トルリシティ(トルリシティ皮下注0.75mgアテオス)とは?効果や使い方、副作用を解説
- 本コラムの内容について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
「トルリシティにはどんな効果が期待できる?」
「トルリシティの正しい使い方は?」
などとお悩みではありませんか。
トルリシティは2型糖尿病の治療に使われるGLP-1製剤の一つです。インスリンの分泌を促して血糖値を下げ、血糖をコントロールします。
人によっては副作用が発生するため、使用前には注意が必要です。
このページではトルリシティに期待できる効果や使い方や打ち方、副作用、オゼンピックとの違いについて解説します。
なお、GLP-1に興味がある方は下記の記事もおすすめです。副作用や効果、料金などについて詳しくまとめています。
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目次
トルリシティとは?インスリンの分泌を促すGLP-1製剤
トルリシティとはGLP-1製剤の一種です。
「トルリシティ皮下注0.75mgアテオス」という製品名で、日本イーライリリー株式会社と大日本住友製薬株式会社によって販売されています。
トルリシティは有効成分として「デュラグルチド」を含んでいます。「デュラグルチド」は血糖値に依存してインスリンを分泌させる成分です。
「デュラグルチド」はインスリン注射とは違い、血糖値が高くなった時にのみインスリンの分泌を促すことが特徴です。そのため、低血糖の副作用が起こりづらいというメリットもあります。
GLP-1製剤とは?ホルモンと同じ作用の薬剤
GLP-1は血糖値を下げる働きがあり、もともとヒトの体にあるホルモンです。GLP-1製剤はそのGLP-1を体外から補う薬です。
GLP-1は食事を摂ったタイミングで小腸から分泌され、膵臓に運ばれてインスリンの分泌を増やすよう働きかけます。
インスリンが分泌されると血糖値が下がるため、血糖をコントロールできます。
GLP-1注射について、以下のページで詳しく解説しているのでぜひあわせてご覧ください。
トルリシティの効果は?2型糖尿病の治療に用いられる
トルリシティは血糖値を低下させる効果が期待でき、2型糖尿病の治療に用いられます。
血糖値が高い時にだけインスリンの分泌を促し、2型糖尿病の患者様の血糖値を下げてくれます。
トルリシティの投与は週に1回で済むので、毎日薬を飲む必要がありません。よく薬を飲み忘れる方に向いているGLP-1製剤です。
トルリシティに痩せる効果はない?体重減少は認められていない
トルリシティに痩せる効果は認められていません。
経口血糖降下薬と併用した試験では体重が増加した例もあるため、トルリシティによる体重減少は期待できないと言えます。
ダイエット効果を求めている場合には、サクセンダやビクトーザといったその他のGLP-1製剤が適しています。
サクセンダとビクトーザの詳細について、以下のページで詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
サクセンダはGLP-1の一つ!ダイエット効果や副作用、施術の流れを解説
ビクトーザ(GLP-1)とは?使い方や期待できるダイエット効果、副作用について解説
トルリシティの効果発現時期は?2週間後が目安
トルリシティの効果発現時期は、2週間後が目安となります。
国内の臨床試験では週1回の投与を始めてから2週間後に、朝食・昼食・夕食の前後、就寝前のタイミングで血糖値が低下したことがわかりました。
また効果の持続性については国内では1年、海外では2年と認められています。
トルリシティ皮下注0.75mgアテオスの使い方・打ち方
「トルリシティ皮下注0.75mgアテオス」は3ステップで注射できることが特徴です。具体的な使い方や打ち方は、以下のようになります。
- アテオスのキャップを外す
- 底面を皮膚にあてる
- 注入ボタンを押す
投与する場所は主にお腹か太ももです。他の方に注射してもらう場合は腕に投与することもできます。ただし、毎回全く同じ場所に投与しないよう、少し場所をずらして投与する必要があります。
