を使用した医薬品や歯磨き粉などを取り入れる際には、作り方も確認して選ぶことが重要になります。
ヒト幹細胞培養上清液療法とPRP療法の違い
再生医療には、ヒト幹細胞培養上清液療法のほかに、「PRP療法」と呼ばれるものがあります。
ヒト幹細胞培養上清液療法とPRP療法の違いは次の通りです。
ヒト幹細胞培養上清液 | PRP療法 | |
---|---|---|
適応部位 | 肌の小じわ・シミ・くすみ | 目の下のクマ・まぶた・ほうれい線・口元・こめかみ・目尻・眉間・額・頬・唇・ニキビ跡・首・手など |
効果の持続期間 | 長期間 | 短期間 |
組織を修復する流れ | 幹細胞が組織修復の中心的な役割を持って直接修復 | 血小板の中に含まれるPDGFなどが、修復を担当する細胞を集めて間接的に修復 |
PRP療法は自身の血小板を用いた再生医療です。変形性膝関節症の痛みや、顔全体の美容の悩みに対して効果が期待できます。
PRP療法の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご確認ください。
PRP療法で期待できる4つの効果|副作用やAPS療法・PRP-FD療法との違いも解説
ヒト幹細胞培養上清液を用いた治療の流れ
ヒト幹細胞培養上清液の施術の流れは、以下の通りです。
- カウンセリング
ヒト幹細胞培養上清液療法について、治療の仕組みや効果、リスクについて説明します - 診察・採血
ヒト幹細胞培養上清液療法を行う前に診察・採血を実施し、全身のチェックを行います。持病がある方の場合、内科的な検査も行われます - 治療
体調・持病に合わせて当日に治療を実施するか、別日に行うか決定します
施術の所要時間は約15分です。1回の治療で効果が認められることは多いですが、2〜4週間に1度の治療を続けることで効果を維持できます。
また、しわの改善やニキビの予防をしたい方は、当院でダーマペンを併用するのもおすすめです。ダーマペンについて詳しく知りたい方は以下の記事もご確認ください。
ダーマペンで肌質改善!効果はいつから出る?3つの特徴や施術方法を解説!
エイジングケアはヒト幹細胞培養上清液をご検討ください
ヒト幹細胞培養上清液は幹細胞を培養した際に産生される上澄み液を指す言葉です。ヒト幹細胞培養上清液療法では、以下の5つの効果が期待されています。
- 目の下のたるみへの美容作用
- 薄毛、AGAの改善や発毛効果
- 糖尿病などへと抗炎症作用
- 血管再生作用による動脈硬化やEDの改善
- エクソソームによる弱った細胞の回復
エイジングケアや再生医療にご興味がある方は、ヒト幹細胞培養上清液療法をご検討ください。