アボルブはAGA治療にも有効?効果やアボルブカプセルのジェネリックについて解説
- 本コラムの内容について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
「アボルブはAGA治療にも使用できる?」
「アボルブの効果や副作用について知りたい」
などとお考えではありませんか?
アボルブは前立腺肥大症の治療を目的として処方される5α還元酵素阻害薬です。
AGA治療薬のザガーロと同じ主成分ですが、基本的にAGA治療を目的としてアボルブが処方されることはありません。
このページではアボルブの効果や副作用、アボルブカプセルのジェネリックやザガーロなどの違いについて解説しています。薄毛でお悩みの方、AGA治療をお考えの方はぜひ最後までご覧ください。
目次
アボルブとは?グラクソ・スミスクライン社が販売する5α還素阻害薬
アボルブは前立腺肥大症の治療に用いられる薬剤です。5α還元酵素阻害薬として、グラクソ・スミスクライン社(GSK)によって販売されています。
5α還元酵素阻害薬とは、体内の5α還元酵素の作用を抑えて肥大した前立腺を縮小させる薬です。
アボルブは「デュタステリド」を主成分としており、主成分が同じAGA治療薬「ザガーロ」もグラクソ・スミスクライン社で製造・販売されています。
デュタステリドの詳細について、次のページで詳しく解説していますのでぜひあわせてご覧ください。
ザガーロの成分「デュタステリド」とは?発毛効果や副作用について解説
アボルブカプセルにジェネリックはある?デュタステリドカプセルなどがある
アボルブの製品名は「アボルブカプセル0.5mg」です。そのジェネリック医薬品として「デュタステリドカプセル0.5mgAV」が各社で販売されています。
アボルブには以下のようなジェネリック医薬品があります。
- デュタステリドカプセル0.5mgAV「トーワ」(東和製薬)
- デュタステリドカプセル0.5mgAV「サワイ」(沢井製薬)
- デュタステリドカプセル0.5mgAV「武田テバ」(武田テバ)
など
ジェネリックは先発医薬品と同等の効果・副作用が現れる一方、薬価が安いことが特徴です。
また武田テバのデュタステリドカプセルは、オーソライズド・ジェネリック(AG)となっています。
通常のジェネリックとは異なり、現薬・添加物・製造方法・製造工場などが全て先発医薬品と同じです。そのため、GSKのアボルブと同様の薬剤として扱うことができます。
アボルブの効果 | 前立腺肥大症を改善する作用機序
アボルブは前立腺肥大症の改善効果が期待できる治療薬です。
前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することで尿道を圧迫する疾患です。尿が出にくくなるほか、頻尿や尿切れが悪くなるといった症状があります。
アボルブの主成分、デュタステリドが前立腺肥大症を改善する作用機序は次の通りです。
- 1型と2型の5α還元酵素を阻害
- ジヒドロテストステロンの生成を抑制
- 前立腺が改善・諸症状の改善
前立腺肥大症の原因は、男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」が関係していると考えられています。
ジヒドロテストステロンは男性ホルモンの「テストステロン」と還元酵素の「5α還元酵素」が結合することで生成されます。
アボルブは前立腺肥大症の原因となる還元酵素の働きを阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を抑制。肥大した前立腺が縮小していく治療薬です。
アボルブに発毛効果は期待できる?AGA治療には適応しない
「アボルブには発毛効果がある?」「薄毛の改善にも効果がある?」と気になっている方は多いかと思います。
基本的にアボルブはAGA治療薬として使用されません。
AGAとは主に前頭部・頭頂部の薄毛を進行させる脱毛症です。
AGA発症の主な原因はジヒドロテストステロンなので「ジヒドロテストステロンの生成を抑えるアボルブが薄毛改善にも効果が期待できるのでは?」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、厚生労働省ではアボルブをAGA治療薬として認めていません。薄毛の進行を予防する目的としては、主成分が同じAGA治療薬の「ザガーロ」が用いられます。
ザガーロの詳細について、次のページで詳しく解説していますのでぜひあわせてご覧ください。
アボルブは前立腺癌の予防にも有効?発症リスクの低減が期待できる
アボルブの主成分であるデュタステリドは、前立腺癌(がん)のリスクを低減することがわかっています。
しかしデュタステリドを内服していると、前立腺癌が発生した際に検査で見落とされ、治療が遅れてしまうリスクがあります。
そのためデュタステリドを服用する場合は、泌尿器科のもとで使用することが大切です。
また、前立腺癌の検査「PSA検査(腫瘍マーカー)」を受ける際は、アボルブを服用していることを申告しなくてはなりません。アボルブの服用を考慮して検査を行うためです。
アボルブを服用して効果が出るまでどのくらいかかる?半年が目安
アボルブ服用から効果発現までの期間はおよそ半年です。
男性ホルモンの影響を抑えることで、ゆっくりと前立腺が縮小していきます。
なおAGA治療を目的としてアボルブを使用する場合、薄毛改善を実感するまでの期間は明らかではありません。ザガーロをはじめとするAGAの内服治療は、通常3〜6ヶ月で効果を実感しはじめます。
AGA治療薬の詳細について、次のページで詳しく解説していますのでぜひあわせてご覧ください。
AGA治療薬とは?内服薬と外用薬の効果、副作用、種類について解説
アボルブを飲むと太る?女性化する?考えられる副作用
アボルブの副作用には以下が考えられます。
- リピドー減退(性欲減退)