またトルリシティ皮下注0.75mgアテオスは1回使い切りなので、中に入っている製剤の用量を調整する必要がありません。
トルリシティはいつ打つ?打つ時間に決まりはない
トルリシティは週に1回の頻度で、朝昼晩関係なく自分で決めた時間帯に打つのが正しい使い方です。
自宅にいるタイミングで自己注射できることがメリットで、出先に持っていく必要もありません。
トルリシティを打ち忘れた時の対処法
トルリシティを打ち忘れた時の対処法は、次回投与するまでの期間によって変わります。具体的な対処法は以下の通りです。
次回投与するまでの期間 | 対処法 |
---|---|
3日間(72時間)以上 | ・気づいたらすぐに投与 ・次回は予定通りの日に投与 |
3日間(72時間)未満 | ・打ち忘れに気づいても当日は投与しない ・予定通りの日に投与する |
また週1回の投与する曜日を変える場合には、前回の投与から3日間以上間隔を空ける必要があります。
トルリシティの廃棄方法は?病院や薬局の廃棄ボックスに捨てる
使用済みのトルリシティは、医師の指示にしたがって捨ててください。
基本的には医療廃棄物として、病院や薬局の廃棄ボックスに捨てて回収してもらう方法で廃棄します。
また一般家庭から出る医療用廃棄物の処分方法は、市町村によって異なります。あらかじめ居住地域の廃棄方法を確認して、ルールを守って処分しましょう。
トルリシティは空打ちが不要
トルリシティは1回の注射で全量を投与できるため、空打ちが不要です。
インスリン注射などでは注射器が正しく稼働するか確かめるために、空打ちをする場合があります。しかし、トルリシティでは空打ちをせずにそのまま皮膚に注射します。
トルリシティの保管方法は?冷蔵庫に入れて使用前に室温に戻す
トルリシティは2〜8℃で保管する必要があります。
処方されたら冷蔵庫に入れて使用前のタイミングで、冷蔵庫から出して室温に戻し注射します。
またトルリシティを常温で放置してしまった場合も、処方後14日間までであれば使用可能です。
しかし遮光されていない場合や、室温が30度を超えていた場合には使用を避けなければいけません。
トルリシティの副作用 | 気持ち悪いと感じる・下痢になることがある
トルリシティには、以下のような副作用もあるため注意が必要です。
- 吐き気
- 下痢
- 便秘
- 食欲減退
- 消化不良
- 注射部位の炎症や発疹
- 心拍数の増加
また重篤な副作用として脱力感やめまい、低血糖、アナフィラキシーなどがあります。嘔吐を伴う激しい腹痛の場合、急性膵炎の可能性もあるので副作用には十分注意しなければなりません。
投与後に異状を感じた場合には医師の診察を受け、対処法を聞きましょう。
トルリシティの副作用の発現時期はいつ?投与日の2日後まで
トルリシティの副作用のうち吐き気や下痢、便秘は投与後2日後までに現れやすいです。
2回目以降の投与では副作用は現れにくくなります。吐き気を感じた時には、脂肪分が多い食事を避けて食事の量を減らすことで対処しましょう。
また副作用で胃腸の症状が出た時は自己判断で投与を中止せず、医師に相談することが大切です。
トルリシティの注射は痛い?針の細さは0.33mmで痛みは感じにくい
トルリシティの針の細さは0.33mm(規格は29G)です。採血で使う針よりも細いため、注射時の痛みを感じにくいです。
一方で、「針が刺さった痛みがなければ正しく打てているかわからない」という方もいるかと思います。
薬液が漏れていないか確認し、注射器の透明部分に灰色のゴムピストンが見えていれば正しく投与できていると判断できます。
針が刺さった感覚で投与を判断している方は、トルリシティの使用時には注射器をチェックしましょう。
トルリシティに禁忌はある?添付文書をもとに解説
トルリシティの禁忌として、以下のような方への投与があげられます。
- 含有する成分で過敏症になったことがある方
- 1型糖尿病の方
- 手術を行う必要がある方
- 重症の感染症の方
など
1型糖尿病の方はインスリン製剤で素早く治療する必要があるため、トルリシティの投与は推奨されません。
また手術を行う必要がある方や重症感染症の方も、インスリン製剤で血糖値を管理する必要があるため、同様にトルリシティの使用が禁止されます。
トルリシティとオゼンピックの違いは?用量調節が必要かどうか
トルリシティと同じGLP-1製剤に「オゼンピック」があります。
どちらも週に1度投与することが特徴のGLP-1製剤ですが、以下のような違いがあります。
名称 | トルリシティ | オゼンピック |
---|---|---|
成分 | デュラグルチド | セマグルチド |
作用 | ・血糖降下作用 | ・血糖降下作用 ・体重減少作用 |
併用不可の薬 | DPP-4阻害薬、インスリン | DPP-4阻害薬 |
用法用量 | 0.75mg | 0.25mg〜1.0mg (必要に応じて増量する) |
オゼンピックはトルリシティとは違い、用量を0.25mg・0.5mg・1.0mgで調節する必要があります。0.25mgから投与を開始し、効果が不十分であれば増量することが可能です。
また、トルリシティは2型糖尿病の治療薬ですが、オゼンピックはダイエット目的で処方されるといった違いがあります。
オゼンピックの詳細について、以下のページで詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
オゼンピックとは?ダイエット効果や使い方、副作用について解説
トルリシティからオゼンピックへ切り替え可能?切り替え時の注意点
オゼンピックをはじめ、トルリシティから他の抗糖尿病薬への切り替えは慎重にならなければなりません。
トルリシティの中止後も、効果が持続する可能性があるためです。
トルリシティを中止してから少なくとも1週間は、血糖値を下げる作用があると考えられています。副作用や血糖値の変動をチェックしつつ、切り替えは医師と相談して慎重に行いましょう。
トルリシティに関するよくある質問
トルリシティに関するよくある質問についてまとめました。
Q.トルリシティとインスリンは併用できますか?
トルリシティとインスリンを併用する時には、低血糖のリスクが増える可能性があるため、注意が必要です。
トルリシティとインスリンにはどちらも血糖値を下げる作用があるため、低血糖に陥らないよう薬剤の量を減らすといった対策が必要になります。
Q.トルリシティの在宅自己注射指導管理料とは何ですか?
トルリシティの「在宅自己注射指導管理料」とは、自己注射の場合にのみ月に1回加算される費用です。
「在宅自己注射指導管理料」は、診察を受けて治療を行う場合には発生しません。そのため通院した方が費用は安くなります。
一方で、自己注射は自宅で好きなタイミングで投与できるというメリットがあります。
Q.トルリシティにジェネリックはありますか?
トルリシティにジェネリック医薬品はありません。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発品と同等の成分で開発・販売される医薬品で、先発品と比べて薬価が安いことが特徴です。
なお、GLP-1製剤は2型糖尿病に対して保険適応があるため、トルリシティを保険適応で処方してもらえることがあります。
トルリシティは自己注射できる糖尿病の治療薬
トルリシティは自己注射できる2型糖尿病の治療薬です。有効成分の「デュラグルチド」の作用によってインスリンの分泌を促し、血糖値を下げることができます。
トルリシティを自己注射する際の正しい打ち方は次の通りです。
- アテオスのキャップを外す
- 底面を皮膚にあてる
- 注入ボタンを押す
自己注射できる2型糖尿病の治療薬2型糖尿病の治療をしている方はトルリシティの使用をご検討ください。
なお、GLP-1に興味がある方は下記の記事もおすすめです。副作用や効果、料金などについて詳しくまとめています。
GLP-1注射とは?期待できるダイエット効果と副作用を解説
「つらい運動のダイエットが続かない」 「無理せずに体重を落としたい」 などとお考えではありませんか? GLP-1注射は「痩せるホルモン」とも呼ばれるGLP-1を投与するメディカルダイエットです。体内の ...