- 勃起不全
- 乳房障害(乳房の女性化)
など
乳房障害として、乳房の女性化のほかに乳頭痛や乳房の不快感があげられます。
また、まれに食欲不振や全身倦怠感などの症状が現れることがあります。上記のような症状を感じたら、担当医師に相談してください。
なお、アボルブには太る・体重増加する副作用は認められていません。
アボルブは長期投与しても良い?添付文書による用法用量
アボルブの添付文書の情報によれば、1日1回0.5mgを経口投与するのが正しい用法用量となっています。
服用期間に関しては注意喚起がなされていないため、長期投与しても良いと言えます。
なおアボルブは前立腺肥大症の原因そのものを治すものではありません。服用を中止すれば元に戻ってしまう可能性があります。
アボルブに併用禁忌はある?薬の併用は医師に相談する
アボルブには併用禁忌薬があります。
たとえば「プロベラ錠」や「ヒスロン錠」との併用は禁忌とされています。
そのほかにもアボルブと併用禁忌薬は多数存在するので、薬の併用が必要な場合は一度医師に相談してください。
アボルブの服用期間には個人差がある
アボルブの服用期間は一人ひとり異なります。
アボルブの添付文書の情報によれば、投与開始初期に改善が認められる可能性があるものの、通常は6ヶ月間の治療が必要とされています。
治療の目標に合わせて、医師の指示に従って治療を進めることが大切です。
アボルブを使用する際の注意点
アボルブを使用する際の注意点として、以下2つがあります。
- 女性と子どもは使用してはいけない
- PSA検査を受ける際は申告する必要がある
またAGA治療薬との併用は同一成分を過剰摂取してしまう可能性があるため、AGA治療中の方はあらかじめ医師に相談してください。
ここからは、上記2つの注意点について詳しく解説していきます。
注意点①女性と子どもは使用してはいけない
アボルブの主成分「デュタステリド」は、女性・子どもの使用が禁止されています。
デュタステリドには女性の薄毛を改善する効果が認められていないほか、妊娠中の場合は胎児に影響を及ぼすリスクもあります。
また、デュタステリドは経皮吸収される可能性もあるため、女性・子どもが直接手に触れてはいけません。
注意点②PSA検査を受ける際は申告する必要がある
PSA検査を受ける場合、アボルブを服用していることを申告する必要があります。
PSA検査とは「腫瘍マーカー」とも呼ばれ、前立腺癌などを確認する検査方法です。
アボルブには血液中のPSA値を減少させる作用があり、申告なしでは正しい検査結果を得られません。
アボルブの服用を考慮した検査を行う必要があるため、PSA検査時はアボルブの服用を申告してください。
アボルブとデュタステリドとザガーロの違い
アボルブと同じ主成分の薬剤には、デュタステリドとザガーロなどがあります。それぞれの違いは次の通りです。
アボルブ | デュタステリドAV | ザガーロ | デュタステリドZA | |
---|---|---|---|---|
主成分 | デュタステリド | デュタステリド | デュタステリド | デュタステリド |
目的 | 前立腺肥大症の治療 | 前立腺肥大症の治療 | AGA治療 | AGA治療 |
分類 | 先発医薬品 | ジェネリック | 先発医薬品 | ジェネリック |
いずれもデュタステリドを主成分とする薬剤で、5α還元酵素を阻害する作用があります。
デュタステリドAVはアボルブのジェネリックで、デュタステリドZAはザガーロのジェネリックです。それぞれ治療目的が異なります。
ザガーロとデュタステリドの詳細について、次のページで解説していますのでぜひあわせてご覧ください。
ザガーロの成分「デュタステリド」とは?発毛効果や副作用について解説
アボルブの購入方法は?通販での購入は危険
AGA治療を目的としてアボルブを処方しているクリニックはほとんどありません。
通販などで個人輸入品を購入することは可能ですが、個人輸入は危険なので避けてください。偽物が届くリスクがあるほか、健康被害のリスクがあるためです。
AGAの治療をお考えの方はクリニックを受診して、プロペシアやザガーロ、ミノキシジルなどを処方してもらいましょう。
プロペシアとミノキシジルの詳細について、それぞれ次のページであわせてご覧ください。
ミノタブ(ミノキシジルタブレット)の効果は?副作用や飲み方について解説
アボルブに関するよくある質問
アボルブに関するよくある質問についてまとめました。
Q.アボルブは出荷停止しているって本当ですか?
GSKの「アボルブカプセル0.5mg」は製造・出荷が一時停止になったことがあります。
フランス国立医薬品・医療用品安全管理機構(ANSM)が、同薬委託製造工場での製造工程における問題を指摘したことがきっかけです。
しかし、その後日本向けの製造再開に対する了承が得られたとして、現在では出荷の調整が解除されています。
Q.アボルブは一包化できますか?
アボルブは一包化に不向きなため、基本的には一包化されません。
Q.アボルブカプセルを素手で触るとどうなりますか?
アボルブカプセルを素手で触ると経皮吸収されるおそれがあります。
特に女性や子どもの使用は禁忌とされており、経皮吸収によって悪影響を及ぼす可能性があります。
女性や子どもが直接手で触れないように注意して保管してください。
AGA治療を目的とするならアボルブ以外の治療薬を服用しよう
アボルブはデュタステリドを主成分とする5α還元酵素阻害薬です。基本的に前立腺肥大症の治療を目的として用いられます。
デュタステリドにはAGAの進行を抑制する作用がありますが、アボルブはAGA治療を目的として処方されることがほとんどありません。
薄毛でお悩みの方でAGA治療を考えている場合は、アボルブではなくAGA治療薬を使用しましょう。以下のページでAGA治療薬の詳細についてまとめていますので、ぜひご覧ください。